From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
前回の記事でお伝えしたとおり、僕は空手道場に通う2年前から、独学で練習を始めていました。
週末バイトで稼いだお金のほとんどを、トレーニング用品に投資していました。
・手にはめるボクシンググローブ
・足に付けるキックレガース
・本格的なサンドバッグ
などなど・・・
道具に投資するメリット
道具に投資すると、モチベーションが上がります。ボクシンググローブをはめると、自分が強くなったような気がして、テンションが上がりました。
最初は古くなったフトンを巻いて作ったサンドバッグも、どんどんレベルアップしていきました。
ちょっと安めのスタンドタイプのサンドバッグから始めて、それがボロボロになって中から綿が出てくるたびに、1ランクグレードの高いモデルにレベルアップしていきました。
そして18才になる頃には、3つのサンドバッグを潰して、4つ目はついに、「上からチェーンで吊るす超頑丈なロングタイプのサンドバッグ」を部屋に設置しました。
ロングタイプのサンドバッグを使えば、ほとんど全ての種類のパンチ&キックを練習できます。
自分と同じぐらいの背丈があるサンドバッグなので、チェーンから外して床に置けば、グラウンド状態(寝た状態)からの打撃技も練習できました。
そんな感じで週末バイトで稼いだお金を、ひたすらトレーニング道具に投資してきたおかげで、僕のトレーニング環境はかなり快適になっていました。
道具に投資するメリットは、「続けやすい環境を作れる」ことにあると思います。
道具に投資したおかげで僕は、毎日2時間のトレーニングを週6日×2年間続けることができました。
僕の高校時代の自由時間のうち、トータル1,250時間ぐらいは格闘技に費やしていた計算になります。
こうやって聞くと、「ものすごい努力家ですね!」と思われるかも知れませんが、自分としてはそんな感覚はありませんでした。
毎日大好きなことに打ち込んでいただけです。僕にとって格闘技のトレーニングは、TVゲームを毎日2時間やっているのと変わらない感覚でした。
今思い返せばこの時期に、
「この量の練習をこのペース続けたら、このぐらいの期間でこのぐらい伸びる」
という、
「新しいスキルを習得する時の上達ペースの基準」
が自分の中にできたんだと思います。
おかげで、その後も習い事をする時に、「ラクして短期間でカンタンに身に付く!」みたいな期待をしないで済むようになりました。
念願の空手道場!でも・・・
18才で高校を卒業と同時に、僕は町の小さな鉄工場に就職して働き始めました。
今思い返せば少ない給料でしたが、それでも高校を出たばかりの僕にとっては大金でした。
高校時代の週末アルバイトで稼げる金額とは比べものになりません。
人生で初めて定期的にお金が入ってくるようになった僕は、思いました。
「これで空手道場の月謝が払える!」
そこで、さっそく町の空手道場に通い始めました。
僕のイメージの中での空手道場は、
「自分よりずっと熱心でずっと強い人たちが、毎日のトレーニング成果を披露し合っている」
イメージがありました。ところが、実際に入ってみて驚きました。
道場生の半数以上は、家ではあまりトレーニングをしていませんでした。
ただ週に1回、ここへ来てみんなと一緒に練習して満足している人が多かったのです。
もちろん、中には毎日自主練している人もいました。そういう人たちは、技だけではなく肉体的にも鍛えていてめちゃくちゃ強いので、僕は組み手でもまったく相手になりませんでした。
ただ、僕の抱いていた空手道場のイメージは、「そういう猛者ばかりが集まる場所」だと思っていたので、これは意外でした。
比率としては、
本気の人たち:10%
普通のテンションの人たち:60%
ユルい人たち:30%
ぐらいの感じでした。もちろん、習い事の楽しみ方は人それぞれでいいと思います。
毎日あまり激しい練習をしていては、仕事や日常生活に支障が出ます。
でも、当時18才で肉体的にも若く、社会へ出たばかりだった僕は、「ユルい感じで来ている人たち」と「普通のテンションで来ている人たち」の多さを見て、落胆してしまいました。
「スゴい人たちばかりのいる道場に通って、自分を引き上げてもらおうと思ったのにな・・・」
という感じです。
道場の先生はもちろん最強でしたが、ユルい人たちにゲキを飛ばしたり叱りつけたりするわけでもなく、かといって全体の雰囲気をユルくするわけでもなく、うまく中間を取って稽古を進めていました。
今思い返せば、この先生の稽古の上手な進め方を間近で見れたことと、「ユルい雰囲気の人たちと本気の雰囲気の人たちに混じって練習した経験」が、その後の自分の英語学習にもすごく役立ちました。
空手道場にはトータル2年間通いましたが、それまでの独学では学べないことをたくさん学ばせてもらいました。
これが、僕にとって初めての「習い事」でした。
・・・つづく。
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