【僕が「習い事」に感じた夢と希望41~演技編38】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
(→前回のつづき)
 
※僕が20才の頃、「鉄工場の作業員」から、「アクション俳優」に転職しようと決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
 
 
午前中のHIPHOPダンスクラスがとても楽しくて、すっかり気分が良くなった僕は、
 
 
「この夏期集中ゼミに申し込んで本当に良かった!」
 
 
と感じ始めていました。
 
 
それまでの僕の人生は、「家と鉄工場と空手道場」が自分の住む世界のすべてでした。
 
 
でも、このタレント養成所に入ってからは、一気に世界が広がりました。
 
 
そして今、HIPHIOPダンスという、まったく新しい世界を体験することができました。
 
 
今でこそ、HIPHOPダンススクールは地方でもよく見かけるようになりましたが、当時はとても珍しい存在でした。
 
 

SPEED

ちょうどこの頃は、SPEED(スピード)というダンスグループが出てきて、人気が急上昇し始めていました。
 
SPEEDは小学生~中学生の女の子のグループで、HIPHOPダンスを踊りながら元気に歌うスタイルは、同世代の女子たちの憧れの対象になっていました。
 
 
また、僕の働いていた鉄工場でも、僕と年の近い先輩
たちが昼休みによくSPEEDの話をしていました。
 
 
「中学生とは思えないほど大人っぽいよな~!」
 
 
「俺、CD買っちゃったよ!」
 
 
「俺なんて、ミュージックビデオも買っちゃったよ!」
 
 
と盛り上がっていました。
 
 
当時は、今のAKB48のような、「大人も盛り上がるようなアイドル」がいなかったので、SPEEDの存在は新鮮でした。
 
 
 

硬派な男

一方で、僕は武道が好きで、ジャッキー・チェンの長年のファンだということが、会社の同僚や先輩達に知れ渡っていました。
 
 
そのため、みんなから「硬派なやつ」というイメージを持たれていました。
 
 
なのでよく、
 
 
「おまえはSPEEDとか興味なさそうだなぁ~」
 
 
と言われていました。
 
 
でも、そんな僕が今はこうして、東京でこっそりHIPHOPのダンスレッスンを受けて、SPEEDと同世代の女の子と一緒に踊っているのです・・・
 
 
しかも、それが予想以上に楽しくて、すっかりハマりそうになっているのです・・・
 
 
「会社の人たちには絶対に言えない!」
 
 
と心の底から思いました。
 
 
 

念願のアクションコース!

午前のダンスクラスが終わって、いよいよ午後のアクションコースの時間がやってきました。
 
 
僕が東京に通い始めた最大の理由は、「アクション俳優になること」です。
 
 
その目的に一番役立ちそうなコースが、今回のアクションコースなのです。
 
 
レッスンスタジオに入ると、すでに何人かの生徒が来ていました。
 
 
けっこう人数が多いです。トータル10人ぐらいいます。
 
 
ちなみに、みんな僕(当時20才)と同い年か、ちょっと年上ぐらいの男性です。
 
 
しばらくすると、先生が入ってきました。
 
 
先生は、40代ぐらいで、無精ひげを生やしていて、ガッチリした体型で、いかにも「殺陣師(たてし)」という雰囲気でした。
 
 
僕が働いている鉄工場の中で、すぐ隣の部署の親方にそっくりな見た目だったので、僕は一瞬、驚いてしまいました。
 
 
でも、先生は見た目の無骨さとは裏腹に、話し方や声はとても柔らかくて、優しそうでジェントルマンな感じでした。
 
 
 

アクションの種類

レッスンが始まると、先生はまず最初に、アクションの種類を教えてくれました。
 
 
・素手の殴り合いアクション
 
・時代劇のチャンバラアクション
 
・刑事ドラマによくある銃撃戦
 
・高いところや階段から落ちたりするスタント
 
・車を高速で走らせながらドリフトしたりするカースタント
 
 
言われてみれば、「あ~なるほど!見たことある!」と納得です。
 
 
先生:「この5つの中で、日本で一番需要があるのは何だと思いますか?」
 
 
生徒の1人が答えました。
 
 
「チャンバラですか?」
 
 
先生:「正解!その通り!チャンバラのアクションは、日本では最も需要があります。
 
 
時代劇は、常にTVシリーズものが毎週放送されるので、アクション俳優の出番が多いんです。
 
 
『暴れん坊将軍』が暴れられるのは、敵役のアクション俳優たちがたくさんいるからです。」
 
 
みんなから大きな笑いが起こりました。
 
 
先生:「チャンバラアクションができれば、安定して仕事を得られます。日本でアクション俳優の道を目指すなら、まずはチャンバラアクションができるようになっておくことです。」
 
 
そう言いながら、先生は教室の片隅から、何本もの木刀を取り出しました。
 
 
おぉ~!なつかしい!!木刀!!
 
 
中学校の修学旅行では、男子生徒はみんなこぞって買う木刀。
 
 
高校時代に入っていた剣道部で、素振りの練習で使った木刀。
 
 
まさか、木刀をまた手にする日が来るとは・・・
 
 
僕は懐かしい気分になりました。
 
 
・・・つづく。
 
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