From 師範代Shinya(新村真也)
(※僕がカナダで一人旅していた頃の体験談です)
(→前回のつづき)
それは、僕が日曜日に家の前の大通りを歩いていたときのこと。
この道路は、日本で言えば国道1号線みたいな感じです。
片側3車線あって、クルマの交通量も多いです。
その通り沿いを歩いていたら、ふと1階建ての平屋が売りに出されているのが目にとまりました。
この間、ジョンと一緒に売り家の見学に行って以来、僕の目はすっかり売り家に反応するようになっていました。
この道も今まで何度も通っているはずなのですが、今回初めてこの家が売られていることに気づきました。
広くて立地もバツグン!
ここからバンクーバーのダウンタウンまでは、バスで15分くらいで行けます。立地はバツグンです!
広い庭が付いているのも見えました。
1階建てとはいえ、かなり面積があるので、子連れ一家で住んでも十分な余裕がありそうです。
外観は多少ボロい感じですが、僕としては悪くない感じでした。
唯一の欠点としては、このデカい通り沿いにあると、クルマのエンジン音がうるさいかも、ということです。
実際に家の中に入ってみないと分かりませんが、けっこう騒がしいのかもしれません。
それでも、電車の線路沿いよりはマシなのでは?
と思います。
衝撃の価格!!
「こんな家に住んでみたいなぁ~」
そう思いながら価格表を見て、目を疑いました。
え??
「30,000ドル」
日本円にすると・・・300万円。
え??ウソ!
そんなわけない!これは家だぞ!クルマじゃないんだ!
えーと、一、十、百、千、万・・・間違いない!3万ドルだ!
え?ってことは、やっぱり300万円なのか?
この家が300万円!!
安い!!
これなら、マジで俺にも買えるレベルじゃん!
欲しい!!
でも、何かウラがあるに違いない!
そう思って、帰ったらジョンに聞いてみることにしました。
ジョンの推測
興奮気味に家に買った僕は、ジョンに報告しました。
僕:「さっき、そこの大通り沿いに1階建ての3万ドルの家を見つけたんだけど、あれって本当なんですかね?」
ジョン:「ほぅ!3万ドルか!それは安いね。」
僕:「日本だったら、クルマを買う感覚の金額だから、ちょっとビックリしちゃって・・・あれって、何かウラがあるんでしょうか?」
ジョン:「そうだね、安くなっているのには、それなりの理由があるとは思うけど。」
僕:「ちなみに、日本だと住宅の値段だけ表示して、土地代は込みじゃないなんてこともあるんですが、ここカナダではどうなんですか?」
ジョン:「たぶん、それは土地代も入っていると思うよ。もうその場所に家が建ってるんでしょ?」
僕:「はい。建ってました。」
ジョン:「そしたら、土地まで含めての値段だと思うよ。」
僕:「やはり!でも、安過ぎませんか?」
ジョン:「でもまあ、1階建てで大通り沿いなんでしょ?けっこうクルマのエンジン音がうるさいと思うし、築年数も古ければ3万ドルくらいにしないと売れないのかもね。」
僕:「それにしても、土地付きの家が3万ドルとは!僕には信じられなくて・・・」
そもそもの基準
ジョン:「こないだ一緒に見に行った家が150万ドル(1,500万円)だったでしょ?
もうちょっと頑張れば、あのレベルの家が手に入ると思うと、この3万ドルはリアルな数字かもしれないよ。
(そうか・・・ここでは、そもそもの基準が日本とは違うのか!家よりも土地の方が高い日本とは、住宅の価格設定の基準が違うのか!)
僕:「たしかに!こないだ見た家は、ダウンタウンまでの距離がそんなに変わらなくて、閑静な住宅街でしかも3階建てだから、子供がいるファミリーならあっちを選ぶでしょうね。」
ジョン:「うん。それに、買い手がなかなか付かないと、売り手は焦って値段を下げるからね。ちょうどそのタイミングなのかも。」
僕:「売り手は、前にその家に住んでいた人なんですよね?」
ジョン:「そうだよ。」
僕:「ということは、売値を決めるのはプロではなく、素人だと。」
ジョン:「うん。そうだね。」
僕:「ってことは、焦って市場価格よりもかなり安くし過ぎることもあるわけですね?」
ジョン:「そうだね。まあ、ある程度は不動産仲介業者がアドバイスするだろうけど。」
家のハードル
僕はこのとき、人生で初めて「家を買うこと」を現実的に意識しました。
日本でバリバリローンを組んで家を買うのは何となく想像しづらいのですが、ここカナダなら、ローンなんて組まなくても、現金一括で家を買うこともできるかもしれません。
カナダがこういう状態だということは、きっとアメリカも似たようなものでしょう。
この頃はまだ、リーマンショックが起こる前だったので、アメリカの低所得者層が「住宅を買う」という選択肢を持ち始めた時期だったのかもしれません。
こうしてブログを書いている今は、もっと価格が上がっているかもしれませんが、あの時の衝撃は今でも忘れません。
カナダの面積は、日本の26倍です。
人口は、日本が1億3,000万人。カナダは2016年時点で3,500万人です。
土地の広さが住宅の価格に大きく影響しているのかもしれません。
日本の常識は、海外の常識とは大きく違うことを、僕はこの時に強く感じました。
・・・つづく。
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