From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「鉄工場の作業員」から、「アクション俳優」に転職しようと決めて、「アクション俳優養成所」に入ろうとした時のストーリーの続きです。
候補を「アクション俳優養成所」から、「俳優養成所(タレントスクール)」にシフトしたことで、一気に選択肢が広がりました。
そこで僕は、とりあえず新聞広告でよく見かける「東京宝映テレビ」という会社のタレントスクールに応募してみました。
やはりここも、「オーディション」という名の体験レッスンがありました。
今までのアクション俳優養成所のオーディションは、主に「身体の動き」の部分に重点を置いた内容でした。
でも、今回は違います。何をジャッジされるのか?演技力か?声の通りか?滑舌か?
今までとは違った意味でドキドキしてきました。
驚くほどの受験者の数!
今回の会場は、東京の高級ホテルの、超デカいホールのような場所でした。
会場に着くと、予想以上の数の人たちが集まっていました。トータル300人以上はいそうな雰囲気です。
年齢層もバラバラで、小さな子供から僕よりずっと年上の大人まで、まさに「老若男女」です。
「こんなにタレントになりたい人たちがいるのか!」
と僕は驚きました。やはり、アクション俳優養成所とは「母数」が違います!
なんて競争の激しそうな世界なんだ・・・ここで勝ち抜いて、さらに生き残るのは、そうとう大変だろうな。
まさに弱肉強食の世界だ・・・
そう思いました。
オーディション、スタート!!
オーディションは、僕の予想とはまったく違った雰囲気で始まりました。
なんと!複数いっせい同時進行で始まったのです!
今までのアクション俳優養成所のオーディションは、ひとりずつ会議室のようなところに呼ばれて、個別で面接試験を受けました。
でも今回は、面接官が何十人もいて、広い部屋のカベに沿って4方向に並んでいました。
そして、僕ら受験者はそれぞれのテーブルに振り分けられて、一列に並んで待っていました。
みんな一斉に始まるので、会場内は一気にガヤガヤし始めました。
あまりにうるさいので、もう、前の人が面接中にどんな会話をしているのかも聞こえません。
その景色は、圧巻でした!
こんなにたくさんの人数の中に放り込まれたのは、高校の全体朝礼以来です。
高校の朝礼は同い年の人たちばかりでしたが、今回はまったく雰囲気が違います。
ここまでバラエティー豊かな人たちが同じ道を目指すというのは、面白い世界だなぁと思いました。
オーディションの内容
いよいよ、僕の番がやってきました!
僕の担当面接官は、母親ぐらいの年齢の女性でした。スクールの演技クラスの先生でしょうか?声が大きくて、滑舌が良くて、ハキハキしています。
見るからに厳しそうな雰囲気です。
オーディションは2部構成で、最初の1部では、舞台の台本のコピーを渡されて、それを感情を込めて読み上げる、というものでした。
これを同じ会場にいる何十人もの人たちが行うので、ものすごい大合唱になりました。
僕は、周りに負けないように、大きな声を出しました。
でも、周りがすごいうるさいので、かき消されてしまいます。
面接官の女性は、僕の読み上げるセリフにしっかり耳を傾けているようでした。
これまでのアクション俳優養成所と違って、身体能力ではなく、「滑舌、声の大きさ、感情を込める演技力」などをジャッジしているようです。
こういうオーディションを受けると、やはり「セリフ」というのは役者にとって一番大事な部分なんだな、と改めて感じます。
僕がセリフを全部言い終わると、面接員の女性は手元の採点表っぽい用紙に何やら書き込んでいました。
でも、特に「ここをこうすると良い」みたいなフィードバックはありませんでした。
ちょうど英検の面接みたいな感じです。
英検は3級~2級までは、面接カードを渡されて、そこに書いてあるストーリーを面接官の前で読み上げるスタイルです。
英検の2次試験では、面接官は採点はしますが、特にホメたりフィードバックはしてきません。
今回のオーディションも、まさにそんな感じでした。
続く第2部では、「面接官に意気込みを伝える」というパートでした。
ここは、僕の得意分野です!
僕は、今の鉄工場の正社員の仕事を辞めて、東京に引っ越してバイト暮らしをする覚悟がありました。
これは、僕がそれまでに受けたアクション俳優養成所2カ所で言われたことでした。
「今の静岡での仕事を辞めて東京に引っ越して、バイト暮らしをしながらレッスンを受ける価値がありますか?」
と。
最初の2回は即答できませんでしたが、時間がたった今は、僕の中で覚悟が固まっていました。
いつでも東京に出てくる覚悟があります。
僕の「本気度」を伝えれば、面接官も納得するに違いない!
そう思って話し始めました。
でも、第2部の面接は、まさかの予想外な展開になりました・・・
・・・つづく。
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