From 師範代Shinya(新村真也)
(※僕がカナダで一人旅していた頃の体験談です)
(→前回のつづき)
モントリオールで動物園に行き、バスツアーに参加し、ご当地グルメのプーチンも食べた僕は、ひととおりの「やりたいこと」を終えてしまいました。
でも、滞在予定日はあと丸一日あります。
それに、今日は天気が良いので、お出かけ日和です。
僕は、ホテルのフロントの人に徒歩圏内で行けるオススメ観光地を聞いて、言ってみることにしました。
フロントでもらった観光案内パンフレットを片手に、ひとりで街を回ってみました。
僕が泊まっているホテルは、予想以上に良い立地にあったようで、徒歩圏内に観光スポットが山ほどありました。
ステンドグラスが美しい大聖堂やら、海鮮食品で有名なマーケットやら、ヨーロッパ風の建物が並ぶ通りやら、いろんなところに行ってみました。
たしかに、異国情緒はあったのですが、僕はいまひとつ、しっくり来ませんでした。
ワクワクしない理由
なぜ、あまりワクワクしないんだろう?
僕はビーチにひとりで座りながら、考えてみました。
カナダに来てからは、ずっとエキサイティングな日々が続いていました。
もちろん、アップ&ダウンはありましたが、基本的に毎日が充実していて、ワクワクすることの連続でした。
何気ない日常にすら、刺激を感じていたのです。
ところが、ここモントリオールに来てからは、僕のテンションはダウンしていました。
それを自分で見ないようにしながら、
「せっかく来たんだから、楽しまなくちゃ!」
と自分を奮い立たせていたことに気づきました。
ワクワク感とは、本来は頑張って作り出すものではなく、内側から自然にわき上がってくるもののはずです。
明らかに「非日常」の世界にいるにも関わらず、わくわく感が得られない自分が不思議でした。
そして僕は、あることに気づきました。
人との関わり
僕は、モントリオールに着いて以来、初めてひとりで行動していました。
それまでは、ずっと誰かと一緒でした。
バンクーバーの空港に降り立ってからは、ホストファミリーのジョン&フローレンスと一緒に暮らしてきたし、休みの日は他の国から来たクラスメイトの留学生たちと一緒に観光に出かけていました。
トロントに行ってからも、ジェフやメアリー、ダンと一緒に過ごしていました。
僕のこれまでの思い出は、すべて「人との関わり」から生まれたものでした。
行った場所の景色や食べ物も、すべてその時に交わした「会話」と結びついて思い出として焼き付いています。
僕は、観光スポットそのものには興味はありませんでしたが、一緒に行った人たちとの会話を通じて記憶が残っていました。
ところが、ここモントリオールに来てからは、僕はずっとひとりで行動してきました。
現地人と交流したかったのですが、フランス語なまりのキツい現地人とコミュニケーションを取るのが難しく、ハードルの高さを感じていました。
人と交流せずに観光地を回ると、こんなにも記憶が抜けるのか?と自分でも驚くくらい、モントリオールの景色が思い出せません。
もちろん、僕がもしヨーロッパ風の建造物に興味しんんしんだったら、きっとひとりでもワクワクしただろうし、記憶にも焼き付いたと思います。
実際に、珍しい虫のいる動物園のことはよく覚えています。
でも、それ以外のことはすっかり記憶から抜け落ちてしまっています。
僕は、モントリオールでの一人旅を通じて、「自分が何に興味があって、何を求めているのか?」を知ることができました。
そして、「興味のないことにはまったくモチベーションがわかない」という自分の特性も知ることができました。
僕がモントリオールで得たもの
僕は、モントリオールで「心のタフさ」を身につけた気がします。
カナダに来て以来、初めて「言葉が通じない恐怖」を感じたり、「ホテルで歓迎されていないムード」を味わったりしました。
自分の英語が通じないショックも味わいました。
バンクーバーやトロントで身につけた自信が、モントリオールではガラガラと音を立てて崩れ去るのを感じました。
でも、このときに味わった
「海外で言葉が通じない不便さ」
は、後に日本で英語を教えるときに「生徒さんの目線で考えること」ができるようになるきっかけを与えてもらえました。
非ネイティブ英語
また、
「ネイティブ英語を身につければOK」
という考えもなくなりました。
「世界の英語人口の70%は非ネイティブ」という数字を肌で感じることができました。
自分も非ネイティブの一員として、堂々と大きな声で話す姿勢が身につきました。
自分の英語が通じなくても、うろたえずに何度でもコミュニケーションを取る姿勢も身につきました。
モントリオールで僕が得たものは、行く前の予想とはまったく違ったものでしたが、
「行って良かったか?」
と聞かれたら、間違いなく「YES!」と答えます。
モントリオールでの最終日、僕のカナダでの旅は、終わりの時を迎えていました・・・
・・・つづく。
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