From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
前回は、「話せる実感」をいつ得られるか?には、その人の性格が大きく影響することをお伝えしました。
今の英語レベルに関係なく、自分が「話せているぞ!」と思えば、その時点で「話せる実感」が持てていることになります。
そして、自分が話せているぞ!と思うかどうか?は、自分の「出来ている部分」にフォーカスするか?と同じと言って良いでしょう。
僕の初心者の頃の体験談をお伝えします。
1フレーズでも通じる喜び
僕が初心者の頃は、外国人の集まるバーに行ってそこにいる人たちにちょこっとだけ話しかけるという作業を繰り返していました。
最初の頃は、1フレーズでも通じたら、すごく嬉しく感じていました。
僕:「Where are you from?」
相手:「I’m from Canada.」
みたいな、すごく短いやりとりでも、
「やった!通じたぞ!自分の発音が合っている証拠だな!」
と嬉しくなりました。この頃は、たった1フレーズでも「話せる実感」を得て、満足して帰っていました。
飽きてくる
でも、同じ事を何度も繰り返しているうちに、だんだん「定型文のやりとり」に飽きてきました。
「もっと深い話ができるようになりたい!」
「目の前で起こっている出来事をアドリブで話せるようになりたい!」
という欲が出てくるのです。そうなると、今までのように「1フレーズが通じた!」というような状況では、「話せる実感」は得られなくなってきます。
でも、いったい何をどうすればいいか分からない・・・
ある意味、この時期が一番モチベーションが落ちていました。
おそらく、ほんとんどの人にとって、「話せる実感」は、僕がこの頃望んでいた、
「英語でもっと深い話ができる状態」
「目の前で起こっている出来事をアドリブで話せる状態」
だと思います。
理想の状態までにかかった期間
僕のケースでは、理想の状態までにかかった期間は、「瞬間英作文トレーニング」を始めてから1年半でした。
「中学英語で24時間話せる」というシリーズ本を上下巻2冊をやっているうちに、ポツポツしゃべれるようになっていきましたが、「右肩上がりでグングン伸びている実感」があるわけではありませんでした。
「ひとりでトレーニングしている時には正しい構文が口からすぐ出てくるのに、いざ試合(英会話)で使おうとすると、とっさに出てこない」
という状態がしばらく続きました。
試合とトレーニングの違い
これは、今思い返してみれば当たり前で、「ふだんのトレーニングで練習している技」を実際の試合の速い流れの中で自由に出せるようになるには、それなりに時間と経験値が必要です。
ひとり練習と、相手がいる試合とは、緊張感や「やりにくさ」がまったく違います。
サッカーでも、
①ゴール前でのひとり練習で、シュートを確実に決めること
と、
②試合中にゴールキーパーと相手チームの選手たちがジャマしてくる中で、シュートを確実に決めること
では、難易度は雲泥の差です。
でも、まずは①の状態で100発100中にならない限り、②でシュートを決めることは難しいです。
瞬間英作文トレーニングは、①の練習です。
言いたいことを正しい構文で英語で話すための筋肉を鍛えるのが、瞬間英作文トレーニングです。
英会話で自在に出せるようになるには、①の瞬間英作文トレーニングを終えた後に、②の試合の場数を踏む意外にありません。
ここがポイントです。「①を終えた後に」という部分です。
ほとんどの人は、①の瞬間英作文トレーニングをしないまま、ひたすら②の試合だけを繰り返してしまいます。
でも、試合だけでは「話せる実感」を得るのは難しいです。
また、①だけを家で繰り返していても、②の試合慣れしていないと、「話せる実感」は得られません。
その日に練習した技が、その日の試合で必要になるとは限らない
僕の場合は、①と②を同時進行でやっていましたが、それでも家でやったトレーニング内容が英会話の中ですぐに使えるとは限りませんでした。
たとえば、家で「be going to ~」を使った「未来の予定」を表す構文を練習してから、「よし!今日はこの構文を使うぞ!」と意気込んでバーに繰り出したとします。
そこで出会った外国人に、
What are you going to do this weekend?
(週末の予定は何ですか?)
と聞くと、
Not much. But I went to Osaka last weekend. Have you been to Osaka?
(特にないですよ。でも、先週末は大阪に行きましたよ。あなたは大阪に行ったことがありますか?)
とか返ってくるわけです。
せっかく「be going to ~」を使った構文を練習しようとして振ったのに、相手は過去形や現在完了形で返してくる・・・なんてことがよくありました。
僕の心の声は、
「過去形はまだんなんだよ!来週のページで習う予定だから、まだ待ってくれよ!」
「現在完了形は、今やっている上巻には出てこないんだよ!下巻に移るまで待ってくれよ!」
という感じでした。
そして、その場はとりあえずめちゃくちゃな構文で単語を並べながら、笑顔でごかます・・・という日々が続きました。
「自分が質問する時には完璧な構文でスピードも速いのに、質問し返されると、とたんにスピードが遅くなって、構文もめちゃくちゃになる」
というアンバランスな状態が続きました。
この時期は正直、試合(英会話)の中での「話せる実感」はあまりありませんでした。
でも、日々の瞬間英作文トレーニングで「会話で使える構文の種類」がじわじわと増えて積み上がっているのを感じていました。
なので、モチベーションが落ちることはありませんでしたが、僕はこの時期、
「練習の成果が試合に反映されるまでには、時間のズレがある」
ということが分かりました。
・・・つづく。
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