From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
前回の記事では、「脳は知らない発音を聞いたとき、日本語の知っている単語に置き換えて聞き取ろうとしてしまう」ことをお伝えしました。
リスニングが上達しないと感じる時には、この「空耳アワー作業」が脳内で行われてしまっている可能性があります。
たとえば、カタカナで「シング」という言葉を英語にすると、2種類思い浮かびます。
sing(歌う)
thing(もの)
です。英語ではこの2つはまったく違う発音なのですが、カタカナにしようとすると、同じ「シング」になってしまいます。
そして、「th」と「s」の発音をしっかり使い分けられない人が、「thing」という言葉を聞いたとき、脳内では、「シング」というカタカナ語で処理されます。
すると、脳内では、こうなります。
①音:thing
↓↓↓
②脳内:シング
そして、もし「thing」と「sing」の両方を知っていた場合、脳は「どっちかな?」と考えます。
そして、文脈から考えて「ここはsing(歌う)」の方でしょ?と思ったら、ここで初めて「歌う」と処理されるのです。
つまり、流れとしてはこんな感じです。
①音:thing
↓↓↓
②脳内:シング
↓↓↓
③選択:sing? thing? う~ん・・・
↓↓↓
④決定:ここは sing だろう!
という感じです。つまり、英語を聞いてから実際に意味が理解できるまでに、4つのステップを取ることになるのです。
これは、けっこうキツいです。時間もかかりますし、間違いも多くなります。意思の力の消費量も多くなります。
ちなみに、僕のクラスではいつも「リスニング練習」を先にやるのですが、初心者クラスは「空耳アワー」の連発です。
初心者の脳は英語を聞いた時に、「知っている日本語」に置き換えようとします。なので、僕がCDをかけた後に、「どんな英単語が聞こえましたか?」と聞くと、
「なんか、『お寺』って言っている気がしたけど、日本語だしな・・・」
「途中で『奈良県』て聞こえたけど、空耳かなぁ・・・」
という感じで、けっこう日本語が連発します。これがけっこう面白くて、僕は好きなのですが、音読トレーニングを積むに従って、だんだんこういった声が少なくなっていきます。
発音が正しくできるようになると・・・
音読トレーニングを積むうちに、だんだん「正しい発音」ができるようになってきます。
すると、さっきのように4ステップでひとつの英単語を処理していたところが、半分の2ステップで理解できるようになるのです。
①音:thing
↓↓↓
②脳内:もの
①音:sing
↓↓↓
②脳内:歌う
という感じで、音がダイレクトに意味に直結するようになります。
すると、脳内で行われる作業量が減るので、リスニング作業がとてもラクに感じられるようになります。さらに、リスニングの正確さも増します。
よく、「ついさっきまでほとんど聞き取れなかった英文」が、音読トレーニングをすることで急に、「一字一句聞き取れる状態」になって、さらにスピードまで遅く感じてビックリすることがあります。
これは、脳内に「正しい発音データ」がストックされることで、それまでの4ステップ型の脳内処理から、2ステップ型の処理にアップグレードされるからです。
この「音読トレーニングで脳内データを書き換える作業」をひたすら続けると、「1発で聞き取れる英単語」がどんどん増えていきます。
もし、この「1発で聞き取れる感動体験」をしてみたい場合は、この動画セミナーを受けてみてください。
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例外はあるのか?
ここまでは、「正しい発音を身につけると、リスニングがアップする理由」についてお伝えしてきました。
でも、実はこれには「例外」があります。
「しゃべりは超がつくほど『カタカナ発音』なのに、なぜかTOEICの点数が高い人(800点~900点以上)」
が一定数いるのです。
僕は英語を教える仕事を始めたばかりの頃、こういうタイプの人たちに出会いました。僕にとってこの現象は、とても不可解でした。
なぜ、発音が苦手なのにリスニングは聞き取れるのか?その理由が分からなかったのです。
でも、長年の研究の結果、その理由が判明しました。
次回は、それをお伝えします。
・・・つづく。
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