From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
新しい道へ進もうとすると、必ずと言っていいほど現れるドリームキラー。
でもドリームキラーが「自分自身の鏡」だと考えると、彼らの意見に反撃しても意味がないことが分かります。
ドリームキラーの言葉に反撃するのは、「鏡に向かって言い返す」ようなものだからです。
「ドリームキラーは自分自身」と思えたら、対処法は2つあります。
①ドリームキラーから距離を取る。
②ドリームキラーの言葉を一度受け止める。
①はみんなよくやっている方法だと思います。僕自身も、演技を学んでいた時にはそのことをあまり人前で言いませんでした。
英会話を始めたときにも、職場の同僚や上司には内緒にしていました。
上級テクニックは、②になります。
たとえば、役者の道へ進もうとした場合に身近な人から、
「そんな道へ進んで大丈夫か?芸能界は競争が厳しい世界だろ?しかも、収入が不安定で、浮き沈みが激しいだろうし。収入が不安定だったら、結婚して家庭を持つこともできないかもしれないぞ。」
と言われたとします。(ちなみに僕は、このセリフを鉄工場をやめる時に親方から言われました)
これに対して②のパターンで対応した場合は、こんな返し方が想定できます。
心の中:(そうか・・・自分の中にはこういう不安があるのか。俺は今、「芸能界は競争が厳しい」「収入が不安定」「浮き沈みが激しい」「結婚して家庭を持つこともできない」と思っているんだな)
自分:「そうですね。確かに芸能界は不安定で浮き沈みが激しいイメージがありますよね。収入も不安定で、家庭を持つこともできない人生になるかもしれませんね。そう考えると不安です。僕の中にも、そういう不安があります。」
ドリームキラー:「だろ?悪いことは言わないから、やめとけって。」
自分:「ありがとうございます。こういうリスクがあることをしっかり考えながら、進んでいきたいと思います。
とりあえずダラダラ続けるのも良くない気がするので、自分の中でボーダーラインを決めることにします。
3年間全力で頑張ってみて、まったく芽が出ないようであれば、スパッと諦めようかと思っています。
芽が出なかった場合は、3年間スクールに通うのにかかった授業料は、人生勉強の自己投資だと思って割り切ります。」
ドリームキラー:「3年間ねぇ・・・なんだかお金と時間のムダになる気がするけど・・・」
自分:「そうですね。たしかにお金と時間をムダにするかもしれません。
ただ、たとえプロの役者として成功できなかったとしても、身につけた演技のスキルはその後の仕事で役立つことがあるかもしれません。
それに何より、一度その道へ全力で取り組んだ経験があるかないか?で人生の満足度が変わる気がするんです。
後悔のない人生を送るための自己投資と考えたら、3年間スクールに通うためのお金と時間はムダにはならないと思っています。」
こんな感じの返し方です。
もちろん、いきなりこんな返しができることはないと思います。
最初は相手にカッとなって言い返したり、言い負かされてヘコんだりするでしょう。
このセリフはあくまで「分かりやすい具体例」として書いてみました。
このセリフは、「相手に反撃している」というよりも、「自分自身の不安な心」に対して優しく語りかけているような感覚だと思います。
不安を無視するのでもなく、不安に打ち負かされるのでもなく、「不安を感じながらも行きたい方向へ進む」という姿勢です。
僕ら人間は、一度も経験したことのない道へ進む時には不安を感じるようにできています。
これは、脳にインプットされた自己防衛本能です。
でも、新しいスキルを身につけたり、新しい道へ進む時には、必ず「不確定要素」が出てきます。
不確定要素のあるものをやる以上、不安は必ず出てきます。
自分の中にある不安を身近な人達が敏感にキャッチして、鏡になって否定的な言葉を投げかけてきます。
だからある意味、ドリームキラーが出てきた時には「正しい道へ進んでいる」というサインと捉えることができます。
「絶対うまくいく保証」があることだけを毎日やっていても、人間の脳は満足できません。
人間の脳は2つの矛盾する欲求を持っています。
「今までと同じ生活を続けて安全を保ちたい」
という原始的な生存本能がある一方で、
「新しいことにチャレンジして人生の可能性を広げたい」
という欲求も持ち合わせているのです。
この2つは相反する欲求なので、どちらか片方を優先させると、もう一方が綱引きのように作用して元に戻そうとしてきます。
新しいチャレンジをすればドリームキラーが現れて不安をぶつけてきます。
新しいチャレンジを避け続けて生活していれば、夢を次々叶えている人の存在が気になって、「このまま人生を終えたら後悔するんじゃないか?」と不安になってきます。
そんな「綱引き作用」を感じなら、僕らは先へ進むしかないのです。
不安を感じながらも進む中で、新しいことが自分の中で「当たり前」になった時、それまで「不安を感じるチャレンジ」だったことが「安全な生活の一部」に変わります。
そうなったら、自分の心から不安は消えて、ドリームキラーはいなくなるでしょう。
そしてまた新しいことにチャレンジして、またドリームキラーが現れて・・・の繰り返しになる気がします。
・・・つづく。
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