【1970年代の日本の英語学習②】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
音読テキストの「音読JAPAN」「英語で日本を話すための音読レッスン」の著者、浦島久先生との対談内容の続きです。
 
 
以前の記事では、浦島先生が大学生だった70年代には、カセットテープがやっと出始めた頃でした。
 
 
カセットテープ付きの英語本は1冊2万円もしました。当時の物価で2万円ということは、今の物価に修正するともっと高くなります。
 
 

40年前の物価

ためしにネットで「40年前の物価」で調べてみたところ、こんな数字が出てきました。
 
↓↓↓
 
・高卒の初任給=5万9,200円
 
・国鉄(現JR)の山手線1区間運賃=30円
 
・タクシー初乗り=220円
 
 
今よりだいぶ安いです。
 
 
(ちなみに2020年の高卒の初任給で調べると、169,687円と出てきました。3倍ぐらい差があります)
 
 
当時の高卒の初任給が約6万円だとすると、カセットテープ付き音読英語本は、給料の3分の1に匹敵する値段だったわけです。
 
 
今の価格にざっくり換算すると、約6万円ぐらいです!
 
 
音声付き音読テキスト1冊が6万円!!
 
 
手を出すにはかなり勇気のいる価格です。
 
 
しかも、たとえ奮発してカセットテープ教材を買ったとしても、こんどはそのカセットテープを再生するラジカセはさらに高価でした。
 
 
当時のラジカセの価格帯をネットで調べたところ、モデルによって価格は違いますが、だいたい6万円~9万円ぐらいだったようです。
 
 
1ヶ月分の給料を全部注ぎ込んでも買えない価格です。
 
今の価格に換算すると、20万円~30万円ぐらいでしょうか。
 
 
今だったらかなりスペックの高いパソコンが買える価格です。
 
 
まとめると、
 
 
音読教材=2万円(現6万円)
 
ラジカセ=6万円(現18万円)
 
音読テキスト1冊を使える環境を手に入れるために、最低でもトータル8万円(現24万円)の投資が必要だったわけです。
 
 
これは当時の大学生にとってはかなり敷居の高い価格です。
 
 
そこで浦島先生は当時、手持ちの「オープンリール」と呼ばれる音楽再生用の巨大な機材を大学に持って行って、英語クラブのネイティブの先生の声を録音して音読教材として使っていたそうです。
 
 
そこまで苦労して録音したネイティブ音声は、きっとすごく貴重に感じられたに違いありません。
 
 
音読トレーニングにも気合いが入ったでしょう。
 
 

便利になっても・・・

僕はその話を聞いて、「今は英語学習者にとってなんて便利な時代なんだ!」と感じました。
 
 
今はカセットテープどころか、CDすらなくなりつつあります。
 
 
出版社のホームページで音声データを無料でダウンロードできます。
 
 
音質はクリアで、まるでネイティブが目の前で話しているかのようにハッキリとした英語を聞くことができます。
 
 
さらに、その音声データをスマホに入れて持ち歩けます。
 
 
音声データだけではありません。本の中身の英文もスマホに全部入れて持ち歩くことができます。
 
 
さらに、音声データ付き音読用テキストの価格は、1.500円~2,000円程度です。
 
 
ランチ1回分をガマンすれば買える価格です。
 
 
今は誰でも、いつでもどこでも音読ができる環境が整っているのです。
 
 
もし、70年代に音読をがんばっていた英語学習者が今の時代の英語学習環境を見たら、驚いて目が飛び出るでしょう。
 
 
そして、
 
 
「なんて恵まれた環境なんだ!うらやましい!きっと日本人の英語力は大きく上がっているに違いない!」
 
 
と叫ぶかもしれません。
 
 
#あまり変わらない英語力
 
ところが、日本人の英語力はあまり変わっていないようです。
 
 
参考数値として、TOEICスコアの国別スコアランキングのデータによると、日本はかなり下の方にいるらしいです。
 
 
2019年のデータでは、49カ国中43位でした。
 
 
ちなみに日本語と近い母国語の韓国のランキングは、49カ国中17位です。
 
 
だいぶ差がありますね。
 
 
このことから分かることは、
 
 
「世の中が便利になっても、そのスピードに合わせて人間の能力も上がるわけではない」
 
 
ということです。
 
 
たしかに冷静に考えてみると、
 
 
①オープンリールに録音したネイティブの先生の声をモデルに音読した時に、脳に与える効果
 
 
②スマホにダウンロードしたネイティブのナレーター音声データを音読した時に、脳に与える効果
 
 
に大きな差はないはずです。
 
 
70年代の道具を使って音読しても、最新テクノロジーを使って音読しても、音読そのものの労力は変わりません。
 
 
むしろ、手軽に買えるテキストや教材の方が、気合いが入らずに続かない可能性もあります。
 
 
結局は、テクノロジーが人間の能力を高めるのではなく、人間の向上心が能力を高める。
 
 
そんな学びを得た対談でした。
 
 
※浦島先生との対談のフル動画を近日中にYouTubeの師範代Shinyaチャンネルにアップする予定です。
 
 
 

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