From 師範代Shinya(新村真也)
僕が英会話を始めてちょうど1年たった頃のこと。
僕は、泣き崩れそうになってしまいました。
もう無理だ!これが自分の限界か?!
僕は英会話を始めて1周年記念に、軽い気持ちでTOEICの公式問題集を買いました。(当時は、ちょうどTOEICが新しく改訂されたばかりでした。
この緑色の表紙は、後に僕の中に大きな心理的ダメージを与える色として残ることになりました。
僕は当時、仕事で英語を使う立場だったわけではありません。でも、自分の1年間やってきた英語の力を、テストで試してみたいと思いました。
そして、TOEICの本番と同じ2時間を計って解いてみたのです。
でも・・・
ほとんど聞けない!
まったく読めない!
分からない!!
自分の目と耳が信じられませんでした・・・
この1年間で外国人の友達をたくさん作ってきました。でも、彼らの話す英語よりも、TOEICのリスニングの声の方が、ずっと速く、長く、難しく感じました。
こんなこと聞いても、あなたは、「そんなのよくあることじゃん!」と思うかもしれません。
でも、僕にとっては一大事です!!
僕はこの1年間・・・
・毎週英会話スクールのレッスンに通ってきました。
・「外人バー」に週3回も通って、ネイティブの友達を増やし続けてきました。休みの日は、カラオケに行ったり、一緒に出かけたりしていました。
・クルマの中では、英語のCDをかけて、「聞き流し」を続けてきました。
・携帯の画面表示まで英語にしていました。
あんまり上達実感はないけど、この1年間、「英語のシャワー」を浴び続けてきた自分は、きっと気づかないうちに英語力がアップしているに違いない!
そんな期待を胸に抱きながら、TOEICの問題集を開いたのです。
その時の僕はまるで、映画「ベスト・キッド」のダニエルさんになった気分でした。
映画では、ダニエルさんは空手の達人、ミヤギさんに「いつの間にか」鍛えられて、強くなっていました。実感がなくても、自分でも気づかないほど強くなっていたのです!
でも・・・現実に「ダニエルさん現象」は起きませんでした。現実は容赦なく僕を切り裂きました。
TOEICの公式問題集が僕に突きつけてきた結果は、点数レンジ200点~300点代でした。
「完全な初心者レベル」です。
僕は当時、仕事で英語を使っていたわけではありません。TOEICの高得点が必要だったわけでもありません。でも、自分のあまりの「できなさ加減」にヘコみました。
いったい、何をしたらこれ以上英語力が伸びるんだ?
これ以上外国人の友達を増やしても、英語のCDを聞く時間を増やしても、解決策にはならないことは直感していました。
打つ手なし・・・
完全な手詰まりを感じた僕は、もう英語学習そのものをやめてしまいたい衝動に駆られました。
別に、テストでいい点が取りたくて英語を始めたわけではありません。ネイティブの友達と楽しく遊んでいるだけで、幸せを感じていたことは事実です。
このまま、のほほんと楽しく英会話を趣味として続けていくのもいいと思っていました。
でも、TOEICテストを受けたあとの僕は、感情的にダメージを受けていたので、そんなことはすっかり忘れて、ただひたすらヘコんでいました。
2種類の英語
英語を使う場面は、大きく次の2つに分かれます。
① TOEICや英検などのテストを受けるとき。
② 外国人を相手に「生の英語」でコミュニケーションをするとき。
これを格闘技にたとえると・・・
①は、「ボクシングの試合」です。
ボクシングでは、「パンチだけで戦う」とか、「頭突き禁止」とか、決められたルールの中で戦います。
試合には制限時間があり、それまでに磨き上げてきた「パンチの技術」を駆使して戦います。相手のパンチをかわしながら、自分のパンチを相手の急所に「正確に当てた数」のポイントを競います。
TOEICや英検などのテストもボクシングの試合と同じです。決められた範囲の文法や単語で作られた問題用紙の上で戦います。
テストには制限時間があり、その中で「文法力や単語力のスキル」を駆使しながら戦います。ミスをしないようにしながら、「正解した問題」の数でポイントを競います。
②は、ストリートファイト(ケンカ)です。
ケンカでは、パンチだけが来るとは限りません。キックも投げも、関節技も「何でもアリ」です。ピンチになったら、ナイフや金属バットなどの「道具」を使うこともできます。1対1で戦わなければいけないというルールもないので、仲間の助けを借りることもできます。どんな手を使ってでも、最後に立っていた方が勝ちです。
ネイティブとの生の会話も同じです。ネイティブとのカジュアルな英会話では、話題は「何でもアリ」です。どんなトピックでどんな単語が飛び出すか、予測できません。ピンチになったら、スマホの辞書アプリや電子辞書などの「道具」を使うのもアリです。友達の助けを借りて、1対多数で会話することもできます。
単語が出てこなければ、ジェスチャーや絵を描いたりしてフォローすることができます。どんな手を使っても、言いたいことが通じさえすれば勝ちです。
格闘技とケンカは別物
格闘技の試合とケンカは別物です。ケンカの場数をたくさん踏んでいるからといって、ボクシングのリングに上がっても同じように勝てるとは限りません。
①と②には、それぞれまったく別の要素が求められます。
英語も同じです。
「ネイティブの友達が多くて、誰とでもノリよく話せる人」が、TOEICを受けて必ずしも高得点が出せるとは限りません。
逆に、「TOEICの点数が高い人」が、必ずしもネイティブと流ちょうに話せるとも限りません。
当時の僕のケース
この頃の僕の英語は、完全に②の「ケンカ殺法」パターンでした。
ネイティブとのフリートークは、かなり場数を踏んでいました。丸暗記したフレーズを使って、必要なやりとりはそれなりにできていました。
得意のマジックショーを英語で見せている間は、完全に自分の土俵で戦っていました。
ただ、マジックショーが終わってフリートークになると、さっぱりでした。さっきまで流ちょうに話していたのに、急にぎこちなくなるギャップに、自分でもおかしくなって笑ってしまうくらいでした。
でも、マジックショーで培った「度胸」のおかげで、フリートークで言いたい言葉が出てこなくても、ジェスチャーでなんとか切り抜けていました。
TOEICは、弱点あぶり出し装置
TOEICでは、そんな自分の「弱点」が表面化した感じでした。しかもそれが、ハッキリした数値で示されます。それは、当時の僕にとってはツラい経験でした。
「ちょっとケンカの場数を踏んで強くなって有頂天になっている、お山の大将」が、いきなりボクシングの試合のリングに上がって、何もできずにボコボコにされたような気分でした。完全ノックアウトです・・・
でも、今振り返ってみると、この「挫折感」が、あとから僕が「ロッキー」のようにトレーニングを積んで強くなるのに必要な経験だった、と思えます。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(英語の達人養成ジム 師範代)
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