From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
前回の記事では、ネイティブ発音の6つのレベル、
①初心者向けのゆっくりナレーション
②初心者向けのゆっくりアドリブ
③中上級者向けのノーマルナレーション
④中上級者向けのノーマルアドリブ
⑤ネイティブ向けの早口&いい加減ナレーション
⑥ネイティブ向けの早口&いい加減アドリブ
のうち、①~④までを解説しました。④までは、たとえスピードが速かったとしても、あくまで「英語が第2言語の人向けの発音」です。
今回は、いよいよ「ネイティブ英語のカベ」として立ちはだかる⑤&⑥の発音をお伝えします。
⑤ネイティブ向けの早口&いい加減ナレーション
これは、「ネイティブがネイティブ向けに発信するニュースやプレゼン」などでよく耳にする発音です。
ネイティブが発音するときには、「世界の人々(ノンネイティブ)に向けて話す時の発音」と、「同じネイティブたちに向けて話す時の発音」は、明らかに違います。
本人は無意識かもしれませんが、明らかに違います。
僕ら日本人も、「日本語が上手な外国人」と話す時には、無意識レベルでいつもよりハッキリ発音しているはずです。
友達や会社の同僚、家族などを相手に日本人同士で話すときの発音は、いい加減になりがちです。
それは、プロのナレーターでも同じです。
「このニュースはノンネイティブの英語学習者用に話しているんだ」
と思うと、無意識にハッキリ発音するようになります。
「このニュースはネイティブ向けに話しているんだ」
と思うと、無意識に発音がいい加減になります。
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このテキストの付属CDには、「ナチュラル音声」と「ゆっくり音声」が入っています。
「ナチュラル音声」は、このレベル⑤の発音です。
プロのニュースナレーターなのに、かなり早口でいい加減な発音で話していることに驚くでしょう。
「ゆっくり音声」は、名前の割にはかなり速いスピードです。
前回の記事でお伝えした、レベル③の発音になります。
このテキストの音声は、レベル③と⑤の発音の違いを実感するのには最適です。
⑥ネイティブ向けの早口&いい加減アドリブ
最後のボスはいよいよ、レベル⑥です。これは、「ネイティブ同士がアドリブで話す」領域です。
滑舌は良くないし、台本が決まっているわけではないので、言い間違いや言い直しをよくします。文法ミスもよくあります。
日本語で例をあげると、
「昨日、ローソン・・・じゃなかったファミマに行ったんだけどね。あ、セブンだったかな?まあ、いいや。そこでね、たまたまバッタリ偶然、シンヤに会ったわけよ!もう何年ぶりって感じ!」
この文章を、日本語を勉強中の外国人が聞いたら、文脈についていくのがかなり大変だと感じるでしょう。
日本語の単語を熱心に勉強している人なら、(「たまたま」「偶然」「バッッタリ」って、全部同じ意味じゃなかったけ?3個つなげて使うとどういう意味になるんだろう?違いは何だろう?)などと考え込んでしまうでしょう。
これが、ネイティブのアドリブの会話です。
また、ネイティブ同士では辞書に載っていないようなスラング=俗語(例:マジで?ヤバい!など)も連発します。
それに、たとえこちらが知っている英単語やフレーズでも、相手は最後までしっかり発音しないので、すごく推測しないと聞き取れません。
日本語に例えると、
「ありがとうございます」→「あざーす」
「すみません」→「さーせん」
みたいな感じです。
こうなると、もうお手上げ状態です。
このレベル⑥は、最も難易度が高いです。英語上級者にとって、「ネイティブ英語のカベ」として立ちはだかります。
そして、映画を字幕なしで聞き取るというのは、このレベル⑥に挑戦するということなのです。
もちろん、見る映画のジャンルにもよりますが、多くの映画のセリフは、会話の「リアリティー」を出すために、さっきの
「昨日、ローソン・・・じゃなかったファミマに行ったんだけどね。あ、セブンだったかな?まあ、いいや。そこでね、たまたまバッタリ偶然、シンヤに会ったわけよ!もう何年ぶりって感じ!」
みたいな文章で作ることが多いです。役者さんたちはこのセリフを言う時、発音をいい加減にします。
TOEIC900点を超えても、映画を字幕なしで見れないのは当然なのです。
このレベル⑥を制するには、レベル⑥向けのトレーニングをするしかありません。
そして僕は最近、ついにこのレベル⑥の領域に踏み込んでみることにしました。
・・・つづく。
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