from 師範代Shinya
(→前回のつづき)
前回の記事では、英会話上達のための2種類のトレーニングの詳しい解説をしました。
・リスニング=音読トレーニング
・スピーキング=瞬間英作文トレーニング
というのが、ざっくりした役割分担です。
ただし、この2つを始める前、もしくは同時進行でやっておく方が良いジャンルがあります。
それが、「文法学習」です。
バックグラウンドが最も影響するジャンル
文法は、大人のやり直し英語学習の中で「学生時代のバックグラウンド」が最も強く影響するジャンルです。
バックグラウンドは、これまでの英語学習の経験や思い出のことです。
①文法と聞いただけでアレルギー反応が出るほど、昔からキラいで苦い思い出があるパターン。
②得意ってほどではないけど、中学&高校とも、まあそれなりに平均レベルだった実感があるパターン。
③中学までは文法が得意で、高校になってついて行けなくなって挫折したパターン。
④中学、高校ともに文法が得意で、テストでも得点源だったパターン。
⑤中学でも高校でも文法はキラいだったけど、大学受験の時だけモーレツにガンバって暗記したパターン。
⑥好きとかキラいとかの感情も思い出せないほど、何も記憶が残っていないパターン。(形容詞、副詞って何だっけ?レベル)
という感じで、文法のバックグラウンドは人それぞれです。
(ちなみに僕は28才でやり直しを英語を始めた時には⑥の記憶ゼロパターンでした)
もし、中学までの文法の記憶が今でも脳内にしっかり残っている場合は、改めて文法学習をする必要はありません。
音読しながら忘れている部分が出てきたときに、思い出すためにネットで調べるぐらいで大丈夫です。
でも、もし以前の僕のように、「文法の知識なんて、今となってはほとんど忘れてしまっている・・・」という場合は、もう一度中学英文法の基礎から学び直す必要があります。
文法を知らないと、英語が「呪文」になる
文法学習には賛否両論あります。
「文法ばかりやっているから、日本人は英語が話せないんだ!」
「文法を知らずに英会話だけやっていても、ブロークンイングリッシュになってしまう」
などなど、議論は絶えません。
ただ、1つだけ言えることがあります。
文法を何も知らない状態で音読や瞬間英作文トレーニングをすると、英文が単なる「呪文」になります。
文章を「文字列」としてとらえて、文全体の発音だけ覚えるパターンです。
Can I have beer? (ビールをもらえますか?)
発音(呪文):キャナイハブビアー
みたいな感じです。
文法などは一切気にせず、とりあえず、
「キャナイハブビアー」という魔法の呪文を海外のレストランで唱えると、ビールが自分の目の前に出てくる・・・
ということだけ覚えておけばOKなのです。
この「呪文英会話」は、海外旅行では何とか切り抜けられることが多いです。
以前、NHKの「英語でしゃべらナイト」という番組で、面白い実験をしていました。
英語が苦手な日本人アナウンサーの男性が、事前に日本人の先生から「魔法の呪文」を教えてもらいます。
「揚げ豆腐」
という呪文です。
普通に日本語発音で、「あげどうふ」と言うだけで、英文として通用するそうです。
そして、この揚げ豆腐の呪文を使うべく、海外ロケ先でバスに乗ります。
降りたいバス停にバスが近づいた瞬間に、運転手さんに近づいて、
「揚げ豆腐!」
と言いました。
すると、なんと運転手さんは「OK!」と言って、バスを止め、降りるのを待ってくれたのです。
「おぉ!!呪文が通じた!」
ということで、実験成功!!
という企画でした。
他にも何パターンか呪文を覚えて、違うシーンで使っていました。
でも僕が最も記憶に残っているのが、この「揚げ豆腐」の呪文でした。
呪文は応用できない
ちなみに、この「揚げ豆腐」の呪文の正体は、
I’ll get off.
(私は降ります)
です。
しっかり発音したら、
アイル・ゲット・オフ
になりますが、アイルは弱く発音すると、
「ア~」ぐらいにしか聞こえません。
そして「ゲット・オフ」はつながるので、
「ゲドーフ」に近く聞こえます。
すると全文は、「ア~ゲードーフ」に聞こえるのです。
まさに「揚げ豆腐」です!
こういう「なじみのある日本語の発音」を応用した呪文英会話は、即効性があります。
とりあえず覚えてしまえば、すぐ使えます。
ただ、それはバチッとハマるシチュエーションでしか使えません。
呪文の一部を変えてフリートークへ応用することはできないのです。
文法をまったく意識していなければ、呪文のどこをどう変えていいか、分かりません。
文法抜きでは、音読も瞬間英作文も呪文になる
これとまったく同じことが、音読でも瞬間英作文でも起こります。
文法をまったく知らない状態で始めると、英文がただの呪文に聞こえてしまうのです。
先ほどの「揚げ豆腐」よりも長い呪文を覚えることになるだけで、応用力は身に付きません。
アルファベットが並んでいる英文を読み上げても、
「どの英単語が、どんな役割を果たしているのか?」
がまったく分からない状態で読み上げているだけでは、呪文の読み上げと変わらない状態です。
音読した英文を応用して、自分の言葉で話せるようになる日は来ません。
小さな子供だったら、呪文を唱えるうちに自然に応用できるようになるかもしれません。
でも、大人の僕らの脳は、小さな子供とは違います。
もちろん、何事も「絶対ムリ!」とは言い切れません。
中には大量に呪文を覚えるうちに、応用力まで身に付けてしまうケースもゼロではないでしょう。
でも、「英語でフリートークできる状態」を目標にした場合、大人が呪文の丸暗記をするのは、かなりの遠回りになる確率が高くなります。
だからこそ、文法知識は最初にある程度入れておく必要があるのです。
・・・つづく。
p.s.
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