【僕が「習い事」に感じた夢と希望⑫~演技編8】

From  師範代Shinya(新村真也)

(→前回のつづき)

※僕が20才の頃、「鉄工場の作業員」から、「アクション俳優」に転職しようと決めて、「ジャパンアクションクラブ」という団体のオーディションを受けた時のストーリーの続きです。

アクションシーンを演じる実技オーディションがすべて終わり、僕は興奮したまま放心状態になっていました。

面接官のボスは、何も言わずに審査書類に色々と書き込んでいます。

どうだったんだろう?

今のアクションの立ち回りの出来は良かったんだろうか?

自分の中では、結構できたと思ったけど、きっとプロの目から見ると、穴だらけなんだろうな・・・

そんなことを考えながらドキドキしていたら、ボスがついに口を開きました。

そして、静かな低い声で言いました。

ボス:「はい・・・以上になります。」

僕:「ありがとうございました!」

ボス:「普段からしっかり練習しているのが伝わってきたんで、見込みがあると思いますよ。」

僕:「ありがとうございます!」

ボス:「ただ、君はまだ線が細い。もっと筋肉をつけて、身体を大きくする必要があるね。」

僕:「はい!分かりました!」

#足りない部分を埋める

僕は元気よく返事をしながらも、内心思いました。

(あ~またか!この、「身体を大きくしろ」ってセリフは、空手の先生にも何度か言われたなぁ・・・

でも俺、食べても太れない体質なんだよなぁ・・・

ジャッキーと一緒にカンフー映画で活躍してるユン・ピョウだって、俺同じような細い体型だけど、スターになってるじゃん!)

もともと、極真空手の世界でも、僕は自分の体重が軽いことがデメリットになるのがイヤで、情熱が遠のいていった部分がありました。

たしかに、トレーニングで後天的に筋肉を強くしたりはできるかもしれませんが、骨格のサイズや身長などは、筋トレでは変えられません。

もともと肉付きが良くて体重が重い人と、僕のようなやせ型の人とでは、出発点が違います。

僕がめっちゃ頑張って体重を増やせたとしても、元から身体が大きくて何もしなくても体重が重い人と同じ土俵で戦うのは無理があります。

それは、英語の世界で言うと、「日本で生まれ育ったけどネイティブに憧れている人」が、周りの人たちから「この人はアメリカで生まれ育ったんだな」と思われたくて、無理矢理ネイティブっぽく振る舞っているような感覚です。

日本で生まれ育った人は、「ネイティブの土俵」に上がるよりも、「英語と日本語のバイリンガルの土俵」に上がった方が活躍できると思います。

「英語が話せる日本人」という立ち位置の方が、本来の力を発揮できると思うのです。

僕が少年時代に感じていた格闘技へのロマンは、「スキルを身につけることで、先天的な体型などを変えずに強くなれる」ということでした。

英語の世界に例えると、「日本にいながら、トレーニングによって英語力を上げることで、英語圏の国で生まれ育った人たちと対等に話せるようになる」という感じです。

オーディションの手ごたえ

話をオーディションのシーンに戻します。

面接官のボスの言葉「もっと身体を大きくしなさい」で、微妙な気分になったものの、

「とりあえずこのジャパンアクションクラブに入りたい!」

という気持ちが強かったので、ここは元気よく返事をしておきました。

僕:「頑張りますので、よろしくお願いします!」

ボス:「ところで、君は静岡県在住だけど、合格したら東京に出てくることはできるの?」

(おっ!これは合格前提の話が出たぞ!もしかして可能性あるかも!)

僕:「はい!東京に出てくる覚悟があります!」

ボス:「分かりました。じゃあ、また連絡します。お疲れ様でした。」

僕:「ありがとうございました!」

とりあえず、好感触な状態でオーディションを終えることができました。

行動することで開ける世界

オーディション会場を出た時に、僕は東京の街並みを見ながら思いました。

1ヶ月前には想像もしなかった世界が急に目の前に開けた・・・

テレビ局にかけた1本の電話がきっかけで、今自分は東京にいて、こうやってアクションスター養成機関のオーディションを受けている。

やっぱり、行動してみることが大事なんだなぁ・・・

モンモン悩んでた期間は何だったんだ?と思えるぐらい、一瞬で世界が変わったように見える。

俺は今まで自分を「鉄工場の作業員」としてしか見てこなかったけど、本当は俺は、何にでもなれるんだ!

世界は広い!可能性は無限だ!それが分かっただけでも、今日ここへ来た甲斐があった!

僕は、ウキウキしながら、家路につきました。

その2週間後に、大きな問題に直面するとは知らずに・・・

・・・・つづく。

 

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