From 師範代Shinya(新村真也)
(※僕がカナダに3ヶ月間留学してから帰国後の、日本での体験談です)
(→前回のつづき)
僕が英会話スクールの講師になってすぐに実感したことがあります。
ある程度予想していたものでしたが、けっこうしんどいと感じたものです。
それは、「英語力」です。
これまでの3年間は、僕は英会話スクールの生徒でした。
生徒の中では、「デキる方」だと言われていました。
実際に、留学前にはそのスクールの中で一番上のレベルのクラスまで行きました。
そこにはクラスメイトはいなかったので、僕とネイティブの先生とのマンツーマンでした。
その後、留学してみたら、アジア人の自分は、他の国の人たちに比べてまだまだ英語力が足りないことに気づきました。
海外でもまれた後で帰ってきて、870点&英検準1級を取れました。
そこでまた自信がアップしました。
でも、こんどは英会話スクールの講師になったら、周りの同僚たちはみんなTOEIC900点オーバーが当たり前の日本人ばかりになりました。
しかも、中には帰国子女などの「TOEICや英検では測れないくらい高い英語力を持った猛者」がひしめいていました。
英語で会議
当然ですが、英会話スクールの会議は、英語で行われていました。
ネイティブの先生が混じっているので、日本語で会議するわけにはいきません。
英語でどんどん話が進んでいく中で、ついていくのに必死でした。
僕は再び、留学をしたばかりの頃の状態に戻った感じがしました。
中国拳法(カンフー)の達人の本
僕はこのとき、ふと高校時代にハマって読み込んでいた中国拳法の本を思い出しました。
その本は、在日の中国人でカンフーの達人が書いたものでした。
本と言っても、ハウツー本なので、全体のページの9割くらいは写真解説でした。
でも、この先生の文字の解説がすごくて、僕は引き込まれて何度も読み返しました。
その本の中に、「ミニコラム」というのがページの途中にいくつかあって、その内容は今でもハッキリ覚えています。
達人への道
そのコラムには、「武術を身につけた者がたどる道」が書かれていました。
ステップ①自分を少数派だと思って喜ぶ
武術を習い始めたばかりの頃は、
「こんなこと知らなかった!」
ということの連続です。効果的なパンチやキックの打ち方を学ぶと、それを知っている自分は、強い少数派の人間になった気分がしてきます。
「俺は、友達の誰も知らない秘密の武術を学んでいるんだ!」
という優越感です。
ステップ②自分が多数派だと気づいてヘコむ
しばらくすると、自分と同じように武術を学んでいる人がけっこうたくさんいることに気づきます。
しかも、自分と同じような強さの人はゴロゴロいると感じます。自分は特別ではないと気づき、ヘコみます。
ステップ③自分が少数派になったと感じて喜ぶ
さらに修練を続けていると、同じ流派の中で黒帯レベルになります。
すると、今まで周りにいた人たちよりも自分の方が強くなったと感じ、再び自分は少数派だと思うようになります。
ステップ④自分は多数派だと気づいてヘコむ
ところが、ひとつの流派で黒帯になると、こんどは他の流派の黒帯の人たちとの交流が生まれるようになります。
手合わせしてみると、自分よりずっと強い人たちが、まだまだゴロゴロいると気づきます。
そして、自分は多数派の中の一人だと感じるようになります。
以上が、カンフーの師匠が本の中で言っていた言葉です。
僕は、空手を習っていた頃にこの本を読んだので、この言葉がしっくり来ました。
その後、ストリートダンスを習い始めた時にも、同じような道をたどりました。
そして、これとまったく同じ現象が、英語の世界でも起こりました。
僕のケース
①英語を習い始めた俺、イケてる!カッコいい!
↓
②あれ?外人バーに行ったら、俺より英語が上手な日本人いっぱいいるな・・・俺、イケてないかも・・・
↓
③音読トレーニングに出会って、TOEICの点数が上がってきたぞ!735点になった!俺、けっこうイケてるかも!
↓
④海外へ出てみたら、ヨーロッパの留学生で俺よりスゴいやつらがいっぱいいる!!あぁ、俺、ぜんぜんイケてないなぁ・・・
↓
⑤海外でも何とか食らいついて、カベを乗り越えたぞ!帰国後のTOEICの点数も870点になって、英検準一級も取れたし!今の俺、イケてるぞ!
↓
⑥英会話講師になったら、周りはみんなTOEIC900点以上で、990点満点の人もいる!英語の会議にぜんぜんついていけない・・・俺、イケてないかも・・・
というサイクルでした。
過去の自分を越える
英語に上達してきてあなたのステージが上がると、それまで関わりの無かったような人たちが周りに現れます。
すると、それまでの自信が崩れてしまうことがあります。
そうならないためには、常に
「過去の自分よりも今が上達しているか?」
を基準に考えるのが、モチベーションを保つのに良い方法だと思います。
「昨日の自分を1ミリ越える毎日」の繰り返しが、「英語道」を極める道なのかも知れませんね。
・・・つづく。
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