From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と思って「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
同年代の男女が集まった、映画の役のオーディションは、静かな雰囲気で始まりました。
会場の入り口で受付を済ませると、待合室に案内されました。
待合室は、とても広くてキレイでした。
次々と人が集まっていき、全部で50人ぐらいの応募者が集合しました。
もっとたくさんの人達が来ると思っていたので、予想より少ないです。
しばらくすると、受付にいた30代ぐらいの女性の一人が待合室に入ってきました。
そして、今日のオーディションの流れを解説し始めました。
女性:「本日はお集まりいただき、ありがとうございます。このオーディションの流れを解説いたします。
まず、これは来年春から撮影が始まる予定の映画に出演していただく方を選ぶオーディションです。
役の雰囲気に合っているか?
基礎的な演技力があるか?
撮影スケジュールに合わせてお仕事をしていただけるか?
などを総合的に判断して選考いたします。
今からお渡しする台本に、まずは目を通しておいてください。
しばらく読み込む時間を取った後、お一人ずつ面接室にお呼びして、オーディションを行います。
それでは、よろしくお願いします。」
女性の説明が終わると、係の人達が列の一番端にいる人たちに台本の用紙の束を渡しました。
そして、隣の人に配っていくように伝えました。
回ってきた台本は、A4用紙1枚に印刷されたシンプルな文章でした。
女性のパートと男性のパートの2つが印刷されていました。
台本が全員の手に行き渡った後、先ほどの係の女性が言いました。
女性:「この2つのセリフのうち、男性は男性パートを、女性は女性パートを練習してください。」
文章の長さは、男性パートも女性パートも同じぐらいのでした。
ふつうのスピードで読み上げて1分ぐらいです。
みんなのリアクション
台本を見た人達のリアクションは様々でした。
「長い・・・」というささやき声やため息を出す人もいれば、まったく問題なさそうな表情をしている人もいます。
このオーディションは一般公募なので、演技経験者と初心者が混じっていると思われます。
僕は台本を見て、「スクールに通っていて良かった!」と思いました。
僕はこれまで、東京のタレント養成スクールのヒゲ先生の超スパルタなクラスで鍛えられてきました。
「1回5分~10分ぐらいの長さのセリフを1週間で完全に暗記して、感情を込めて語り聞かせる」
というレッスンを受け続けてきました。
そのおかげで、1分程度の長さのセリフなら、30分程度で暗記するコツをつかんでいました。
もし未経験だったら、このセリフを覚えるのは難しかったと思います。
セリフの内容は、おそらくこの映画の脚本のワンシーンを切り取ったものだと思われます。
このセリフだけでは、映画のあらすじまでは分かりませんが、20代~30代ぐらいの男女の会話シーンであることは分かりました。
係の女性が言いました。
女性:「20分後にオーディションをスタートします。時間になりましたら、また呼びに参りますので、それまでに準備やお手洗いをお済ませください。」
そして、待合室は僕ら応募者だけになりました。
待ち時間の雰囲気
待合室は静まりかえっていました。まだみんなの緊張感が抜けない状態です。
もしこれがタレント養成スクールのレッスンだったら、自主トレタイムになった瞬間に、生徒たちが大きな声でセリフ練習をし始めます。
自分の声が聞こえないぐらい、みんなの声が響き渡るところです。
でも今回は、まったく雰囲気が違いました。
とても静かです。
・黙ってじっと台本を見つめている人=8割
・小さな声ささやき声で練習している人=2割
といったところです。
「あれ?!誰も大きな声で練習しないぞ・・・」
僕は戸惑いました。
そうか!みんなセリフを覚えるときには「フルパワー音読」が必要だって知らないのでは?!
未経験者は「文章は目で見て覚えるもの」だと思っているのかも知れない・・・
あるいは、役者歴の長い達人で「フルパワー音読」をさんざんやり尽くしてそのステージを超えて、目で見ただけでサッと演技できる状態になっているのかも?!
そんなことを思いながら、周りを見回しました。
どうやら達人ぽい雰囲気の人はいなさそうです。
やっぱり演技初心者が多いのかも?
だとしたら、これはチャンス?!
僕はモーレツにやる気が出てきました。
・・・つづく。
※あなたの「やる気と才能」を引き出す、Saya(師範代Shinyaの妻)のオンライン対面セッションはこちら
—————————————
コメントを残す