【僕が「習い事」に感じた夢と希望:演技編125】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と思って「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
 
 
クラスメイトのT君とSさんは「エキストラの仕事」を受けまくることで、芸能界に食い込むチャンスを探る作戦に出ました。
 
 
T君とSさんは東京に出やすい地域に住んでいて、仕事もスケジュール調整しやすいバイトらしく、平日早朝からのエキストラの仕事にも出やすい環境でした。
 
 
T君とSさんは、ガンバって短期間に連続3~4回ぐらいエキストラの仕事に応募しました。
 
 
そして、エキストラの仕事を週2本ぐらいのペースでこなすようになりました。
 
 
そしてしばらくした頃、エキストラ体験談を僕にシェアしてくれました。
 
 

エキストラってどんな感じ?

僕:「最近がんばってるエキストラの仕事はどう?けっこう大変?」
 
 
T君:「う~ん、あれを大変と感じるかどうか?は人によるかもね。なんていうか、待ち時間が長いんだよね。1日の拘束時間が長くて、待ち時間が長い感じ。でも、雰囲気はユルいから気分的には大変じゃないよ。」
 
 
Sさん:「そうそう!私の行ったところも同じだった!いつ撮影が始まって、終わるのかもよく分からないし、ただ指示を待っている感じなんだよね。」
 
 
T君:「撮影現場の雰囲気を体験できるから、俺はエキストラの仕事自体は面白いと思う。ただ、ハッキリ言って演技力は必要ないね。ホントにチラッと背景に映るぐらいだし。」
 
 
Sさん:「ふだん演技レッスンで習ってることなんて使う機会ないよね(笑)」
 
 
僕:「へぇ~!そういう感じなんだ!ところで、エキストラの募集枠に応募して、採用される確率はどのぐらいなの?」
 
 
T君:「あれは早い者勝ちだから、募集が出たらすぐ申し込めば、100%なんじゃない?たぶん。」
 
 
Sさん:「そうだね、オーディションとかもないし。」
 
 
僕:「確かに、通行人のエキストラを選ぶためにオーディションをやってたら、時間がかかって大変過ぎるだろうね。てことは言い換えると『誰でもいい』ってことだもんなぁ~」
 
 
T君:「そうだよ。別にエキストラの仕事に演技スキルはいらないと思うよ。」
 
 
僕:「他の人達はどういう経緯でエキストラの仕事に応募してるの?やっぱり俺たちみたくタレント養成スクールの生徒たちなの?」
 
 
Sさん:「私が話した人は、○○スクールとか○○スクールに通ってる人達だったから、同じじゃない?ついでにむこうのスクールのレッスンの様子とか、デビューしてる人の割合とか聞いてみた。」
 
 
T君:「で、どうだった?」
 
 
Sさん:「やっぱりどこもうちと同じような感じみたい。デビューしてる人なんてほんの一握りって感じ。99%の人達はただレッスンに通い続けてるらしいよ。」
 
 
T君:「だよね~・・・」
 
 
僕:「やっぱりスクールを変えても、環境は変わらないか・・・みんなそんな現状を変えようとして、エキストラの仕事に応募していくんだろうな。」
 
 
Sさん:「タレント養成スクールの生徒をエキストラとして使うのは、撮影スタッフにとっては好都合だと思うよ。みんな芸能界に入りたいと思ってるから、安い日当でも一生懸命やるしね。」
 
 
僕:「そう!そこが一番聞きたかったんだよ!みんなエキストラの仕事をしながら『いつかは自分もカメラの真ん中に映る日が来る!』って思ってるわけじゃん?実際、どうなの?現場監督の目に止まって役がもらえる確率ってどのぐらいありそう?今までの現場の雰囲気的に。」
 
 
 

エキストラの現実

T君:「・・・俺はハッキリ言って、かなり確率は低いと思う。エキストラの仕事をガンバっても、役がもらえるとは思えない。」
 
 
Sさん:「私もそう思う。ていうか、どうやってアピールすればいいのって感じ。そもそも監督と話す機会なんてないし。見てもらえる機会もないし。」
 
 
僕:「え?そうなの?」
 
 
T君:「現場でエキストラに指示を出すのはアシスタントみたいな人たちだからね。」
 
 
Sさん:「そうそう!アシスタントの人達の前でアピールしても、あんまり意味ないと思うし。」
 
 
T君:「そもそも、撮影スタッフの目的はロケ撮影を完了することだから、俺たちにまで気が回らない感じだよね。」
 
 
Sさん:「何かね、スタッフの人達の中では『役者さん』と『エキストラの皆さん』って感じで、境界線が引かれてるのを感じる。別にないがしろにされるわけじゃないけど、何となくエキストラの人達は階級が違う雰囲気。役者さんたちは完全に別格って感じ。」
 
 
T君:「そうなんだよね!武士と農民みたいな感じかな。エキストラは農民!」
 
 
僕:「そんなに違うの?(笑)」
 
 
T君:「農民がガンバって能力アピールしても、武士にはなれないでしょ?そんな感じ。そもそも監督も、『農民の中から次の武士候補を探そう!』なんて思ってないだろうし。」
 
 
Sさん:「アハハハ!そうそう!」
 
 
T君:「まあ、可能性ゼロとは言わないけど、エキストラから注目されて役をもらえる確率は、限りなく低い気がするなぁ~」
 
 
Sさん:「そうだよね。やっぱり別の道を探さないとね。」
 
 
僕:「そっかぁ~そんな感じなのか~!残念だなぁ・・・」
 
 
T君:「まあ、エキストラの仕事は楽しいんだけどね。撮影現場を観察できるし、なんとなく自分も関係者になった気分になれるし。」
 
 
Sさん:「うん。エキストラの仕事だけを何年も続けちゃう人がいるのも分かる気がする。一応、芸能界に入ってる風な気分になれるから。」
 
 
僕:「そうなのかぁ~・・・でもそれは、俺たちの目指すところじゃないね。」
 
 
T君:「だね!」
 
 
Sさん:「私もイヤ!」
 
 
僕はT君とSさんとのミーティングを通じて、エキストラの仕事の現実を知らされました。
 
 
・・・つづく。
 
 
 
 

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