from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
娘:「パパ何やってるの?」
僕:「今、ウェーブを通したの。」
娘:「ウェーブを通す?」
僕:「うん、そうだよ。ウェーブを通したの。・・・ん?え?今何て言った?」
娘:「え?」
僕:「今言ったこと、もう一度言ってみて!!」
娘:「ウェーブを通す?」
僕:「な、なにぃーーーー!!!な、なぜ??」
僕は衝撃を受けて、その場に立ち尽くしていました。
完璧なリピーティング能力に驚いたのではありません。
「動詞を原型にして」聞いてきたことに驚いたのです。
僕は確かに、「ウェーブを通した」と過去形で娘に伝えました。
このフレーズは、娘が生まれて初めて聞く言葉のはずです。
僕は娘の前で一度もこのフレーズを言ったことがないからです。
でも、娘はこのフレーズの中の「どこが動詞か?」を瞬時に理解して、動詞部分の「通した」の過去形を原型に変えて、「通す」にしてから聞き直してきました。
いったい、どうやってそんなことをやっているんでしょうか?
ちなみに、娘は早い時期から口が達者なタイプではありません。
保育園の他のクラスメイトの方が、娘よりもペラペラしゃべる印象があります。(この時期の子どもは、同じ学年でも生まれた月によって、だいぶ発達に差が出ますが)
決して言語能力が高い方だとは感じなかった娘の口から、今回のように「動詞の活用」を使いこなしたフレーズを聞いたことで、僕は衝撃を受けたのです。
これで、子どもが母国語を身に付ける過程が、大人の英語学習と大きく違うことが、より明らかになりました。
このような現象は、大人ではまず起こらないでしょう。
教えてないのに、どうやって身に付けるのか?
それにしても不思議なのが、娘がどうやってこの「動詞の活用の感覚」を身に付けたのか?ということです。
そもそも、僕は娘に動詞の過去形や現在形など、時制も教えていません。
でも、割と普通に使いこなせるようになってきています。
とはいえ、まだ時制ミスが混じることも多いです。
今やりたいことに対して、
「~やりたかったの!」
と過去形で言ってくることもあります。
たとえば先日、朝ご飯の時に、僕が先にバナナをほうばっていると、それを見て、
娘:「パパ、一緒にバナナ食べようって言ったでしょ!」
と過去形で言ってきました。
僕:「え?初めて聞いたんですけど・・・そんなこと言ったっけ?」
娘:「パパ、一緒にバナナ食べようって言ったでしょ!」
僕:「それを言うなら、パパ、一緒にバナナ食べよう?って言わないと!」
娘:「・・・パパ、一緒にバナナ食べようって言ったでしょ!」
僕:「・・・通じてないか・・・」
というやりとりが、たまに起こります。
ちなみに、時制に限らず僕と娘の会話が成立する比率は、今のところ50%程度です。
2回に1回ぐらいは、娘が何を言っているのか内容が聞き取れず、僕が言うことも娘が理解できません。
そんな状態なのに、今回のようにいきなり高度な文法を使いこなしてくることがあるのです。
だからこそ、「急に進歩した」と感じた時の驚きが大きいです。
子どもの言語習得の順番がよく分からなくなっています。
僕の記録メモは、すでに追いつかなくなりました。
・・・つづく。
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