【僕が「習い事」に感じた夢と希望:演技編150】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と思って「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
 
 
ミュージカル女優のM先生との会話は、思った以上に色々と突っ込んで話せる雰囲気になってきました。
 
 
(この流れなら、芸能界のリアルな現状も教えてもらえるかも?!)
 
 
そう思った僕は、M先生にこんな質問をしてみました。
 
僕:「M先生が、今までミュージカル女優の仕事をしてきて一番良かったことと、一番ツラかったことは何ですか?」
 
 
T君:「あっ!それ気になる!」
 
 

一番良かったこと

M先生:「まあ、面白い質問ね。一番良かったことは・・・う~ん・・・そうね、やっぱり最後にお客さんからもらえる拍手かしら。あの瞬間は、何度経験しても感動するの。」
 
 
僕:「そうなんですか!確かに、テレビとか映画ではお客さんの反応は見れないですもんね。お客さんからの拍手は、舞台ならではですよね!」
 
 
T君:「舞台かぁ~一度経験してみたいですね!」
 
 
M先生:「あのエネルギーはスゴいわよ!お客さんから舞台に向けられるパワーには、毎回感動するわ。それまでの練習のツラさも吹き飛ぶ感じ!」
 
 
僕:「そうなんですね!普通の職業では、そんな瞬間は味わえないですもんね。」
 
 
M先生:「もちろん、普通の仕事でもお客さんにありがとうを言われたりするシーンはあると思うし、みんなやりがいを感じる瞬間てあると思うの。
 
 
でも、私は舞台の上から何百人のお客さんの拍手を受け取る瞬間が一番感動するし、毎回大きな感動を感じられるのは、この仕事ならではだと思うわ。」
 
 
僕:「スゴいですね!毎回感動を味わえるなんて!」
 
 
T君:「そういうものなんですね・・・今までテレビに出ることばかり考えてたけど、舞台もいいなって思い始めました。」
 
 
M先生:「うふふ、舞台を見る機会ってある?あんまりないでしょ?」
 
 
僕:「正直言って、僕は舞台を見に行ったことないんです。
 
たぶん、昔学校のイベントで劇団四季とかの舞台を見よう!みたいなのがあったような・・・でもどんなだったか覚えてない・・・ぐらいのレベルです。
 
でも、M先生のお話を聞いて、すごく興味が出てきました!」
 
 
T君:「俺も全然ないや・・・こんど見に行こう!」
 
僕:「行こう!行こう!」
 
 

一番ツラかったこと

M先生:「あとは、一番ツラかったことよね。う~ん、そうねぇ・・・正直、私はこの仕事好きだからあんまりツラいと感じることは少ないんだけど、練習はけっこうキツいわね。
 
何度もやり直したりするから、肉体的にハードだと思うわ。」
 
 
僕:「なるほど!練習はハードですか!」
 
 
T君:「やっぱりそうなんですね。なんか、舞台監督が厳しく指導しているイメージがあります。」
 
 
僕はこの話を聞いて、超厳しかったヒゲ先生のレッスンを思い出しました。
 
 
今思い返すと、ヒゲ先生は僕らに「舞台監督の厳しい指導に耐える経験」を積ませてくれていたのかもしれません。
 
 
M先生:「あとはやっぱり、本番の日は絶対体調を崩せないっていうプレッシャーは大きいわね。
 
 
私、けっこう丈夫な方なんだけど、本番の日に体調が悪くなった時はツラかったわね。
 
 
本番当日に39度ぐらいの熱が出ちゃって。それでも休むわけにはいかないから、病院で注射を打って舞台に出た時は、ツラかったなぁ・・・」
 
 
僕:「えーーー!!39度の熱が出ても休めないんですか?」
 
 
T君:「マジっすかーー!!それはキツいですね!!」
 
 
M先生:「そうなのよ。まあ、大きな劇団とかなら常に代役を用意しておいて、役者が本番当日に倒れるリスクに備える場合もあるかもしれないけど・・・
 
私がいた劇団はそんなに大きくなかったから、代役がいなかったの。
 
おそらく、そういう所がほとんどだと思うわ。」
 
 
僕:「じゃあ、たとえインフルエンザになっても、注射を打って這ってでも舞台に出る、みたいな感じですか?」
 
 
M先生:「そうね。だからみんな体調管理はすごく気をつけているし、運悪く体調を崩しちゃったら、無理して出ている感じね。」
 
 
T君:「そうなんだ・・・厳しい世界ですね。」
 
 
僕:「たしかに!普通の仕事なら、休んでも後から挽回できたり、他の人達に振り分けることができるけど、舞台の仕事は本番当日が全てですもんね。」
 
 
M先生:「そうよ。だから、役者に必要な素質のひとつは、身体の丈夫さだと思うわ。風邪を引きやすいと、無理をする場面が多くなると思うから。」
 
 
T君:「M先生は、風邪を引きにくいんですか?」
 
 
M先生:「そうね、そこはラッキーかも。注射を打ってまで舞台に出たのは一度きりだし。ふだんも風邪を引くことはあまりないのよね。
 
引いてもそんなに悪化しないわ。まあ、普段から気をつけているってのもあるけど。」
 
 
僕:「そうですかぁ!僕は年に2~3回は風邪引いてます。風邪引くと喉の痛みから始まって、次に鼻水が出て、最後に熱が出るってパターンが毎回なんで・・・これはマズいなぁ・・・」
 
 
M先生:「喉の痛みもキツいわね。役者は声が命だから。ふだんの練習もしづらくなるし。」
 
 
T君:「なかなか厳しい世界ですね!」
 
 
M先生:「そう考えると、厳しい世界かもしれないわね。でもこれは、舞台に限らずテレビや映画のお仕事もそうだと思うわ。
 
撮影日に役者とスタッフ全員が集まって決められたシーンを撮れるチャンスは、一度きりだと思うし。
 
一人が体調を崩したせいで全員のその日のスケジュールがキャンセルになったら、すごい迷惑をかけちゃうからね。」
 
 
僕:「なるほど!確かに言われてみれば、そうですよね!みんなその撮影のためにスケジュールを空けて、交通費をかけて集まっているんですもんね。
 
売れっ子タレントの1日を確保するのは、お金がかかりますよね。そう考えると、すごいプレッシャーだなぁ・・・」
 
 
風邪を引くなと言われても、僕だってわざと風邪を引いているわけではありません。
 
 
どんなに気をつけても、冬になると風邪を引いてしまうことがあります。
 
 
僕はM先生のリアルな会話を通じて、芸能界の厳しさを改めて実感しました。
 
 
・・・つづく。
 
 
 

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