From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
ヒゲ先生の厳しいレッスンに食らいついて生き残ったクラスメイトとの間には、自然に仲間意識が芽生えてきました。
以前のレッスンの中では「本気で通っている硬派メンバー」の間には何となく、
「教室内の全員がライバルだ!仲良くしちゃダメだ!」
という、変なプライドのようなものがありました。
でも、このクラスで生き残っている人達は「お互いに高め合う」ような関係になっていました。
1人1人の「120%本気の演技」を目の前で見ることで、その人に対して親近感がわくようになりました。
よくスポーツの試合で全力を出し合って戦った相手とハグするシーンが出てきますが、それに近い感覚かもしれません。
そして僕はこのスクールに通い始めてから初めて、「友達」ができました。
初めての演技友達
ある日、同じクラス内にいて僕と年齢の近い男女「T君」と「Sさん」の3人で、レッスン後に一緒にご飯を食べに行こう!という話になりました。
そこで僕は、自分が毎週通っている中華料理屋を紹介しました。
ここは店内にいつも中国語が飛び交っていて、ジャッキー映画好きな僕にとってはモチベーションが上がる場所でした。
アクション俳優への道に対する情熱が冷めた後も、ここのエビチャーハンがおいしくてコスパも良いので、いつも帰りに寄って食べてから帰っていました。
僕が寄る時間帯は店内に他のお客さんがほとんどいないので、1人で静かに今後のことを考えたり、店員さんに自分の夢を語ったりする時間を楽しんでいました。(もちろん日本語です)
店員さんは、いつもカタコトの日本語で僕の話を聞いて良いリアクションをくれました。
そんな僕の「秘密基地」のような場所に、初めてクラスメイトを連れてきました。
店員さんは、とても嬉しそうにしていました。
「学校の友達できたのデスカ?良かったネェ~!」
と言いながら、いつもと同じエビチャーハンを3人分頼んだだけなのに、無料サービスで餃子やデザートなど、いつもより3品ぐらい多めに出てきました。
そんな店員さんに感謝しながら、僕とT君とSさんは、演技についてじっくり語り合いました。
・ふだんどんな感じで音読練習をしているのか?
・今のクラスに初めて入った時の感想
・将来の目標
などなど、目の前のことから先のことまで、熱く語り合いました。
シェアすることの効果
話し合ってみると、僕ら3人は同じような悩みや不安を抱えていることも分かりました。
T君もSさんも、僕と同じように演技に集中するために仕事をパートタイムに変えて、地元からこのスクールに通っていました。
僕らに共通していたのは、
・自分の中で期限を決めないと、いつまでもこの状態でダラダラ行ってしまうのではないか?
・芸能界は外から見えづらいので、どうやって入り込んでどう自分を売り込んでいくのか?が分からない。
・芸能界というジャンルはボヤッとしていて、自分がどんな方向性に向かいたいのか?自分が得意なジャンルは何なのか?がイマイチ見えない。
という不安や疑問でした。
「あ、みんな同じこと考えていたんだ!」と僕はこの時、初めて気付きました。
僕の場合は自分が特殊なケースだと思っていました。
①最初「アクション俳優になりたい!」と思ってスクールに通い始める。
②その後日本国内にアクション俳優の需要が少ないことが分かる。
③アクション俳優にならないなら、一体自分は何をしたいんだ?と迷いが生じる。
④そのタイミングでヒゲ先生のレッスンが始まったので、今は目の前のことに集中してみよう!そこで新しい道が開けるかもしれない。と思うようになる。
僕の場合はこんな感じだったので、進む方向に迷いが出ているんだと思っていました。
他の人達は最初からふつうの芸能界(ドラマや映画、バラエティーなど)を目指していて、迷いなんてない状態で突き進んでいるのかと思っていました。
でも、T君とSさんも同じ悩みを持っていました。自分がどの方向に進みたいのか?そもそもどんな選択肢があるのか?ボヤッとしていて分からない、と教えてくれました。
僕らは中華料理屋さんで2時間以上語り合いました。それだけでは足りずに、店を出てから外の公園ぽいスペースに座ってもう1時間ぐらい話しました。
僕は新幹線の終電ギリギリ間に合うまで粘って3人で話しました。
僕はこの時、夢や目標を誰かとシェアし合うことの効果を実感しました。
・・・つづく。
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