From 師範代Shinya(新村真也)
→前回のつづき
カナダのバンクーバーの留学先の学校で、パソコンが使えるスペースで、ビジネスクラスの先生と話していたときのこと。
僕より年下の20代後半くらいのその先生は、ちょっと離れた位置にいる中年男性を指さして、ニヤニヤしながら言いました。
先生「あの人、誰だかわかる?」
先生はいつもふざけてジョークとかを言ってきたりするキャラでした。僕らはお互いに友達みたいな感じでいつも話していました。
先生が指さしたその中年男性は、釣り人みたいなカジュアルな服装をしています。
僕「いや、わからない。誰?」
先生「オーナーだよ!この学校を作った人!」
僕「またまた~!ジョークでしょ?」
先生「いや!これはマジ!あの人本当にオーナーさ。」
僕「えっ!本当なの?あれがこの学校のオーナー!!ぜんぜんふうつのオジサンじゃん!じゃあ、ふだん校長室とかにいるの?あの格好で?(笑)」
先生「校長は別の人がやってるよ。あのオーナーは、ふだん学校にいない。ふだん何やってるのか、誰も知らない。たまにこうやってフラッとやってきて、生徒と楽しそうに話して帰って行くんだ。」
僕「へ~!じゃあ、もうこの学校の運営には関わってないんだね。」
大金持ち
先生「そう。いつもヒマそうにしているけど、ものすごいお金持ちなんだぜ!南の島をひとつ所有しているらしい。」
僕「マジで?!語学学校って、そんなに儲かるビジネスなの?」
先生「うん、今この学校は、いくつも校舎があるからね。だって、俺たちが今いる建物だけで、何人の生徒がいると思う?」
僕「たしかに、ものすごい数だ・・・」
先生「シンヤはここに授業料をいくら払ってる?」
僕「留学エージェントを通して一括払いしたから、内訳は分からないけど、パンフレット見たとき、フルタイムのインテンシブコースだから、けっこう高かった記憶がある。たしか週400ドル近くだったような・・・」
先生「じゃあ、週400ドルとして、月に1,600ドルだろ。仮にここにいる生徒全員が毎月1,600ドル支払ったら、毎月いくら売り上げが上がると思う?」
(おっ!こんな質問をしてくるとは!さすがビジネスクラスの先生だな!)
僕「まあ、100人いれば16万ドル(1,600万円)か!けっこうスゴいな!」
先生「だろ?しかも、今この校舎にいる生徒は100人どころじゃないだろ。この階だけでも100人はいるよ。この校舎はビジネスコース用だから生徒数は少ない方だし。本校の方にはもっとたくさんいるよ。」
僕「たしかに!初日に本校に行ったけど、かなりデカかった!」
先生「しかも、この学校はバンクーバーだけじゃない。モントリオールやトロントにもある。」
僕「それはスゴいな!」
レバレッジの力
先生「こういうのをビジネスの世界ではレバレッジって言うんだ。テコの原理だね。ひとつうまくいったビジネスモデルを複製して、他のエリアに広げていく方法だよ。」
僕「へぇ~!!」
先生「フランチャイズのコンビニとかファーストフード店はこの方法で成功してるさ。日本にもセブン-イレブンやマクドナルドがあるだろ?」
僕「ある!たくさんある!」
先生「もしひとつの店から出る利益が月100万しかなくても、世界中にある店から寄せ集めたら、相当な金額になるからね。レバレッジの力は最強だよ。」
僕「う~ん、スゴいな~!」
先生「語学学校ビジネスでも成功すれば、島のひとつふたつ買えるくらいのお金にはなるってことだよ。」
僕「いや~あの釣り人みたいなおじさん、ふつうに見えるけど、すごいビジネスセンスがあるんだろうな」
先生「う~ん、俺、何度か話したことあるけど、ぜんぜん頭がいいようには見えなかったけどね。むしろクレイジーだよ。みんな、あのオーナーはクレイジーだって言ってる。」
僕「そうなの?」
先生「まあ、誰も彼に逆らえないけどね。ちなみに、オーナーがこのILSCを作ったとき、まだこの辺にはライバルが誰もいなかったらしい。今でこそバンクーバーには語学学校が乱立してるけど、当時はILSCの一人勝ちだったらしいよ。」
僕「そうなのか!じゃあ、始めるタイミングが良かったってことか!」
先生「そう!タイミングが良かった!今もし、彼が同じことをゼロからやろうとしても、たぶん無理だろうなぁ・・・今、バンクーバーには語学学校があふれているからね。」
僕「なるほど。今ILSCはライバル多くて大丈夫なのかな?」
先生「まあ、これだけデカくなっちゃえば、知名度も信頼度も上がるから、他のスクールにはそうカンタンには負けないと思うよ。」
僕「そうかぁ、やっぱサイズか!」
先生「それに、ここは長年かけて世界中の留学エージェントとコネクションを築いているからね。派手に宣伝しなくても、留学エージェントが紹介すれば、留学生はみんなここに来るってわけさ。」
僕「そうかぁ、コネクションを築いてデカくなっちゃえば、後から来たやつらがどんなに頑張っても、負けづらくなるってわけだね。」
先生「そうそう!結局、ビジネスはタイミングと数字のゲームだ。どれだけ頑張ったか?とか、どれだけ長く働いたか?とか、ビジネスの成功とはあまり関係ない。」
僕「なるほど!」
先生「あー!俺も自分のビジネスで一発ドカンと当てたいなー!!あ、今ここで話したこと、他の人には絶対内緒だよ!」
そう言いながら、先生は僕の元を去っていきました。
このざっくばらんさが彼の持ち味です(笑)
もし、まじめな先生だったら、こんな裏話教えてくれなかったに違いありません。
ふとパソコンコーナーを見ると、さっきのオーナーの姿はもうありませんでした。
僕はオーナーと直接話す機会はありませんでしたが、先生がここまでの経緯を詳しく教えてくれたので、このILSCのここまでの成長の歴史を知ることができました。
ビジネスオーナーと従業員の違い
僕がカナダで出会った経済的な成功者は、ぜんぶで3人いました。
一人目はコーヒーチェーンのオーナー。
二人目は大企業のCEO(経営責任者)。
そして最後は自分が通う語学学校のオーナーです。
一人目と三人目は自分でビジネスを始めて、人を雇うことで大きくしていった「ビジネスオーナー」でした。
二人目は組織の階段をハイスピードでかけ上がった「従業員」でした。
僕はカナダにいる間、従業員とビジネスオーナーの違いを肌で感じることができました。
実際にどう違うのかをしっかり頭で理解したのは、日本に帰ってから「金持ち父さん貧乏父さん」という本を読んだ後です。
でも、この本の内容がすんなり理解できたのは、カナダでの体験が大きいと思います。
僕がカナダにいる時点で学んだことは、
①ビジネスオーナーで成功した人は、いつもラフな服装で、あまりオーラが感じられない、一見ふつうに見える人が多い。
②従業員で成功した人は、見た目がビシっとしていて、いかにも「デキる男」という感じのオーラを放っている。
③ビジネスオーナーで成功している人は、いつもふらふらしていてヒマそうに見える。
ということでした。
当時の僕には、その違いの理由までは分かりませんでしたが、この違いを異国の地で肌で感じられたのは、後に役立つ大きな経験となりました。
・・・つづく。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(英語の達人養成ジム 師範代)
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