【僕が「習い事」に感じた夢と希望:演技編111】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
 
 
K君に話しかけるタイミングが予想以上に難しいと分かった僕は、悩みました。
 
 
夏の集中ゼミの「アクション俳優養成コース」の期間でさえも、K君はスクールの外ではいつも「7~8人の取り巻き連中」に囲まれているのです。
 
 
もちろんこれは僕の見方で、K君からしたら単に、
 
 
「みんなでレッスン後に待ち合わせして一緒にワイワイ楽しんでいる」
 
 
だけだと思います。
 
 
でも僕にとっては
 
 
「いつもボディーガードに囲まれていて、なかなか近づくことができないマフィアのボス」
 
 
みたいに見えました。(K君の性格はマフィアっぽさはみじんもありませんが)
 
 
僕に残された選択肢は2つしかありませんでした。
 
 
1.レッスンの合間の休憩時間にK君に話しかける。
 
 
2.レッスン後に取り巻き連中も含めて全員に話しかけて輪の中に入ってから、K君に話しかける。
 
 
しばらく考えたあげく、K君が本音を教えてくれそうな環境としては、1よりも2の状況だと判断しました。
 
 
先生の前だと、K君は間違いなく気を遣います。
 
 
それよりも2の気心知れた仲間の前の方が、心を開いて本当のことを教えてくれる気がしました。
 
 
僕にとっては年上の男女が7~8人もいる集団の中に入っていくのは勇気がいることですが、仕方ありません。
 
 
僕は覚悟を決めました。
 
 
 

ミッション開始!

2日目のアクション俳優コースのレッスンが終わった後、僕はK君の後をつけることにしました。
 
 
どうせスクールの出口の前では、いつもの取り巻き連中が待っているに違いありません。
 
 
でも、僕はその輪の中に飛び込む決心をしました。
 
 
K君がスクールの外に出ました。
 
 
僕は仲間がすでに待っていると思っていました。
 
 
ところが!!K君は止まらずにそのままスタスタ歩いて行きました。
 
 
あれ?おかしいぞ?
 
 
僕は周りを見回しました。
 
 
特にK君の後を追う人はいません。
 
 
今日はボディーガードの取り巻き連中はいないのか??
 
 
そんなバカな!
 
 
でも、これは逆にチャンスです!
 
 
僕は小走りでK君を後ろから追いかけました。
 
 
僕:「K君、お疲れ様です!」
 
 
K君がビックリした様子で振り向きました。
 
 
K君:「あ、あぁ、お疲れ様です。」
 
 
僕:「アクションコース楽しいですね!」
 
 
K君:「うん、楽しいですね。ていうか、俺たちたしか同い年だったよね?敬語使わなくて良いよ。」
 
 
僕:「そうか。じゃあ、敬語なしで。そういえば今日、いつもの仲間はどうしたの?」
 
 
K君:「あぁ、今日は別の場所で待ち合わせなんだ。」
 
 
僕:「そうなんだ。いつもみんな一緒にいて、仲いいよね。」
 
 
K君:「そうだね。」
 
 
僕がK君と2人だけで話せる時間はあまり長くないようです。
 
 
ちょっとしたスモールトークを2~3分した後、僕は早々に本題に切り込むことにしました。
 
 
 

切り込み隊長

僕:「ところでK君てさ、このスクールにけっこう長く通ってるの?」
 
 
K君:「うん、長いよ。」
 
 
僕:「いつから通ってるの?」
 
 
K君:「え~?聞いちゃう?」
 
 
K君はふざけた様子で言いました。
 
 
K君:「俺、ここ長いよ。2才の時から通ってるからね。」
 
 
僕:「え?2才??」
 
 
僕は自分の耳を疑いました。
 
 
12才じゃなくて、2才??
 
 
僕:「2才って、赤ちゃんの頃からってこと?」
 
 
K君:「そう。親が俺をここに入れたんだよね。」
 
 
僕:「そんなに小さい頃から通えるの?」
 
 
K君:「実はけっこう多いんだよ。ほら、小さいよちよち歩きの子を連れたお母さんたちが入り口でよく話しているのを見かけない?」
 
 
僕:「あ、たしかに!あれって、上の子供が出てくるのを待ってるんじゃないの?」
 
 
K君:「そういう場合もあるけど、あの小さい子達が通ってるってパターンがほとんどだよ。」
 
 
僕:「えーーー!!あんなに小さいうちから演技のレッスン受けてるの?」
 
 
K君:「そうそう。意味ないよね。俺もその頃の記憶全然ないし(笑)スクールは情操教育とか言ってるけど、まあ親の自己満足だよ。」
 
 
僕は衝撃を受けました。
 
 
K君の答えは、僕の想像をはるかに上回っていました!!
 
 
2才の時からということは、K君はなんと19年間もこのスクールに通い続けているのです!!
 
 
・・・つづく。
 
 
 

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