【僕が「習い事」に感じた夢と希望37~演技編34】

From  師範代Shinya(新村真也)

(→前回のつづき)

※僕が20才の頃、「鉄工場の作業員」から、「アクション俳優」に転職しようと決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。

僕が演技を習い始めてしばらくたった頃のこと。

初めての「夏休み期間」がやってきました。

このスクールは、ほぼ年中無休と言っていいぐらい、平日も土日も常に何かしらのクラスがあります。

通っている人の数も多いです。地方在住者が週末に夜行バスで通ってきたりもするので、土日も終日レッスンをやっています。(僕も日曜日に地方から通う組の一人でした)

そんな感じなので、夏休みのお盆期間も、もちろんレッスンをやっています。

といっても、通常レッスンはお休みで、代わりに「短期集中ゼミ」と呼ばれるコースがありました。

自分の好みや将来の目標に合わせて、演技以外のスキルを学べるコースがいくつか用意されていました。

ゼミに参加する場合は、ふだんの月謝とは別に授業料がかかります。

でも僕は、数年前からクルマを買うために貯めていたお金をすべてこの道に注ぎ込むと決めていたので、迷わず申し込みました。

ゼミは5日間連続で、1クラスは3時間です。

時間帯は、午前9時~12時、午後13:00~16:00のどちらかを選びます。

午前&午後両方申し込んで、1日に2クラス取ることもできます。

ただし、午前&午後とも内容は同じになるので、違うクラスに申し込まなければなりません。

 

アクション俳優養成ゼミ

まず、僕はソッコーで「アクション俳優養成ゼミ」に申し込みました。

実際にアクション映画の振り付け(殺陣:たて)をしている「殺陣師(たてし)」の先生が、期間限定で教えに来てくれるそうです。

もともと僕が演技の世界に足を踏み入れようと思ったのは、アクション俳優になりたいからです。

ここは絶対に外せません!

アクション俳優養成ゼミだけだと、半日で終わります。

僕は交通費を節約するために、ゼミの期間はビジネスホテルに泊まることにしていました。

ホテル宿泊費の方が、交通費よりも安いからです。

せっかくなら、もうひとつゼミを取ろう!と思い、「HIPHOPダンス」のゼミに申し込みました。

 

ダンスで身につけるリズム感

なぜダンスを選んだかというと、以前アクション俳優養成所のオーディションを受けたときに、面接官の方が、

「アクション俳優になるには、リズム感も必要だ」

と言っていたのを思い出したからです。

アクションの立ち回りでは、片方の演技者がパンチやキックなどの攻撃を出したら、もう片方が攻撃をブロックしたり、食らったフリを頭を振りながら倒れ込みます。

この時、演技者同士のお互いのリズムと呼吸を合わせていないと、本当にパンチやキックが顔面に入ってしまい、大ケガにつながったりすることがあるそうです。

リズム感は、アクション俳優にとって必須のスキルなのです。

そのため、僕が以前応募したアクション俳優のスクールでは、アクションのレッスンだけではなく、ダンスのレッスンがカリキュラムに組み込まれていました。

 

理想のアクション俳優養成プログラム

僕はそのカリキュラムを見て以来、「ダンスは身につけなければならないスキルだろうな・・・」とずっと思っていました。

そこで、この夏休みの集中ゼミ期間に、理想のアクション俳優養成プログラムを受けるために、HIPHOPダンスのゼミにも申し込みました。

午前中9:00~12:00=ダンスレッスン

午後13:00~16:00=アクションのレッスン

「まったく新しい自分」になれる場所

僕は当時、ダンスにはまったく興味がありませんでした。武道が好きな僕は、硬派な世界観を持っていたので、

「HIPHOPダンスなんて、チャラいやつか、軟弱者のやるものだ」

という偏見を持っていました。当時、僕はジャニーズのスター達が大嫌いでした。(たくさんの女性たちからキャーキャー言われてモテている彼らへの嫉妬心も大いにありました)

そんな自分がHIPHOPダンスのゼミに申し込むのは、かなり勇気がいりました。

ただ、ひとつ良かったのは、養成所が東京にあったことです。

東京に着くといつも僕は、「自分のことを誰も知らない土地に来た」という感覚が強烈にありました。

地元静岡で誰か新しい人(特に同世代)と出会うと、すぐに出身校や住んでいる地域の話になります。

なんだか、狭い世界でカテゴリー分けされているような気分になります。

初対面だけど、お互い共通の知り合いとつながっていたりする場合もあります。

でも、東京の演技スクールで出会う人たちは、出身校や地域のことなど、誰も聞いてきません。

もし聞いても知らないので、分かりません。

自分のことを誰も知らないからこそ、ここでは「まったく新しい自分」になれると感じます。

そんな感覚があるからこそ、僕は初めてのHIPHOPダンスに申し込んでみようと思いました。

・・・つづく。

 

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