From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
僕が最近読んで衝撃を受けた、「もしも高校四年生があったら、英語を話せるようになるか」というタイトルの本のレビューの続きです。
この本が他の英語学習本と決定的に違うポイントがあります。
それは、「ストーリー仕立てになっている」ということです。つまり、これは「物語=小説」なのです。
完全なストーリー形式で書かれた英語本は、僕の経験上では始めて見ました。
ふつう、英語のハウツー本は著者が読者に語りかける口調で進んでいく、「講義形式」がほとんどです。
ビジネス書もこの講義形式が多いです。
講義形式のメリット
講義形式のメリットは、
・章ごとに区切ってあるので、パラパラ立ち読みしても、内容が分かる。
・少ない文字数で伝えられるで、本を薄くできる。
・イラストを多用することで、さらに読む人のハードルを下げることができる。
という点です。
講義形式のデメリット
一方で、講義スタイルのデメリットは、
・途中で飽きて読むのをやめてしまうことがある。
・読者が今持っている意見や考え方と違う場合、頭の中で「本当かなぁ?」「俺はそうは思わないけど?」という反論が起こる。(無意識ゾーンで)
という点です。
ストーリー本のメリット
そんな講義スタイルの短所を埋めるのが、ストーリー形式のハウツー本です。
ストーリーを使うスタイルのハウツー本の長所は3つあります。
・単なる「講義」に比べて、小説や映画などのストーリーは人間の記憶に残りやすいので、ストーリーの中での「教え」も一緒に記憶に残る。
・上手に描けているストーリーは、人の心を動かす。人は感情を揺さぶられると、行動に移したくなる。
・物語(フィクション)という前提で読み進めていくので、途中で脳の「反論」が起こりづらい。
というメリットがあります。
そして何より、僕らは子供の頃から大人になるまでずっと、「物語を聞かされること」に慣れ親しんでいます。
子供の頃、ベッドで親に絵本を読んでもらった経験のある人は多いでしょう。
大人になった後も、僕らはドラマや映画を見たり、小説を読んでストーリーを楽しみます。
ストーリーを楽しむことは、僕らにとって最も慣れ親しんだ行動です。
だから、本来は「新しい教え」を学ぶときは、ストーリーの中で伝えられた方が、心の中に入ってきやすいのです。
ストーリー形式で大成功したビジネス本
このストーリー形式で世界的な大成功を収めた有名なビジネス本があります。
それは、ロバート・キヨサキ氏の名著、「金持ち父さん貧乏父さん」です。
改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)
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この本は、短く言ってしまえば、巷によくある「お金持ちになって自由に生きるための教え」を説いた本です。
ふつうなら、「あぁ、またこの手の本か。もう、見飽きたよ。」というリアクションになるでしょう。
また、お金もうけに関する本は、なんとなく胡散臭い雰囲気もあります。
ライバル本が多く、イメージもあまり良くないこの手のジャンルの中で、ロバート・キヨサキ氏はあえて「ストーリー形式」を使って書くことで、この本は世界中で大ヒットしました。
この「金持ち父さん貧乏父さん」の本を読んだ人たちの中には、良くできたストーリーに心を揺さぶられて、実際に行動を起こした人が多くいました。
当然、行動すれば「成果」が出ます。成果を感じることで「この本良いよ!」と感じる人たちが増えました。
実際に行動を起こして、お金持ちになって自由を手に入れた人たちが、本やネットを通じて情報を発信するようになりました。
たくさんのお金持ちの人たちから「私の人生を変えた本」として紹介されることで、「金持ち父さん貧乏父さん」の本の評判はどんどん広がっていき、世界109カ国で読まれ、3,000部以上を売り上げました。
もし、金持ち父さん貧乏父さんの本がストーリー形式ではなく、講義形式だったら、ここまで売れたかどうかは分かりません。
本を読んで実際に行動に移した人の数も、もっと少なかったかもしれません。
これがストーリーの持つパワーです。
ストーリーは、人の心を動かし、行動に駆り立てるのです。
ストーリーの持つパワーで英語学習法を伝える本
そのストーリーの持つパワーを最大限に活かして「本当に効果のある英語習得法」を伝えてくれるのが、この「もしなる」の本です。
ここが、ふつうの英語学習本との最大の違いです。
でも、いくらストーリー形式だからといっても、もしそのストーリー自体がつまらなかったとしたら、意味がないですよね?
この本のスゴいところは、実は「よく練り上げれたストーリー」にあります。
次回の記事では、ネタバレしない範囲で、この本のストーリーの面白さをお伝えします。
・・・つづく。
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