【今回のTOEICの感想③】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
僕が初めて東京で受けたTOEICは、素晴らしい環境で始まりました。慶応大学の広くて設備の整った講堂は、テストを受けるには非の打ち所のない場所でした。
 
 
僕の頭の中に、「非の打ち所のない」という意味を表す英単語が浮かんできました。どんな英単語だと思いますか?
 
 
答えは・・・
 
 
impeccable (インペカボー)
 
 
です。あまり馴染みのない英単語だと思いますが、一応TOEICの英単語集にも出てくる単語です。
 
 
こういうスペルの長い英単語は、「パーツ」に分けて覚えると、忘れにくくなります。
 
 
im(否定)peck(つつく)ble(できる)
 
 
「つつくことができない」
 
 
という意味の英単語です。
 
 
peck(つつく)は、鳥がくちばしで木や食べ物をつつくイメージです。
 
 
日本語でも、「重箱のすみをつつく」なんて言うように、英語でも「つつく」は、「あら探しをする」というニュアンスがあるようです。
 
 
脱線しましたが、僕が慶応大学の講堂の席についた時に思い浮かんだ英単語は、まさにこの「impaccable」でした。
 
 
ここからは、久しぶりにTOEICを受けてみて、僕が感じた感想をパートごとにお伝えしていきます。
 
 
前回受けた時は、2016年5月の大改訂直後でしたが、あれから時間がたって、だいぶ熟成されてきたような印象です。
 
 
 

パート①

割と素直な問題が多かった気がします。以前のTOEICでは、「そりゃないよ~!」と叫びたくなるほど「あまのじゃく」なイジワル問題をよく見かけました。わざと引っかけようとしているのが見え見えです。
 
でも今回は、そういったイジワル問題は見当たりませんでした。でも、よく考えたら、6枚しかない写真問題でイジワル問題を出したら、ちょっと「やりすぎ感」がありますよね。
 
 
改訂前はパート①の写真が10枚ありましたが、改定以降は枚数が6枚に減りました。
 
 
写真のサイズも、今回はめちゃくちゃ小さいものがいくつかありました。パート①は、なんだかオマケ程度の扱いになってしまった印象です。
 
 
あっという間に終わってしまった印象です。
 
 
 

パート②

パート①とは打って変わって、かなりイジワル問題が多い印象でした。
 
 
・質問に対して、素直に答えている正解が少ない。わざと変な答え方をしているパターンが多すぎる。
 
 
・質問文が、異様に長くて記憶しづらい内容が多い印象。
 
 
・新しいナレーターの発音がヒドい!なまりが強い、スピードが不自然なほど速い、わざとハッキリ発音しない、と3拍子揃った最悪な状況。
 
 
特に今回は、最初の方で「What~」から始まる質問文をこの新顔ナレーターの人が読み上げたのですが、what を「ワッ」ぐらいにまで縮めるならまだしも、「ウッ」と言っていました。
 
 
ウッ did you ~?
 
 
みたいな感じで、明らかに「わざと聞き取りづらく」発音しているように思えて仕方ありません。
 
 
 

映画のセリフ VS 試験のナレーター

おそらく、「実戦性を重んじる」とう視点で、こういうナレーターを採用したんだろうなぁというのは分かります。
 
 
確かに、映画のセリフなどでは、Whatを「ウッ」みたいにぞんざいに発音することがザラです。
 
 
でも、TOEICのような公的なテストでそれを再現する必要があるのか?と言われると・・・う~ん・・・という気がします。
 
 
こういうことをテストの中で追求し始めたら、キリがないと思うのです。
 
 
「より実戦に近づけること=進化」
 
 
と捉えるなら、進化するたびに発音は崩れていき、表現はカジュアルになっていきます。
 
 
いいかげんな発音+短縮形=リアルな言語
 
 
であることは間違いありませんが、だからといって、それを試験の英語に使うべきか?と言われたら微妙です。
 
 

日本語検定なら・・・

逆で考えてみましょう。外国人の日本語学習者が、「日本語検定」のテストを受けていたとします。
 
 
「いらっしゃいませ。」
 
 
「こんにちは。」
 
 
「ありがとうございます。」
 
 
といった、日常のフレーズが出てくるリスニング問題を僕ら日本人が聞いたら、
 
 
「実際はこんなにハッキリ発音する人は少ないけどね~」
 
 
と思うでしょう。その意見を真に受けて、日本語検定協会が問題をより「実戦的に」作り替えたとします。
 
 
改訂後のリスニング問題では、
 
 
「っしゃせ~ぃ!!」
 
 
「ちわーっす!」
 
 
「あざーす!!」
 
 
という発音が聞こえてきたら・・・どうでしょうか?
 
 
確かに実戦的ではあるけど・・・「日本語力」を測る試験としては・・・ちょっと向かう方向が違ってるんじゃ??
 
 
と思いませんか?
 
 
「ネイティブだったらこう言う」みたいな部分にばかりとらわれ過ぎると、こういった変な方向へ「進化」してしまう気がします。
 
 
今回、僕が受けたTOEICのリスニングパート②からは、そんな怪しい兆しが見え隠れしているような気がしました。
 
 
・・・つづく。
 
 
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