From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
※僕がカラーコーディネーター1級の試験に再チャレンジして合格した時の体験談の続きです。
いよいよ、恐怖の「エリア長面談」の中で報告する時がやってきました。
これまでの話の流れの中で、エリア長は機嫌が良くなっていました。
そして、話題は「僕がこの1年間で取り組んできたこと」です。
カラー1級の資格を取ったことを、とても切り出しやすい雰囲気です。
僕は今しかない!と思いました。
僕:「あともうひとつ、実は仕事につながるような資格を取りました。カラーコーディネーター検定試験という資格があるのですが、その1級を取ることができました!」
僕はてっきり、エリア長に「ほぅ~誰にも強制されていないのに、偉いな!」なんて言われるのかな?と密かに期待していました。
でも、現実は違いました。
僕の報告を聞いた直後、エリア長の表情はみるみる険しくなっていきました。
そして、僕が話し終わるやいなや、厳しい口調で言いました。
エリア長:「資格なんて、うちの会社ではなんの役にも立たん!!」
僕:「え・・・・」
エリア長:「よく覚えておけ!現場で役に立つのは、経験値だ!資格とか学歴とか、そんなものは現場での経験値にはかなわない。机の上でのお勉強なんて、仕事では何の役にも立たないんだ!」
僕:「は、はい・・・」
エリア長:「うちの会社にも、たまにいい大学を出た高学歴のやつが入ってくることがある。でも、そういうやつに限って使えない!学歴と仕事のデキは関係ない!」
僕:「は、はい。」
エリア長:「現場で頭をひねって考えて、経験したことこそ、仕事のスキルになるんだ。分かったな?」
僕:「はい・・・分かりました。」
(そういうつもりじゃなかったんだけどな・・・)
と思いつつ、話は別のトピックに移っていきました。
とてもじゃありませんが、「報奨金が出ますかね?」とか、「本部の人事に報告していただけますでしょうか?」なんて言える雰囲気ではありませんでした。
言われる側の気持ち
実はこの「学歴や資格なんて現場では何の役にも立たん!」というフーレズは、僕は聞くのが初めてではありませんでした。
僕が最初に働いた鉄工場では、よく親方たちが言っていたのです。
大卒の新入社員の人達が現場研修で回っている時に、よく聞くフレーズでした。
本人がいない時に言っているのを聞いたこともあったし、本人に向かって言っているのを聞いたこともあります。
おそらくこの言葉の真意は、
「学歴が高いからといって、初めから仕事ができるなんてオゴるなよ!ゼロから学ぶ姿勢を忘れるな!」
だと思います。
僕は高卒なので、自分に対して上の人からこのセリフを言われたことはありませんでした。
人が言われているのを聞いても、
「ふ~ん、そういうものなんだなぁ」
ぐらいにしか感じなくて、特に気になりませんでした。
でも、「学歴や資格なんて、何の役にも立たん!」という言葉を初めて自分に向けられたことで、大卒の人達がどんな気分だったのか?を知ることができました。
言われる側の気持ちとしては、
「いや、別に現場をナメてないし、そんなつもりはまったくありませんが・・・」
という感じです。
職場によって違う価値観
おそらく、この雰囲気は大卒の社員がほとんどの会社では起こらない現象だと思います。
大卒社員がメインの会社では、むしろ学歴が高い方が尊敬されるかもしれません。
僕はそういう職場で働いたことがないので分かりませんが、ドラマとかを見ているとよく「出身大学派閥」みたいなシーンが出てきます。
でも、高卒の社員がメインで、大卒の社員が少ない会社では、「学歴や資格なんて何の役にも立たん!」的なセリフが飛び交うことが多い気がします。
僕が最初に働いた鉄工場は、親方の人達は高卒と中卒の人達がメインでした。(当時50代後半~60代の人が多かったので、年代的に中卒で集団就職した人が多かったという話を聞きました)
ジーンズショップの仕事も、おそらく半数以上は高卒~専門学校卒だと思います。
そういう現場だと、少数派の大卒の人達は「使えねー!」的なセリフを言われる確率が高いんだと思います。
高学歴の人も大変
ちなみに後日談ですが、僕が店長になった後、同じエリア内に東大卒の中途入社の人が入ってきました。
その人も新入社員で右も左も分からないのに、「東大使えねぇ~!」と他の店長たちやエリア長から言われて、風当たりが強くなっているのを目にしました。
同じ人でも高卒や中卒だったら、そんなことは言われなかったでしょう。
「学歴が高いのも、大変なんだな・・・」
と思いました。
そして僕は今回、初めて言われる側の立場を経験したことで、この「あるある」セリフ、「学歴や資格なんて何の役にも立たん!」の中にある「本音」も見えるようになりました。
・・・つづく。
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