From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
高校時代に「ケンカが強いヤツ=イケてるヤツ」という価値観に染まった僕は、
・土日はバイト
・平日は家で空手を独学
というスタイルの生活を始めました。
まず、空手の独学用の本を買いました。タイトルは、
「6週間で強くなる 空手」
と書いてありました。今思い返せば、よくある英会話本みたいです。
「6週間でペラペラになる 英語」
みたいなタイトルの本は、よく見かけます。
でも、当時の僕は「6週間で武術が身に付くはずがない」と分かっていました。
それはきっと、小さい頃からジャッキー映画を見ていたからだと思います。
ふつう、武道は何年も修行が必要です。
でも、この本の良いところは、「見ているだけでモチベーションが上がること」でした。
何より、表紙の写真がものすごくて、「どうやって撮影したんだろう?」と思うくらい、高いジャンプキックを先生がかましている写真が載っていました。
当時見てもかなり古めかしい本だったので、初版は相当昔に作られたんだと思います。
ジャッキー映画に出てくるカンフーの「極意書」のような雰囲気が気に入っていました。
そして、中にも写真がたくさん載っていて、基本的には「写真を見ながら学ぶ」スタイルでした。
1カットごとに、著者の金沢先生がキレイなフォームで動きを解説していくれています。
先生の真剣な表情と、全身からほとばしる情熱が、写真を通してビリビリ伝わってきました。
この本を開くたびに、
「よっしゃ!今日もやるぞ!」
という気持ちにさせられました。
良い本
僕は、独学で使える良い本とは、「本を開くだけでモチベーションが上がる」ものだと思います。
文字でも写真でも絵でも、見ることでモチベーションが上がることが、何よりも独学を続けさせてくれます。
そういう点で、この金沢先生の「6週間で強くなる 空手」の本と、森沢洋介先生の「英語上達完全マップ」は、共通点があります。
どちらも、「その道を究めた達人」が情熱を込めて書き上げた本です。
その本から、「読者のスキルを上達させたい!」という著者の熱い想いが伝わってくるのです。
僕が高校時代、そういう想いが伝わる空手本に出会えたことは、本当にラッキーでした。
書いてあることをすべて実行
僕はさっそく、空手の本に書いてあることをすべて実行に移しました。
とても分かりやすかったのは、その本には、6週間でやるべきことがすべて載っていたのです。
第1週:1日目
第1週:2日目
第1週:3日目
みたいな感じで、毎日やるべきことが詳しい写真解説付きで載っていました。
読者は、ただその指示に従って進むだけです。
(※実は、僕が今作っている「ハイブリッド型英語トレーニング動画セミナー」や「瞬間英作文トレーニング14日間セミナー」のスタイルは、この空手本からアイデアを拝借しています。)
ジャッキーごっこ
本を読みながらひとりで技の動きを練習するのは、とても楽しい体験でした。
というのも、それはまさに、子供の頃に体験した「ジャッキーごっこ」にそっくりだったからです。
ジャッキー・チェンの映画の中では、最初に弱いジャッキーが強くなるまでに2つのパターンがありました。
①師匠に鍛えてもらって強くなる
②カンフーの「極意書」を手に入れて、読みながら強くなる
の2パターンです。映画によってはどちらか一方だったり、両方が組み合わさっているものもありました。
「極意書」を読みながら1人で技の練習をして、みるみる強くなっていくジャッキーの姿は、少年の僕の心を揺さぶり動かしました。
そして数年後、高校生になった自分は今、まさにジャッキー映画を地で行くようなことをしているのです!
手作りサンドバッグ
僕は、ホームセンターで「太い木の角材」を買ってきました。次に、家の押し入れにある「使わなくなった古いフトン」を出してきました。
そのフトンで角材をグルグル巻きにして、「手作りサンドバッグ」を用意しました。
それをイスの上に置いて、カベに立てかけて、突きと蹴りの練習用にしました。
空手の本で金沢先生が解説している「正しいフォームの写真」を見ながら、手作りサンドバッグに向かって技を繰り出していきました。
独学の楽しさ
僕は、このスタイルの独学を始めて以来、その楽しさにすっかりハマってしまいました。
人知れず、密かにトレーニングしている自分が楽しくて仕方ありませんでした。
「こっそり強くなって、いざ!という時に、絡んできた下級武士を空手の技でやっつたら、超カッコいいじゃん!」
と思っていたのです。これはちょうど、
「こっそり英語を勉強して、海外旅行先でいざ!という時にみんなの前で英語を披露したら、超カッコいいじゃん!」
という感覚と似ています。(英語を勉強していることを家族にも内緒にしている人はけっこういます)
イケてる自分
今思い返せば、僕は別にケンカをしたかったわけではありません。
下級武士達をやっつけたかったわけでもありません。
僕は空手を習うことで、「イケてる自分」を手に入れたかったのです。
「自分は強いんだ!」と心から信じられる、自信を手に入れたかったです。
これは、英語学習でも同じだと思います。
英語を話せるようになることで、
「イケてる自分」
「もっとやれる自分」
「今まで見たことのない自分」
を見てみたい!
それが、英語を学ぶモチベーションになっているんだと思います。
「独学である程度の下地を作っておいて、自信がついたら町の空手道場に通う」
という僕の計画は、着々と進んでいきました。
・・・つづく。
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