発表会が始まった直後。
僕は会場のお客さん全員に向かって、自分がMCをやる目的を伝えました。
僕:「今日、ステージ上で踊るダンサーは、皆さんにとってはご家族や友達というケースが多いと思います。
ダンサーにとって一番嬉しいことは何だと思いますか?
皆さんからの応援の声です。アメリカでは、ダンスをしている最中にも、観客が『イェ~イ!』とか、名前を呼んだりすることが多いんです。
HIPHOPダンスは、アメリカで生まれた文化です。今日はその雰囲気を再現しましょう。
みんなでダンサー達に声をかけて、どんどん盛り上げて欲しいんです。ご協力していただけますか?」
すると、会場全体から拍手が起こりました。
(おぉ!!伝わった!良かったぁ~)
僕はホッと胸をなで下ろしました。
ここで反応がイマイチだった場合、これ以上進むのがとても難しくなります。
こういうアプローチは初めてだったので、果たして日本人の文化にフィットするのか?不安でした。
でも、「やっぱり皆、家族や友達のことは応援したいよね。だって、ここまで足を運んでるんだもんね。」ということが、この拍手から分かりました。
よし!やるぞ!!
僕は気合いを入れ直しました。
いきなりやれと言われても、できない
とはいえ、これまで一度も声を出したことがなかった人たちが、いきなり「声をかけてください」と言われたところで、急にできるようにはなりません。
さらに日本の文化では、「1人だけ目立つ」ことを良しとしません。
自分だけ客席で大きな声を出すと、恥ずかしいと感じる人の数の方が多いでしょう。
でも逆に、「皆がやっているなら、自分もやる!」という文化があります。
僕はその文化を利用することにしました。
「声だし練習を皆でやる」ことにしたのです。
僕:「それでは皆さん、今から声だし練習をしましょう。まずは基本のかけ声の練習から。僕の後に続けて、かけ声をマネして声に出してください。
せーの!イェ~イ!!」
観客:「イェ~イ」
僕の期待する基準値の3分の1ぐらいの声のボリュームで、みんなおそるおそる声を出しました。
僕:「そうです!その調子!では、今の声の大きさから、2割だけアップさせてもう一度行きましょう。イェ~イ!」
僕:「イェ~イ!!」
今度は、僕が期待する基準値の半分以上の声量になりました。
実はこの「2割増し」というキーワードは、以前僕が演技の学校で習った内容でした。
もし現実を伝えて、「全然足りない!今の3倍大きな声を出して!」と言われると、逆に「そんなのムリだよ~」となって、あきらめてしまう人が増えるそうです。
でも、「今の2割増しで声を大きくしてみて」と言われると、「それならやってみようかな」と思う人が多数派だそうです。
その結果、実際に声を張ると、2割増しどころか5割増し以上で声が出ることが多いそうなのです。
僕はそれを覚えていたので、MCとして利用してみました。
確かに、効果がありました。
でも、本番でこのボリュームで声を出すためには、練習で200%ぐらい声を出しておく必要があります。
僕は、観客のみんながどこまで付いてこれるのか?試してみることにしました。
さらに上を
僕:「素晴らしいです!では、さらにもう一段!今の声の2割増しで声を出してみてください。いきますよ?イェ~イ!!」
観客:「イェ~イ!!!!」
僕:「いいですね!最高!!では最後にあと2割増しで、イェ~イ!!」
観客:「イェ~イ!!!!!!!!」
ついに、僕が圧倒されるぐらい大きな声が返ってきました。
この集団の力は、本当にスゴいです。
僕は、このままの勢いで進めました。
僕:「最高です!その調子!では次に、かけ声を変えましょう。次は、ワ~オ!で行きましょう!せーの、ワ~オ!!!」
観客:「ワ~オ!!!!!!」
今度は、さっきのボリュームのまま返ってきました。
みんなが乗ってきているのを感じました。
僕:「では最後に、ダンサーの名前を呼ぶ練習をしましょう。皆さんのご家族やお友達が出てきたら、今のボリュームで名前を叫んであげてくださいね!では練習です。僕の名前はシンヤです。みんなでシンヤ~って叫んでください。いきますよ?せーの!」
観客:「シンヤ~!!!!!!!」
僕:「おぉ~素晴らしい!!カンペキです!!では、これまで練習した3つをつなげて練習しましょう!イェ~イ!ワーオ!シンヤ~!この3連続です。せーの!!」
観客:「イェ~イ!!!!!ワーオ!!!!!シンヤ~!!!!!!!」
笑い声が混じりながら、みんな大きな声を出してくれました。
全体的に会場の雰囲気がほぐれてきたのを感じました。
僕:「ありがとうございます!今の調子で、皆さんのご家族やお友達を応援してあげてくださいね!」
観客:「イェ~イ!!!!!」
さっきまでとはまったく違う雰囲気になったことを感じて、僕は嬉しくなりました。
事前に練った作戦が成功ました。
もう、ここで自分の役割は終わったと言って良いぐらい、盛り上がった雰囲気のまま、ダンスのステージが始まりました。
・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む)
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From 師範代Shinya(新村真也)
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