From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
19年間もスクールに通っていて、エキストラの仕事しかゲットしていないK君の話を聞いて、僕は愕然としました。
なんとなく気付き始めていたことではありましたが、K君本人の口から聞いた事実が、
「このスクールに長く通っていても、俺たちの人生には何も起こらない」
ということを語っているようでした。
僕はやけくそになりながら、必死でなんともないフリをしつつ、K君にもう一つの質問をぶつけてみました。
僕:「ところでK君は、アクション俳優になりたいの?」
K君:「う~ん・・・まあ、そうだね。アクションは好きだね。」
僕:「さっきも殺陣の動きがすごく上手だったじゃん。けっこう練習してるのかなって思った。」
K君:「まあ、殺陣っていうよりも、俺の場合は格闘技が好きで、小さい頃から空手とか色々やってきたからさ。」
僕:「そうなんだ!俺も同じだよ。空手から入って、色んな打撃系格闘技をかじって、そこからこの技を活かしてアクション俳優になろうと思ったのが、このスクールに入ったきっかけなんだ。ここに来る前は、ジャパンアクションクラブとか、倉田さんのアクション道場の面接を受けに行ったよ。」
K君:「そうか!そっちにも行ったんだね。じゃあ、シンヤ君はかなり本気だね。」
僕:「本気・・・だったんだけどさ、今のアクションコースの先生に去年言われたことがあって、けっこうショックだったんだよね~」
K君:「もしかして、素手のアクションは日本には需要がないって話?」
僕:「そうそう!K君も聞いた?」
K君:「俺もそれ言われたことあるよ。まあ多分、当たってると思う。だって、日本のドラマとか映画で、ジャッキーチェンみたいな本格的な素手のアクションシーンて、ほとんど見たことなくない?」
僕:「ないね。全然ない。」
K君:「それが現実なんだよ。俺たちが好きな種類のアクションをやるには、香港とかに行かないと難しいのは間違いないと思うよ。」
僕:「だよね~、俺は香港まで行く気合いはないんだよね。中国語でセリフが言えるようになるまで猛勉強するモチベーションもないし・・・K君はどう?」
K君:「俺は・・・そうだなぁ~良く分かんないや。ただ楽しいからこのコースを取ってる感じ。アクションの道で食っていきたいか?って聞かれたら、そこまでじゃないかな。それより、俺は普通の役者の方がいい。」
僕:「そうなんだ!実は俺も、最近はアクションの道へ進むのは違うかなって思い始めててさ。でも、芸能界は興味あるから、演技のスキルはある程度は極めたいと思ってるんだけど、いったいいつになったらデビューできるのやらって感じ。」
K君:「あぁ、そうだね。でも、このスクールが何かしてくれるのをあんまり期待しない方がいいかもよ。ここに長くいても、俺みたくなっちゃう人も多いから(笑)」
僕:「K君は、将来のプランはどんな感じなの?いつまでに芸能人としてデビューしてプロの役者になるぞ!みたいな計画はあるの?」
K君:「う~ん・・・まあ、できるなら明日にでもデビューしたいけどね(笑)」
僕:「俺今、マジで悩んでてさ。今の最上級クラスに通い続けて、この先に何があるんだろう?って。」
K君:「まあ、何もない確率の方が高いと思うよ。俺の周りのいつもいる仲間だって、もう何年も通ってるけど、今までに実際にテレビや映画に出た人はいないんじゃないかなぁ・・・」
僕:「じゃあ、K君たちはどうしてこのスクールに通い続けてるの?」
K君:「まあ、俺の場合は物心つく前からこのスクールに通ってて、ここが自分の居場所みたいになってるんだよね。クラスメイトも先生も知り合いが多いし、単純に居心地がいいから。まあでも、こんなこと言ってちゃいけないんだろうなぁ~(笑)」
(やっぱり!あの和気あいあいとしたクラスに感じた違和感は、これだったのか!)
僕は改めて気付きました。僕はザワザワする心を落ち着かせてこの場を丸く収めるために、話を終わらせる方向に持って行きました。
僕:「そうか・・・まあ、演技を習う目的は人それぞれだよね。人前で堂々と話せるようになるだけでも、将来そのスキルがサラリーマンの世界で役立つかもしれないし。」
K君:「そうそう、そんな感じ。とりあえずやってて損はないっしょ?ハハハッ!(笑)」
僕はこれまで何となく「そうではないか?」と感じていたことが、K君と話してハッキリ分かりました。
内心ショックを受けつつも、モヤモヤが晴れてスッキリした気分になり始めていました。
・・・つづく。
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