初めての外人バーに潜入した、ある夜のこと。
飲み物を注文し、出てきました。
しかし、その時点で僕と、友達のケイタのふたりの用意した「話のネタ」は尽きていました。
無理もありません。
僕らは、英会話スクールに入学してまだ数ヶ月しかたっていないのです。
週1回50分のレッスンの中で学んだフレーズを出し尽くすのに、15分もかかりませんでした・・・
そして、目の前に出されたグラスに、なみなみと注がれたドリンク。
目の前には、イギリス人のバーテンが、話のつづきをしようと、笑顔でこっちを見つめています。
ピンチです!!!
そこで、僕はバッグの中に手を伸ばし、例の
「秘密兵器」
を取り出しました。
まさか、こんなに早い段階で、これを出すことになろうとは・・・
それに、まだこれがうまくいくかどうかも分かりません。めっちゃ緊張してきました!!
おそるおそる、バッグからマジックグッズを取り出すと、用意していたセリフを言いました。
「あいむ あ マジシャン!!」
ジョンが、
「オーゥ!!!」
という大きな声を上げ、
「ぜひ、見せてくれ!」
みたいな感じになりました。
そこで、用意してきたセリフの紙を念のためポケットに入れて、マジックの演技を始めました。
簡単な予言のマジックでしたが、途中でセリフが飛ぶわ、緊張で手がふるえて失敗しそうになるわで、冷や汗ダラダラになりました。
でも、最後に当たった瞬間に、
ドカン!!
と大盛り上がりになりました!!
マジックが成功したのです!!
すると、離れたテーブル席にいた外国人のお客さん3人が、その異常な盛り上がりに気づき、こっちをチラチラ見ています。
ジョンがすかさず、
「He’s a magician!」
と叫びました。
すると、むこうのテーブルでも、
「こっちでも見せてくれ!(←英語で)」
という声があがりました。
そこですかさず、ネタをセットし直し、テーブル席に向かいました。
一度やってうまくいったせいか、アドレナリンのせいか、さっきより緊張もとけて、自分のテンションが上がってるのが分かります。
1回目よりもスムーズに演技が成功すると、このテーブルでも、
ドカーン!!
と盛り上がりました。
やっぱり、外国人は盛り上がり方が違います!!
ものすごい大きな声で、目を大きく見ひらいて、テンションMAXで
「オーマイガー!!」
とか言ってくれるのです!!
その気持ちいいこと!!
なんか、自分が英語がしゃべれるとか、しゃべれないとか、どうでもよくなるくらい、彼らとつながっている感じがして、僕のテンションもMAXになりました!!
(あ~!来て良かった・・・)
そんな気分になっていました。
すると、その直後、さらに驚くことが起こりました!!
彼らは、おもむろにポケットに手を伸ばすと、財布を取り出して、僕に「チップ」をくれたのです!!
もらったのはトータルで500円でしたが、これが僕にとって
「会社の給料以外でお金をもらう」
ことの初めての体験になりました!!
これは、不思議な感覚でした。
海外は、チップ文化です。
すばらしい芸を見たら、自然に財布を取り出して、チップをくれます。
その後は、ジョンと彼らが僕に、
「どこでマジック習ったの?」
とか、
「どのくらいやってるの?」
「プロでやってるの?」
とか、マジックに関する質問を次々と浴びせてきました。
でも、これらはあらかじめ「想定内の話題」の質問だったので、僕は事前に答えを用意して、バッチリ丸暗記していました。
なので、スムーズに受け答えすることができました。
もちろん、相手の言っていることで分からない部分がたくさんありました。
でも、バーから出る頃には、
「初めてにしては、けっこう良くやった方じゃない?俺たち!」
と、ケイタと一緒にハイタッチをしていました。
「また、ぜったい来ようぜ!!」
と、ふたりで誓い合いました。
・・・つづく。
自分の得意分野に話題をシフトする
今回の僕の
「外人バーデビュー戦」
がうまくいったのは、
「事前準備」
があったからです。
僕は、マジックを見せればその話題に話をシフトできるだろうと考え、その準備をしていました。
もちろん、初めてだったので、
うまくいくのか?
外国人相手にウケるのか?
まったく未知数でした。
結果、ドカンとウケて、話題をマジックに持って行くことができました。
どんなに英語ができても、自分の得意分野以外のことは、会話をつづけるのは難しいものです。
日本語だってそうですよね。
サッカーを見ない人が、サッカーの話題についていくのは、日本語でも難しいです。
マジックの持つ3つのパワー
今回、あらためて「マジック」というジャンルの持つパワーを知りました。
サプライズは、本当に国境を越えるんだな!
という実感がひしひしと伝わってきました。
このときの経験から、マジックは
「3つの大きなパワー」
を秘めていることに気づきました。
① マジックは、人の感情を大きく揺さぶる
それまで静かに飲んでいた人たちが、僕のマジックを見て、大騒ぎになりました。それを見て、「いかにマジックが人の心をゆさぶるか?」を実感しました。
② マジックは、見ている人を笑顔にする
マジックを見ている人の顔は、キラキラ輝いています。好奇心と驚きに満ちていて、大人もまるで子供のような表情になります。これは、マジックを演じているマジシャンにしか見えない光景です。
③ マジックは、人と人をつなげる
マジックが始まると、店内にいるお客さんたちが、ひとつのテーブルの周りに集まってきます。そして、みんなで驚きと感動を共有します。
すると、その場の空気に「親近感」が生まれます。そこから、会話が生まれ、さっきまで離れたところに座っていた人同士が、急に親しげに話し始めたります。マジックは、その場にいる人たちみんなを「つなげる」効果があるのです。
僕はこの夜、初めて
「マジックというジャンルの持つパワー」
を実感しました。そしてその後、マジックで人を笑顔にすることの楽しさに、どんどんのめり込んでいきました。
でも、この頃はまだ、ジーンズショップの雇われ店長だった自分が、数年後にプロマジシャンとして、弟と一緒に数百人規模のステージに立つ日が来るとは、夢にも思ってもいませんでした・・・
From Shinya
(英語の達人養成ジム 師範代)
自己紹介は、こちら
※ブログの「もくじ」は、こちら
P.S.
「対ネイティブ用秘密兵器」を、動画で楽しく学べるセミナーを作りました。
コメントを残す