From 師範代Shinya(新村真也)
※僕が英検1級に合格した後すぐにTOEICテストを受けたストーリーの続きです。
(→前回のつづき)
リスニングのパート2でつまずいてリズムがガタガタになった僕は、集中力が落ちたままリスニングを終えました。
そして、ホッと息をつく間もなく、リーディングパートに突入しました。
ただ、この時点ではモチベーションはガタ落ちで、集中力を短時間で使い切ってしまったせいで、英語力も落ちていました。
そして、頭の中にこんな声が聞こえてきました。
「これ以上がんばって、いったい何のためになるんだ?もう今回は、絶対に満点は取れないだろう?満点が取れなければ、このテストを続ける意味はないんじゃないのか?」
僕は、この「完璧主義の批判者の声」にズタボロにやられて、ほとんど戦意喪失していました。
もう、このままテストを放棄して、部屋から出て行きたい気分になりました・・・
「無」になる時間
僕は、シャープペンを机に置いて、しばらく目を閉じて瞑想状態に入りました。
目を閉じたまぶたの裏側には、自分の生徒さんや同僚、上司の顔が浮かんできました。
僕はみんなに「今回満点取ります!」なんて宣言したことを後悔し始めていました。あぁ、あんな強気な発言、しなければ良かった!!
でも、もう言ってしまった言葉は戻せません。もう、恥ずかしくて、悔しくて、いてもたってもいられない気分になってきました。
このまま目を閉じたままリーディングの45分を過ごそうかな?と思い始めていました。
5分くらい瞑想しているうちに、だんだん心が落ち着いていきました。「もう、ダメだ」と諦めたことで、満点への執着がスーッと離れていくのを感じました。
落ち着いてきたら、自分の今の状況を客観的に見られるようになってきました。
誰のために?
「俺が今、取り乱しているのは、明らかに『他人の目』を意識しているからだ。
さっき、最初にリスニングパート2で聞き取れなかった時に、まっさきに浮かんできたのは、生徒さんや同僚、上司たちの顔だったな・・・
明らかに俺は、『他人にどう思われるか?』を気にしながら今回のTOEICテストを受けている。
だけど、それってどうなんだろう?俺は今まで、一度も『他人のため』に英語を勉強したことはない。英語のテストもそうだ。今までTOEICも英検も、すべて自分のモチベーション維持のために受けてきた。
自分がどこまで行けるのか?自分の目で見てみたい!という思いでテストを受けてきた。それなのに・・・今の俺はなんだ!!
他人にどう思われるか?ばっかり気にしているじゃないか!
そのせいで、ボロボロにかき乱されているじゃないか!今までの俺だったら、リスニング1問落としたぐらいで心が乱れたりしなかった。」
自分らしさ
「そもそも、満点を取らねば!!なんて肩肘張って緊張しながら受けることもなかった。俺は子供の頃から、テストで良い点を取ることに興味がないタイプだったはずだ。
100点満点を取りたいなんて思ったことはない。100点満点を取れなくても、自分の価値が低くなるなんて思ったことはなかった。
それが、今はどうだ?ガチガチになってるじゃないか!これじゃあ、何のために英語をやっているのか分からない。
俺は、他人を満足させるために英語をやってきたわけじゃない。自由に生きるために英語をやってきたんだ!
TOEICテストごときに、かき乱されてたまるか!」
そう思い始めたら、急にエネルギーが湧いてきました。
仕切り直し
「残りのテスト時間を何もせずに過ごすなんて、もったいない!それこそ、時間とお金のムダだ!
俺は今日、あと40分の試験時間で何を学べるのか?
今の時間を最大限活用にするには、どうしたらいい?
・・・解いてみよう!全力でリーディング問題を解いてみよう!
俺は挑戦者なんだ!まだゴングは鳴っていない!
試合は終わっていないんだ!」
と、ボクシングマンガのような会話が、自分の頭の中で繰り広げられました。
目を開けると、それまでとは違った景色が広がっているように見えました。
僕は、机の上に落としたシャープペンを手に取り直し、再び問題集に目を向けました。
・・・つづく。
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