From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
前回までの記事では、夢を追う人の前に必ず現れる「ドリームキラー」とその対処法についてお伝えしました。
とはいえ、この対処法は20歳の頃の僕は知りませんでした。
僕ができることは、「演技の話題を人前でしない」ことだけでした。
そして、僕の仲間のT君とSさんも同じように、ふだんは演技を学んでいることを人前では言わないようにしていました。
そんな状態を続けるうちに、「本当の自分」を抑えながら生活しているような感覚になっていました。
正確に言うと、本当の自分を抑えるというよりも、
「変化しようとしている自分を隠しながら、以前の自分と同じように振る舞っている」
という表現が正しいのかもしれません。
よく自己啓発本などには、
「新しいことを始めたら、人間関係も新しくしなさい。過去の人間関係を保とうとしたら、過去の自分のままでとどまるしかなくなる」
なんてことが書かれていることがあります。
でも、そんなにカンタンに人間関係をガラッと変えることはできないと僕は思います。
いきなり仕事を変えたり、今の友達と縁を切って新しい友達をゼロから作る、そんなことは「絶対できない」とまでは言いませんが、「かなりの覚悟とエネルギーがいる」ことは間違いありません。
まして、僕はまだ「本当に役者になりたいのか?この道で生活していきたいのか?」を見極めている最中でした。
芸能界に飛び込んでドップリ浸かろう!とまでは思っていなかったのです。
(一度はすべてを捨てて上京しようと思いましたが、今通っている俳優養成所の面接官に怒られて考え方が変わりました)
だからこそ、今のままでしばらく様子を見たいと思っていました。
そのためには、今の人間関係を一新するなんて大げさなことはできません。
おそらく、ほとんどの人達にとっては同じ状況だと思います。
#2つの世界を行ったり来たり
これまで僕は孤独を感じていました。演技の話をできない地元の人達とは話が合わなくなってきていました。
東京では周りのクラスメイトをライバル視していたので、あまり仲良くしてはいけないと思って友達を作らないようにしていました。
でも、ヒゲ先生のクラスになったことで、
「全力で自分の限界に挑戦していると、周りの人達との競争心はなくなってくる。戦うライバルというより、同じ道を目指す仲間に感じられるようになる」
という経験を初めてしました。
そして思いきって孤独ゾーンにいるのをやめて、T君とSさんと友達になりました。
すると、そこに新しい世界ができました。
新しい人間関係ができると、そこが自分にとって新しい世界になります。
そして僕は、2つの世界を行ったり来たりすることが楽しくなってきました。
・1つ目の世界は今までと同じ人間関係。(地元静岡の人達)
・2つ目の世界は新しくできた養成所仲間。(T君&Sさん)
2つ目の世界で「変化している自分」を思い切り出せるようになったことで、1つ目の世界で「無理に自分を抑えている感覚」がなくなりました。
僕がT君とSさんの前で、
「俺は将来、○○な感じの役者になりたいんだー!そしていつか、ジャッキー・チェンと共演するぞ!」
と言えば、T君とSさんは、
「いいねぇ!シンヤ君ならできるよ!その姿が目に浮かぶよ!」
と100%賛同してくれました。
そしてT君とSさんも、
「俺は○○みたいになりたい!○○で活躍するぞ!」
「私は○○みたいになりたい!3年後には○○している!」
と宣言するのを聞くと、僕も熱くなってきました。
そして不思議なことに、T君とSさんの前で自分の本音を出し切ると、地元に帰って1つ目の世界の人達と過ごしている時にも、ストレスを感じなくなりました。
「こっちはこっちの世界で楽しもう」
みたいに割り切れるようになったのです。
僕はこの時の体験から、新しい習い事を始めた時には、できるだけそこで「仲間」を作るようになりました。
ふだんの日常生活から離れてまったく新しい人間関係を作ることで、2つの世界を行ったり来たりするメリットを感じられるようになったのです。
2つ目の世界を築いておけば、「こっちの生活に乗り換えようかな」と思った時には「ゼロからのスタート」ではなくなります。
「すでに自分のことを知っていて、応援してくれる人達がいる世界」
に乗り換えるのと、
「まったく未知の世界に飛び込んでいく」
のとでは、心理的なハードルがまったく違います。
そして僕は、「2つの世界を行ったり来たりすることの楽しさ」を知ってしまった後は、たとえ新しい世界に乗り換えても、そこでまた別のもうひとつの世界を作って行ったり来たりするようになりました。
今思い返すと、この時のT君とSさんと友達になったことが、僕にとって初めて「2つの世界を持つ楽しさ」を知る体験になりました。
・・・つづく。
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