From 師範代Shinya(新村真也)
昔は「農業の時代」でした。農業の時代には、土地を持っている人が強く、お金をたくさん稼ぐことができました。
その後、「工業の時代」になりました。工業の時代には、工場をたくさん持っている人が強く、お金をたくさん稼ぐことができました。
そして今は、「情報化社会」になりました。情報化社会では、良い情報をたくさん持っている人が強く、お金をたくさん稼ぐことができる時代です。
英語ができるようになると、世界からリアルタイムで情報が取れるようになります。
日本語だけの場合に比べて、取れる情報の量と幅が大きく広がります。
その一方で、こんな意見もあります。
「最近は、世界のニュースもネットを通して日本語でリアルタイムに知ることができる。必要な情報はいつだって日本語で取れる。だから、英語なんて必要ない。」
というものです。これって、本当でしょうか?
たしかに、ヤフーニュースを見れば毎日世界各地で起きた情報が入ってきます。書店に行けば、海外の本の日本語版があふれています。
でも、実はここには大きな「落とし穴」があります。
英語の本が翻訳される3ステップ
英語の本の内容が僕ら消費者に届くには、3つのステップを通ります。
ステップ① 英語の本が出る。
↓
ステップ② 日本語に翻訳される。
↓
ステップ③ 消費者に届く。
もし、あなたが英語ができなかった場合、ステップ③で初めて本の中にある情報を手にします。
たしかに、昔に比べれば、このステップ①から③までの流れは速くなっています。
昔は英語版が出版されてから日本語版が翻訳されて出版されるまでに5年~10年かかっていました。
でも最近は、英語版の出版後1年未満で日本語版がリリースされることもあります。
でも、実はこの3つのステップの間に、もうひとつの「見えないステップ」があります。
見えないステップ
ステップ① 英語の本が出る。
↓
(見えないステップ=フィルターにかける)
↓
ステップ② 日本語に翻訳される。
↓
ステップ③ 消費者に届く。
この「フィルター」の部分が見えないステップです。フィルターにかけられ、無事通ったものだけが日本語版になって僕ら日本人の目に触れるようになるのです。
では、フィルターを通る基準は何でしょうか?
フィルターの基準
出版社が海外の本を翻訳して日本語版を出そうとしたとき、必ず考えことがあります。それは、
「採算がとれるかどうか?」
です。
つまり、この本を世に出した後、十分な数が売れて、ちゃんと利益が出るか?を考えるのです。
翻訳のプロに頼むには、お金がかかります。さらに印刷や書店への配送のコストを入れて、原書の著者へ印税を支払い、それでもちゃんと利益が出るかどうか?を考えます。
そこがクリアできないと判断された本は、企画段階でボツになります。
売れる本とは?
「売れる本」とは、言い換えれば、「たくさんの人が欲しいと思って買う本」です。
そのためには、一般大衆の心をつかまなければいけません。みんなが欲しがる情報が書いてある本なら、たくさん売れるので採算がとれます。
みんなが欲しがらないマニアックな情報を書いた本は、「採算フィルター」で引っかかってしまい、翻訳されて世に出る確率が低くなります。
本当に価値ある情報はどっち?
ここでクイズです。
次の2つのうち、どっちが情報としての価値が高いでしょうか?
① お隣さんも同僚も、みんなが当たり前に知ってる情報。
② 世間にはほとんど知られていない、ごく一部の人たちのみが知る情報。
どちらが価値が高いでしょうか?
もうひとつクイズです。次の2つの行動のうち、どっちがビジネスで成功する確率が高いでしょうか?
① 競合他社がみんな当たり前にやっていることを、自分もマネしてやる。
② まだ誰もやっていないことを自分が一番先に試す。
どちらがビジネスで成功する行動でしょうか?
きっと、2つの質問のどちらの答えも②になりますよね?
いつの時代でも、成功者というのは、
「大衆の知らないことを知っていて、大衆のやらないことを実行した人」
です。
逆に言えば、
「みんなと同じ情報を取り、みんなと同じ行動をして、自分だけみんなと違う結果を得られる、なんてことはない!」
わけです。
情報鎖国
出版社が設定している「フィルター」は、あくまで「出版社にとってお金になるかどうか?」が基準です。
「本を読んだ人にとってお金になるかどうか?」ではありません。
このフィルターが、希少性の高い情報=価値の高い情報を取りづらくしています。
これは、出版ビジネスの仕組み上、仕方のないことです。
前回の記事でご紹介した「日本一の経営コンサルタント」と呼ばれる神田昌典さんは、この今の日本の状態を、「情報鎖国」と呼んでいます。
人は海外旅行や出張などで海外に出入りすようになりましたが、情報は相変わらず江戸時代の鎖国と同じように規制がかかってしまっている状態だそうです。
フィルターを飛び越える力
でも、もしあなたが英語ができれば、このフィルターを自分で飛び越えて、海外の優秀な情報をダイレクトにいち早く取り入れて、実践するチャンスを得ることができます。
「情報鎖国」から抜け出せるのです!!
そして、それこそが、神田昌典さんがどん底から一代で富を築いた秘訣だったのです!
神田さんの成功の理由
神田昌典さんは、自身の著書「お金と英語の非常識なな関係」の中で、自分の成功の秘訣は、
「海外から最新のビジネス情報とスキルを輸入できたから」
だと言っています。
それを可能にしたのは、神田さん自身の英語力です。神田さんはあるとき、アメリカで発達した「ダイレクト・レスポンス・マーケティング」というジャンルの本の存在に気づき、それを英語版で買って、読みあさりました。
当時、このジャンルで日本語版の本は一冊も出ていなかったそうです。(その後、神田さん自身がこのジャンルの第一人者として英語版の翻訳を監修し、日本に広めました)
「ダイレクト・レスポンス・マーケティング」というのは、シンプルに言えば「通販」のスキルです。
ハガキやチラシ、インターネットなどを使って、物やサービスを消費者に直接売っていく手法です。
営業マンを雇う必要がないので、低コストで効率よく集客することができます。
最近はアマゾンの登場によって日本でもいろんな物を通販で買う文化が根付いてきましたが、ちょっと前までは、通販といえば化粧品や健康食品などしかありませんでした。
でも、アメリカでは10年以上前からいろんなジャンルの業種がこの通販の手法を取り入れて大成功しています。
身の回りの品で、通販で買えない物はないと言っていいくらいです。
神田さんは、この「ダイレクト・レスポンス・マーケティング」を、アメリカの本から学び、それを日本のビジネスの現場で実践していきました。
その結果、サラリーマンの仕事をリストラされて無職の状態から、わずかな期間で富と名声を手に入れました。
「日本一の集客コンサルタント」と呼ばれ、長者番付にも載るようになりました。
神田さんは、自身の著書、「お金と英語の非常識な関係」の中で、こんな風に言っています。
「もし今、記憶喪失になって、神様から2つだけ記憶を戻してやろうと言われたら、私は迷わず『英語』と『ダイレクト・レスポンス・マーケティング』の2つを選ぶ。なぜなら、この2つさえあれば、またゼロから富を築くことができる自信があるからだ。」
次回は、「本当に良い本が翻訳されないもうひとつの理由」について、僕自身の体験談も交えてお伝えします。
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