【ネイティブになる感覚を味わえる、年に1度のイベント②】

From  師範代Shinya(新村真也)

(→前回のつづき)

年に1度、自分が「ネイティブ」になった気分を味わえる、「日本語スピーチフェスティバル」のフィードバックの続きです。

今回のスピーチで、とても面白いものがありました。それは、「日本語テキスト」に関するスピーチです。

カナダ出身のアナさんという方のスピーチで、日本語の初級テキストについて語っていました。

僕らが中学校のテキストで英語を習うように、外国人向けの日本語テキストというものが書店で売られています。

初級者向けのテキストの例文は、

「私は、○○です。」

「それは、○○です。」

「それは、○○ではありません。」

といった基本例文が載っているそうです。

僕らが中学校で習う、

This is a pen.

と同じ構文ですね。

その日本語テキストの初級レベルの例文の中に、こんなおかしな例文があるそうです。

「それは、本ではありません。それは、犬です。」

・・・え??何??もう一度!

「それは、本ではありません。それは、犬です。」

・・・え??マジっすか??

こんな例文が、実際にあるそうなのです!

どこで使うねん!と突っ込みたくなりますよね?

中学英語の、This is a pen. も、使いどころがほとんどない気がしますが、この「それは本ではありません。それは犬です。」は、もっと使いどころがない気がします。

さらに、このスピーチが終わった後に、アナさんに話しかけて詳しく聞いてみたところ、日本語テキストには、

「私はネコではありません。」

という例文があるそうです。

これも、いったい、いつどこで、誰が使う日本語なのでしょうか?

この話をアナさんとしている時、周りの外国人の日本語学習者の皆さんが、どっと笑って反応しました。

「そうそう!そうなんですよ!」

とみんな同感という感じでした。

「教科書の例文」はどこも同じ?!

「日本語のテキストは日本で生活する外国人のために作られているから、実戦的だ。」

「でも、日本語教科書英語は、現実的な例文が少なくて、実戦的ではない。」

というようなことを書いたネットの記事を以前、読んだことがあります。

でも、このアナさんの話を聞く限り、日本語テキストでも、「教科書的で非実用的な例文」があることは間違いないようです。

教科書から学ばなかった若者

スピーチが終わった後、いつものように「交流会」がありました。

各国の家庭料理を持ち寄って、みんなでシェアし合う、「ポットラック」と呼ばれるスタイルのパーティーです。

レストランなどでは見かけない、珍しい家庭料理を味わうことができます。

その交流会で話したベトナムから来た人たちの中に、ものすごく日本語が流ちょうな、若い男性がいました。

おそらく20代前半ぐらいに見えます。

パッと見は、あまりマジメそうには見えません。どちらかというと、チャラそうに見えました。

でも、日本語がめちゃくちゃ上手なのです。発音も自然だし、文法もかなりしっかりしています。

僕は興味がわいて、色々と質問してみました。

僕:「どのぐらい日本語を勉強しているんですか?」

彼:「2年ぐらいです。」

僕:「え?たった2年?それだけ?」

彼:「あ、ベトナムにいた頃に半年ぐらい日本語を勉強してから来ました。」

僕:「てことは、トータル2年半てことですか?」

彼:「そうですね。そのぐらいです。」

僕:「スゴいですね!じゃあ、きっと頑張って日本語教室に通ったんですね。」

彼:「いえ、僕は本がキラいなので、本を使った勉強は向いていないんです。だから、教室に来たのは、2年間で4回だけです。」

僕:「えーーー!!じゃあ、どうやって日本語を勉強したんですか?」

彼:「僕はゲームが好きなので、オンラインゲームで日本人と一緒にゲームをしながら話しました。ゲームは、会話しながらじゃないと進められないので。」

僕:「なるほど!ゲームが主な勉強ツールなんですね!」

彼:「そうです。ゲームは楽しく日本語を学べます。あと、マンガとかも役立ちますね。」

 

興味のあるもので言葉を学ぶ

もちろん、彼のしっかりした文法や発音は、単にゲームやマンガだけで磨かれたものではないはずです。

セリフを丸暗記するだけでは、ここまで自由な会話はできるようになりません。

でも、彼は自分の好きなジャンルで日本語を学び続けたおかげで、モチベーションを落とさずに来れたことは間違いりません。

「日本語を学ぶ」のではなく、「日本語で学ぶ」というやり方が、モチベーションを維持するコツなのでしょう。

ちなみに、一緒のテーブルにいた他のベトナム人の仲間たちも同じ年数日本にいるそうですが、彼ほどの流ちょうさではなかったので、単にベトナム語が日本語に近いというわけでもなさそうです。

「第2言語として日本語を習得した人」と会話をすることで、英語学習にも役立つ考え方やコツを知ることができると、今回改めて気付きました。

 

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From  師範代Shinya(新村真也)

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