【僕が「習い事」に感じた夢と希望:演技編107】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
 
 
僕が教室に入ってしばらくすると、ドアがガチャッと開いて、先生が入ってきました。
 
 
前回と同じ先生です。
 
 
先生はガッシリした体格で、顔には無精ひげを生やした、いかにもアクションを教えそうな雰囲気の中年男性です。
 
 
ダンスクラスの先生は定期的に違う人に変わりますが、どうやらアクションの先生はスクール側にとっても選択肢が多くないようです。
 
 
この先生には前回、色々と情報を教えてもらったときには、
 
 
「日本でアクション俳優として生活していくには、チャンバラアクションを学ばなければならない」
 
 
と言われました。
 
 
「カンフーアクションのような、素手で戦う格闘系のアクションは、戦隊モノしか需要がない」
 
 
とも言われました。「戦隊モノ」というのは、昔からある子供向けの「○○レンジャー」シリーズのことです。
 
 
カラフルなテカテカ素材&ピチピチサイズの全身スーツを着て、顔を隠す仮面をかぶって戦う「戦隊モノ」は、僕が進みたい方向とは違いました。
 
 
僕はジャッキー・チェンに憧れていたのです。ジャッキーがピチピチ全身スーツを着て戦う姿は想像できません。
 
 
先生はただ真実を教えてくれただけなのですが、僕にとっては夢がガラガラと崩れたような気分で、かなりショックでした。
 
 
そして僕にとって都合の悪い情報を伝えた先生をちょっとキラいになっていました。
 
 

バッドニュース・マン

これは心理学的に証明されていることらしく、「人間は自分にとって悪いニュースを運んできた人に対して、敵意を抱く」ということが、以前読んだ本に書いてありました。
 
 
たとえばアメリカでは、
 
 
「テレビのニュースレポーターが『週末の天気は雨』という情報を伝えただけで、そのレポーターに対する苦情の電話が殺到した」
 
 
という事例があったそうです。
 
 
この現象は、たしか「バッドニュース・マン理論」とか呼ばれているらしいです。(名前の記憶があいまいなので、「バッドニュース~」から先は間違っているかもしれません)
 
 
とにかく僕にとっては、アクションコースの先生はバッドニュース・マンでした。
 
 
(僕自身も今は自分の書いた本やブログ、YouTubeチャンネルで「英語学習の不都合な真実」を伝えているので、「ラクしてペラペラ」を夢見ている人達にとってはバッドニュース・マンになっていると思います)
 
 

K君からの情報

僕の今回のミッションは、先生ではなくK君から情報を聞き出すことです。
 
 
①K君のスクール在籍期間を聞き出すこと。
 
 
②アクション俳優業界の現状を聞き出すこと。
 
 
この2つが達成されれば、僕がこのコースに参加した投資元は回収できます。
 
 
K君の答えによっては、K君もバッドニュース・マンになる可能性大ですが、それでも僕は真実を知りたいと思いました。
 
 
いつもの演技レッスンでは、K君はボディーガードのような取り巻きの人達に囲まれて近づけない雰囲気です。
 
 
でもこの「アクション俳優養成コース」の期間は、K君を5日間連続で間近で観察しながら話しかけることができます。
 
 

アクションの先生とも仲良し

K君はさすがに長くいるだけあって、アクションの先生とも仲良しでした。
 
 
先生もK君とは遠慮なくカジュアルに話している感じです。
 
 
K君も先生に対してタメ口で話したりしていて、かなり距離の近さを感じました。
 
 
おそらく僕が前回参加した時には、たまたまK君がいなかっただけで、ふだんK君はこのコースに毎回参加しているに違いありません。
 
 
いったいK君はこのスクールに何年通っているんだろう?
 
 
今までにアクション関係の仕事をしたことがあるんだろうか?
 
 
そんな疑問がますます強くなってきました。
 
 
自分の中で「3年たって芽が出なかったらスパッとあきらめる」と決めている僕には、もうそんなに時間がありませんでした。
 
 
僕がK君に対してモヤモヤした感情を感じるのは、自分と同い年なのにこのスクールにずっと長く通っているK君のことがうらやましかったのかもしれません。
 
 
K君が何年もここに通っているとしたら、僕はすでに大きな差がつけられているような気がしていました。
 
 
これまで僕が習ってきた武道は「早く始めた方が有利」なジャンルだったからです。
 
 
長く道場に通っている人は黒帯を持っている率が高いのです。(もちろん、例外もありますが)
 
 
僕も演技もアクションも、同じだと思っていました。
 
 
だから、自分は演技の世界では白帯で、K君は黒帯扱いを受けているに違いない・・・と。
 
 
・・・つづく。
 
 
 

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