【僕が「習い事」に感じた夢と希望:ダンス編53】

 
From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
※僕が24才の時にHIPHOPダンススクールの発表会体験談の続きです。
 
 
舞台上リハーサルは、思った以上にボロボロでした。
 
 
スタジオで練習している時の感覚とは、だいぶ違います。
 
 
スタジオ練習中は、正面や左右が鏡張りになっているので、自分たちの姿が見えます。
 
 
でも、今のステージ上では、自分たちの姿が見えないばかりか、目の前数メートルの景色すら見えません。
 
 
スポットライトがまぶしくて、正面を見ても真っ暗で何も見えません。
 
 
前回の夏祭りでの発表会の時には、昼間の屋外だったので、周りの状況がすべて見渡せました。
 
 
でも、ステージ上では足下と横以外はまったく見えません。
 
 
しかも、踊っている最中は下を見たり横を見るのはNGです。
 
 
練習中もよく、「下を見てはダメ!」「横をキョロキョロしてはダメ!」と言われます。
 
 
振りに自信がなさそうに見えるからです。
 
 
たまに全員で首を横に振るシーンがあるので、その時にさりげなく横を確認してみましたが、ステージが広すぎて、今、自分がステージ上のどのあたりにいるのか?
 
 
それすら分かりませんでした。
 
 
唯一、床に貼ってあるバッテン印のテープが、舞台のセンターを示していました。
 

 

落ちる恐怖

 
あと、よく見ると前の方に赤いテープが横に貼ってあるのが見えました。
 
 
どうやら、「ここから先に行ってはダメ!」という印のようです。
 
 
もしこの赤いテープを越えて前へ出たら、客席へ落ちるでしょう。
 
 
ステージの高さは、大人の身長ぐらいあります。
 
 
落ちたら骨折は間違いないでしょう。
 
 
前が真っ暗で見えない恐怖と、落ちたら骨折の恐怖、そして、スポットライトの熱とで、僕は完全に平常心を失っていました。
 
 

いっぱいっぱい

 
リハーサルは、僕の中ではボロボロでした。
 
 
わずか数分間の振りを2曲だけでしたが、精神的にも肉体的にも、かなり消耗しました。
 
 
場の雰囲気に圧倒されて、いっぱいっぱいになってしまいました。
 
 
しかも、リハーサルは午前中の1回だけです。
 
 
僕らの次にはまた別のグループがすぐリハーサルするので、もう一度舞台に出て感覚をつかむ時間がありません。
 
 
そのまま午後の本番を迎えることになりました。
 
 
しかも、本番も一発勝負です。
 
 
「こりゃ、思った以上に厳しいな・・・」
 
 
そう感じて他のメンバーの感想を聞いてみました。
 
 

ステージ経験者のSさん

 
すると、子供の頃にバレエのレッスンに通っていた女子高生Sさんが言いました。
 
 
Sさん:「最初はステージって独特な感じだよね~。私も最初は今の新村さんと同じ気分だったけど、何度も出てるうちに慣れたよ。」
 
 
僕:「そうか!Sはバレエの舞台に出てるから、ステージ経験者なのか!場所はここだったの?」
 
 
Sさん:「うん、ここ。この建物も外側は新しくリフォームしたりしてるけど、中身の造りは私が子供の頃から何も変わってないよ。特にステージはね。」
 
 
僕:「そうなのか!じゃあ、Sはベテランだな!ステージで踊るコツが何かあったら教えてくれる?」
 
 
Sさん:「まあ、最終的には何度も経験するしかないけど、今からできることは・・・楽しむことかな!」
 
 
僕:「楽しむこと?」
 
 
Sさん:「そう!どうせ最初はボロボロなんだから、うまくやろうとか、失敗しないようにとか考えないで、たまにしか立てないこのステージで踊ることを楽しむってこと。」
 
 
僕:「ほぅ!いいこと言うね!」
 
 
Sさん:「でしょ?まあ、気楽に行こうよ!うちらずっと一緒に練習してきたんだしさ、大丈夫だよ。振りを忘れたら、横をチラ見すればいいんだし。」
 
 
僕:「確かに!今までの練習で積み重ねてきたものが出せればいいよな!ありがとう!」
 
 
Y君:「Sさん、めっちゃ良いこと言いますね!僕も緊張がなくなりました!」
 
 
Sさん:「でしょ~!聞いて聞いて!先輩に何でも聞いて!(笑)」
 
 
そんな感じの会話の中で、僕は
 
 
「次はいつ立てるか分からないこのステージを、とにかく楽しもう!」
 
 
という気分になりました。
 
 
・・・つづく。
 
 
 
 
 
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