From 師範代Shinya(新村真也)
(※僕がカナダで一人旅していた頃の体験談です)
(→前回のつづき)
トロントのマジックショップで行われた、日本VSカナダのマジシャン同士の非公式対決。
最後に登場したのは、ショップの店長でした。
店長自身も、プロマジシャンとして定期的にステージに立っているようで、間違いなく凄腕に違いありません。
もちろん、店長の目的は自分のスキルを見せつけることではなく、「店の商品を売ること」です。
なので、トランプではなく、店の商品を使ったマジックを見せてくれました。
店長の演技
店長は、僕が日本で手に入りにくそうなネタを選定してくれました。
カナダのマジシャンが開発した最新のネタを中心に、5つくらい連続で見せてくれました。
そこで、僕はさっきまでのトム&アンディーの演技と、店長の演技の違いに気づきました。
トム&アンディーのマジック演技は、あくまで「自分たちのスキルを僕に見せる」のが目的でした。
なので、ふつうのトランプ一組を使って、いくつも離れ業をやってのけました。
「これをできるようになるまでには、3年もかかったんだ!」
というようなセリフが何度か飛び出しました。
対して、店長の演技は、
「不思議だけど、誰でもカンタンにすぐできる」
ものだけをチョイスしていました。
店長の口ぶりも、僕の目線です。
「このネタは、まだカナダでリリースされたばかりだから、日本では売られてないよ。これを持って帰ったら、日本で一番最初にこのネタを演じるマジシャンになれるよ。」
「これは、不思議だけどカンタンにできるよ。たぶんシンヤなら1日でマスターできる。」
などなど・・・
そんなこと言われたら、欲しくなっちゃう!
というネタを厳選して持ってきて演じてくれました。
(う~ん、これが店長の違いか!やっぱり商売人だな!)
と思いました。
乱入戦!
店長のオススメ商品の演技が終わると、すかさずトムとアンディ-が加わってきました。
アンディー:「店長!あれはいいの?ほら!例のあれだよ!あれはカナダでリリースされたばかりでしょ?」
店長:「あ!そうだったね!すっかり忘れてたよ。」
アンディー:「よし!じゃあ、俺がシンヤに見せてあげるね。」
そう言うと、アンディーは僕に新ネタを見せてきました。
ものすごい不思議です!!
これは分からない!それに、いつでも誰にでも受けそうだ!
アンディー:「これは、あの棚にある○○っていう商品だよ。たったの30ドル!」
僕:「あ!これか!店長、これ買います!」
店長:「はい、ありがとう!」
すると、トムが参戦してきました。
トム:「俺もオススメあるぜ!ちょっと見てごらんよ。」
そう言って、今度はトムが新ネタを見せてくれました。
ものすごい不思議です!!
これも分からない!これも、いつでも誰にでも受けそうだ!
トム:「これは、あの棚にある○○っていう商品だよ。たったの25ドル!」
僕:「あ!これか!店長、これ買います!」
店長:「はい、ありがとう!」
トム&アンディーはこの店のお客さんですが、間違いなく売り上げに貢献していました(笑)
こんなやりとりが続いた後、結局、僕は新ネタを6つ買いました。
店長のオススメ×3個
アンディーのオススメ×2個
トムのオススメ×1個
という感じです。
近づく最後の日
マジックショップを後にした僕は、ジェフの家に帰るバスに乗りました。
いよいよ、明日がトロント滞在の最終日です!
悔いの残らない日にしよう!という決意を胸に、バスに揺られていました。
・・・つづく。
P.S. 良い買い物
ちなみに、このトロントのマジックショップで買った新ネタは、帰国後に僕の「テッパンネタ」になりました。
今でもマジックショーのオープニングで演じているものもあります。
とても不思議なので、めちゃくちゃウケます。
僕がこの時にトロントのマジックショップで買ったネタが、日本のネットショップで売られ始めたのは、それから2年後くらいです。
それまでの2年間は、僕はこのネタをマジシャン仲間に見せる度に、「こんなのあるんだ!知らなかった!」というリアクションをゲットすることができました。
「これは、カナダで買ったんだ!」というと、みんな「へぇ~!日本ではまだ手に入らないんだね。いいなぁ~!」という感じで、鼻高々でした。
今でも、このネタを演じる度に、トム&アンディーと店長の顔が脳裏に浮かびます。
きっと、あの3人は今でも、日本から遠く離れた地トロントで、マジシャンとして活躍しているに違いありません。
あの時には連絡先を交換しませんでしたが、あの頃の思い出と共に、彼らとの「つながり」を感じます。
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