カメラのレビューをするカナダ人ユーチューバーのサイモンさんは、動画の中でかなり落ち込んでいました。
動画を見ると、サイモンさんが言葉を失って、戸惑っているのがよく伝わります。
理由は、
「パナソニックの新型カメラの最新情報の日本語サイト」
をGoogle翻訳で直訳した文章が、ネイティブのサイモンさんにとってはあまりに意味不明だったからです。
僕は日本語&英語両方の文章をチェックしましたが、Google翻訳の英文自体は問題なく正しい英語で訳されていました。
ただ、日本語のニュアンスがそのまま英文になっているせいで、英語圏のサイモンさんの耳には、
「え?なんでここを強調するの?」
「え?なぜこんなことをわざわざサイトで言うの?」
と、不思議に聞こえたようです。
今回のサイモンさんの反応を見て、僕は英語の
・関係詞
・受け身
が持つ「強調ニュアンス」を改めて知ることができました。
僕ら日本人は、学校教育で英語の受け身や関係詞などの文法項目を、重点的に勉強します。
なぜかというと、テストによく出るからです。
受け身や関係詞は文章の組み立てが難しいので、テストによく出ます。
そのため、授業でも先生がしっかり気合いを入れて時間をかけて教えるのです。
その結果、自分で英語を話そうとした時や、英文を書こうとした時に、ついつい受け身や関係詞を多用してしまいます。
でも、実は受け身や関係詞を使いすぎると、ネイティブの耳には、
「え?なんでそこ強調するの?」
「そこはどうでも良くない?」
と感じるみたいです。
今回の日本語文&英文を見比べ
ではここで、もう一度、パナソニックのサイトの日本語文を見てみましょう。
【予備知識】
①「GH6」というのは、GH6というのは、発売前の新型カメラの商品名です。
②GH6が開発中だという発表は、すでに数ヶ月前にアナウンスされています。
③今回の日本語文に入っているスペック数値の情報は、すでに数ヶ月前にアナウンスされた内容と同じです。
④今回の10月27日の発表では、「具体的な発売日」、「より詳しいスペック情報」、「GH6の全体の外見写真や動画」、「試作品のカメラで実際に撮影した映像」などが公開されるのでは?と期待されていました。
⑤ところがフタを明けてみると、数ヶ月前の発表とまったく同じ情報しか書いてありませんでした。
⑥今回の文章のメインは、「詳細をお伝えできなくて申し訳ない・・・という気持ち」と、「ガンバって開発中ですよ!という気合い」を表す内容になっています。(ガンバりや謝罪などを文章で公表するのは、かなり日本的な気がします)
では、以上の6点を踏まえて、今回の日本語文をご覧ください。
↓↓↓
現在開発中のGH6もマイクロフォーサーズ機ならではの機動性に加えて多彩な映像表現力の両立を目指しています。センサーとエンジン共に新開発し、4:2:2 10bit Cinema4K60p の動画記録に対応、推奨動画温度内において動画記録時間無制限を実現の予定です。詳しくお伝えできないのが本当に残念ですが、今も技術者達が全身全霊を注ぎ開発中のGH6がどのようなカメラになるのか?ぜひご期待ください。
同じ内容の英語版(Google翻訳で直訳)
↓↓↓
The GH6, which is currently under development, aims to achieve both the mobility unique to Micro Four Thirds systems and a variety of video expressiveness.Both the sensor and engine have been newly developed to support 4: 2: 2 10bit Cinema 4K60p video recording, and we plan to achieve unlimited video recording time within the recommended operating temperature.I’m really sorry that I can’t tell you in detail, but please look forward to what kind of camera the GH6, which is still under development by engineers, will be finished.
この英文を、カナダ人ユーチューバーのサイモンさんが読み上げながら、「なぜこんな表現をしてるんだ?」と突っ込みを入れていました。
突っ込みポイントは全部で3つです。
突っ込みポイント①最初の文の関係詞
【英文】
The GH6, which is currently under development,
この文章の主語を読み上げた瞬間、サイモンさんはすぐに音読をやめて、突っ込みを入れていました。
「GH6が開発中でまだ発売されていないってことは、もうみんな知っているよ・・・なぜここで『開発中』を強調して言うんだろうか?なぜ??」
サイモンさんは、完全に意味が分からなくなっているようでした。
このパートの日本語訳の主語は、「現在開発中のGH6」です。
この主語を余すところなくすべて英語にすると、
The GH6, which is currently under development,
になるわけです。
でも、英語で関係詞を入れると、「補足情報をわざと足した感」が出ます。つまり、「これは言っておかねば!感」が出るのです。
強いて日本語にするなら、
「今からGH6についてお伝えしますね。あ、ちなみにGH6は現在開発中なんですよ!」
というニュアンスです。
これをネイティブが聞いたら、「開発中なのは、もうとっくに知っとるわい!」となるわけです。
ここで自然な英語訳にするなら、「現在開発中の」は抜くべきです。
英語では、「すでに相手が知っている情報はいちいち言わない」のが基本ルールだからです。
たとえば、「昨日、Shinyaがね、」という名前を一度言ったら、二回目からは Shinya はずっと、 he になります。
でも、日本語では「彼」とはあまり言いません。
毎回「シンヤが~」と名前を言います。
これが文化の違いです。
突っ込みポイント②最後の文章の関係詞
次にサイモンさんが突っ込んでいたポイントは、最後の文のこの部分です。
↓↓↓
【英文】
please look forward to what kind of camera the GH6, which is still under development by engineers, will be finished.
【日本語訳】
今も技術者達が全身全霊を注ぎ開発中のGH6がどのようなカメラになるのか?ぜひご期待ください。
ここでまた、「which is still under development」が出てきました!
ここでサイモンさんは、大きくため息をつきます。
「現在開発中であることが、そんなに大事な情報なのか?」
と。
英語のプレゼン文章では、「最初と最後に一番伝えたいことを持って来る」という法則があります。
つまり、このGoogle翻訳英文では、
「GH6は現在開発中であること」
が最も伝えたいメッセージだと受け取られるのです。
このニュアンスを強引に日本語にしたら、
「実は今日、大事なお知らせがあります。GH6は現在、開発中なのです!!」
(中略)
「最後に、『GH6は現在開発中だ』ということを再度お伝えした上で、今回の発表を終わらせていただきたいと思います。ご静聴ありがとうございました。」
みたいなニュアンスです。
これでは確かに聞いた人は、「え??」ってなりますね。
・・・つづく。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(やり直し英語達成道場 師範代)
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