From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕が20才の頃、「アクション俳優になろう!」と決めて、「俳優養成所」に入った時のストーリーの続きです。
ヒゲ先生のレッスンに慣れてきてからの毎日は、とても充実していました。
最初は死ぬほどイヤだったのに、今では生活の中になくてはならないものになりました。
全力を出すことが、こんなに楽しいことだとは思いませんでした。
クラスメイトの中で特に仲良くなったT君とSさんとは、毎週レッスン後に一緒に帰るようになりました。
3人で夢を語り合うのは、本当に充実した時間でした。
僕らは、ふだんの生活の中では周りの人に恥ずかしくて言えない、自分の理想の将来像を語り合いました。
ふつう「芸能界での活躍を目指している」なんて話を職場の同僚や友達とは分かち合えません。
「おまえが芸能人になる?ムリだよ!」
と言われるのがオチです。
もちろんリアクションは相手の性格にもよると思いますが、同じ道を目指したことがない人に自分の気持ちや情熱を理解したり、共感してもらうのは難しい気がします。
その点で、同じ演技スクールに通うクラスメイトと友達になることのメリットを実感しました。
T君とSさん
T君は僕と同い年で、千葉から通っていました。東京の近くから通っている人にも、こんなに熱い人がいたのか!と驚かされるほど、毎日本気で練習していました。
T君は顔も身体も細くてシュッとしたスリムな感じで、切れ長な目をしているイケメンでした。
芸能人で言うと、小泉孝太郎さんに似ています。
性格は熱くて、
「最近見たあの映画は良かった!ああいう映画に出たい!」
「俺は今やっているこのドラマに出たいんだ!」
とよく言っていました。
Sさんは埼玉から通っていて、僕とT君より1才
年下でした。
Sさんも顔が整っている美女で、どちらかというと女優というよりアイドルグループの中にいそうな雰囲気でした。(当時19才だったので年齢的なものもあると思いますが)
Sさんは自信がないタイプで、
「私、あの○○の映画に出てる女優の○○が好きだから、あんな感じの演技ができるようになりたいけど、自信がないんだよねぇ~」
と言っていました。
僕の目から見ると、ヒゲ先生のレッスン内でとても良い演技を見せているので、僕とT君は
「Sの演技は最高だよ!自信を持って!」
とSさんを励ましていました。
彼氏とうまくいかない?!
また、Sさんは演技のスクールに通い始めてから、付き合っている彼氏との関係が悪化していることで悩んでいました。
彼氏が「おまえに女優なんてムリだ!あきらめろ!」と言ってくるようになったそうなのです。
実はこれは、よくあるパターンです。新しい夢を追いかけて一歩を踏み出すと、必ず周りの身近な人達との摩擦が生まれます。
人間の脳は本来、「変化に抵抗する」ようにできています。
これは太古の昔から受け継がれる人間の生存本能です。
昔の人類は常に「死」と隣り合わせでした。
集団から離れて単独行動を取れば、道に迷って飢え死にしたり、肉食動物に襲われるリスクがありました。
そのため、人間の脳は命を守るために「変化を嫌う」ように進化しました。
「昨日までと同じ行動を取れば、今日も同じように生き伸びられる」
というデータが脳の中にインストールされたのです。
この本能は、文明が発達して死のリスクがほとんどなくなった現代でも変わりません。
たとえ自分にとって良いことであっても、「今までと違うこと」を始めると、脳はそれを「リスク」と捉えて止めようとします。
自分の中に大きな抵抗が生まれるようにできているのです。
(実は、英語学習が3日坊主で終わるのも、この本能のせいです。新しいことを始めると、脳が「今までと同じ生活スタイル」に強制的に戻そうとする本能を発動させるので、続かなくなります)
他人の変化にも耐えられない
ちなみにこの「変化を嫌う」本能は、自分だけではありません。
自分の身近な人達に対しても本能が発動します。
というのも身近な人達が変化すると、自分の生活も変化するリスクがあるからです。
だからあなたが変化しようとすると、あなたが付き合っている彼氏 or 彼女、旦那さんや奥さんなど、身近な人達の本能が発動して、モーレツに反対されます。
「おまえにはムリだ!」
と言ってくる人達は、実は自分自身の「安全の本能」に突き動かされているだけなのです。(もちろん本人は気付いていませんが)
女優の道を目指し始めたSさんも、まさにこの時は彼氏の本能のモーレツな抵抗を受けて悩んでいました。
・・・つづく。
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