From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
前回までは、僕が初心者の頃に感じた「英語で英語を学ぶ」ことの非効率さをお伝えしてきました。
①英英辞典はむずかし過ぎる!
②ネイティブの先生相手に、そもそも英語で質問できない&解説が分からない
③聞き流し教材は頭の中に残らない
という3点から、僕は最初の1年間で挫折しそうになりました。
その後、TOEIC700点以上になったタイミングで、少しずつ英英辞典を使うようになりました。
また、カナダに留学して現地の学校に通っていた時には、先生に英語で質問できるようになっていました。
自分が「英語で英語を学ぶ」ことができるようになって気付いたことは、
「やっぱり日本語の教材を使った方が効率が良い」
ということです。
学校の先生の英語による英語の解説よりも、日本語の英語テキストでサラッと確認した方が、圧倒的に早く正確に答えが分かるのです。
もちろん、これには賛否両論あると思います。
「英語で英語の説明を聞くこと自体に英語力アップの要素があるじゃないか!」
と思われるかもしれません。
でも、それなら僕は、「英文法や英単語の解説を聞く力」を伸ばすトレーニングよりも、もっと実用的な、
「ビジネスでの会議やプレゼンなどを聞いたり、自分で話せる力」
を身につけるためのトレーニング素材を使いたいと思いました。
「主語」「動詞」「助動詞」「前置詞」なんて文法専門用語を英語で言えるようになっても、国際コミュニケーションの現場で使う機会がどのくらいあるでしょうか?
効率を求める派
僕は「できるだけ効率的に結果を求める派」なので、意味のない遠回りがキライです。
僕は10代の頃に剣道や空手をやっていましたが、どうも気合いや根性論が自分の性格に合いませんでした。特に高校の時の部活の剣道は、先生や先輩がちゃんと技のやり方を説明してくれるわけではなく、「見て盗め」みたいな感じでした。
強い先輩たちにボコボコにされる中で、「技を盗み取れ」みたいに言われても、そんな余裕はないし、自分が上達している実感がありません。1年でイヤになって辞めました。(当時は正式な退部は許されず、先輩たちが僕を追うのをあきらめるまでの期間、命がけで逃げ続けました)
「英語は実戦の会話の中で覚えろ」という考えは、この「見て盗め」と同じ発想だと思います。
僕は「スピードと効率重視」なので、格闘技の世界でも「科学的なトレーニングで最短ルートで強くなること」だけを追求した西洋文化の武道であるボクシングやキックボクシングなどに心を惹かれ、だんだんそっちに移行していきました。
英語学習も、無駄なく最短ルートで上達させたいと思っていた僕にとって、「英語で英語を学ぶスタイル」は、高校時代の剣道部の教え方を思い出してしまい、あまり魅力的に感じませんでした。
「英語で英語を教える側」になる
カナダから帰国後に、僕は大手英会話スクールの教師になりました。すると今度は自分が、
「英語で英語を教えるレッスンをする側」
になりました。
僕の担当クラスは初級~中級レベルまででしたが、基本的にクラス内では日本語禁止の英語オンリーでした。
この教え方は、日本語を使える日本人教師の自分の強みを捨てて、ネイティブ講師とまったく同じ土俵で戦うことを意味していました。
学習効率という点では違和感はありましたが、そもそも生徒さんたちも「英語オンリーのレッスン」を求めて入学を決めたはずです。
これも良い機会なので、
「初心者に英語で英語を教えるスタイルがどこまで通用するのか?」
をとことん追求してみることにしました。
文法用語をすべて覚える
まず最初に僕は、ネイティブ講師に文法的な質問が細かくできるようになるために、文法用語をすべて英語で覚えました。
「この副詞は、文章の中でどこを修飾しているのか?」
「なぜ、ここでこの関係詞が使われているのか?」
といったマニアックな質問を、すべて英語でできるようになりました。
そしてその答えを聞いたら、自分でも同じように生徒さんに対して英語で文法解説できるように練習しました。
ところが・・・
質問されない!
実際にレッスンをし始めてみると、僕が
「Do you have any questions?」
と聞いても、誰も質問してきませんでした。
本当にゼロ!です。
ここで僕は気付きました。
「自分もそうだったじゃないか!」
と・・・
僕もTOEIC700点レベルになるまでは、英語で英語の文法を質問することは、かなりハードルが高く感じていました。
だとすれば、今の僕の生徒さんたちだって、同じ気持ちのはずです。
僕は、自分がせっかく用意した文法用語の英語バージョンを使う機会がなくて、ちょっと残念な気持ちになりました。
でも、その後、経験を積むに従って、だんだん上のクラスも担当するようになったのです。
僕は、「今こそ、蓄えた力を使う時だ!」
と思いました。
・・・つづく。
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