From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
前回の記事では、僕の初めての試合(英会話)の体験談をお伝えしました。
正直、めちゃくちゃ恐かったのを今でも思い出します。特に、
・自分の言いたいことがあるのに英語がまったく出てこなくなって、くやしい思いをしたらどうしよう?
・会話が続かなくなって、沈黙の時間になってしまったらどうしよう?
という2つの恐怖が強かった気がします。
僕らは大人になってから日本語のコミュニケーションで
「言いたいことがあるのに言葉が出てこないから話せない」
経験することは、ほとんどありません。
でも小さな子供の頃には、そういう時期が必ずあったはずです。
小さな子供は言葉がうまく話せないから、親に対して一生懸命身振り手振りで伝えて、なんとか自分のメッセージを伝えます。
その時には、「自分ができなくて恥ずかしい」とか、「沈黙がきまずい」といった感情はなかったはずです。
でも、大人になった今は「できない恥ずかしさ」と「沈黙の気まずさ」が恐怖となってのしかかってきます。
避けることのできない状態
結論から言うと、どんなに事前に入念なトレーニングを積んだとしても、
・自分の言いたいことがあるのに英語がまったく出てこない状態
・会話が続かなくなって、沈黙の時間になってしまう状態
この2つを経験せずに試合を進めることはできません。
なぜなら、どんなに事前に英語力を高めても、この2つは必ず経験するからです。
(英語圏で生まれ育った「真のバイリンガル」の人は例外ですが)
僕は今でもこの2つの状態になることがあります。
最近始めたオンライン英会話でも、
「よし!今日はしっかり話せたな!」
と感じる日と、
「今日は言いたいことが全然口から出て来なかった・・・ボロボロだ・・・」
とヘコむ日が交互にやってくる感じです。
TOEIC975点&英検1級を取った後でさえも、それが現実なのです。
でも、週6日間オンライン英会話レッスンを受け続けています。
そのうち3日間は「あぁ、今日はダメだったな・・・」と感じます。
でも、そんなにストレスを感じません。
うまく会話ができなかった時、ヘコまないわけではありません。
「ヘコむ状態に慣れている」
「ダメな自分を見慣れている」
というのが正直なところです。
そして実は、これこそが「試合経験値」だと僕は思っています。
「できない自分」を経験してみる
一度「できない自分」を経験してみることで、逆に自信がつくことがあります。
一度落ちるところまで落ちれば、後は地獄の底からはい上がるだけです。
以前、僕が読んだ「起業の本」の中に、こんなことが書いてありました。
「起業するのが恐い人は、一度ホームレス生活を経験してみよう。1週間ぐらい、ホームレスのふりをして公園で寝泊まりしてみよう。『家やお金がなくても死ぬことはない』ことを実体験できたら、起業して失敗して破産することに対する恐怖が消えていくから。」
僕はこの一節を読んだ時、「英会話に似ているな」と思いました。
・自分の言いたいことがあるのに英語がまったく出てこない状態
・会話が続かなくなって、沈黙の時間になってしまう状態
この2つを経験すると、確かに最初はヘコみます。
でも、この状態を一度経験すると、恐怖は薄れてきます。
「ヘコまなくなる」のではありません。
「ヘコむ自分にOKが出せる」ようになるのです。
その結果、恐怖が薄れていきます。
そのメンタルは、英語以外の場面でも役立つことが多いです。(僕の場合は起業や結婚で役立ちました)
外国語を学ぶ価値
実は僕は、これこそが日本人の大人が英会話を習う価値だと思っています。
大人になると、日常生活の中で「できません」「わかりません」と言いづらくなります。
人前で恥をかくことも少なくなります。
でも、英会話では「子供の頃のような感覚」に戻ります。
相手と基本的なコミュニケーションすら取れない状態になるのです。
ネイティブの幼稚園生レベルの英語しか話せない状態を経験できます。
外国語を学んでいる人でないと、こういう経験はできません。
僕らは大人になると、どうしても「自分のできる範囲内」での挑戦しかしなくなります。
特に仕事上では、「最初から失敗が許されないケース」が多いからです。
でも、外国語を学ぶ過程では、失敗を避けて通ることはできません。
みんな一度、「幼稚園状態」に戻るのです。
大人になってから「できない自分」を受け入れるメンタルが養われたこと。
ヘコんだ後の立ち直りが早くなったこと。
それが、僕が英会話を始めて手に入れた最高の財産だと思っています。
・・・つづく。
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