From 師範代Shinya(新村真也)
前回までの記事では、
「英語をしゃべる時には必ず文法を意識している」
というお話をしました。
たとえTOEIC900点を超えてスーパーサイヤ人になろうと、英検1級を取ろうと、周りの人たちから「スゴい!!英語ペラペラですね!」と言われるようになろうと、「日本語とまったく同じ感覚で英語を使いこなせるようになる」なんてことは、ありません。
英語を話すとき、僕の脳内では必ず文法を意識しています。
もし、意識しなくなったら、順番がめちゃくちゃになり、言いたいことが伝わらなくなってしまうでしょう。
ただ、その文法処理スピードがかなり速くなっていて、脳にかかる負荷も低くなってきているので、周りの人たちから見たら、「スゲ-!!ペラペラだ!」と思われるだけに過ぎません。
この話をすると、
「じゃあ、英語を聞くときはどうなの?やっぱり、文法は意識してるの?」
と質問されることがあります。
今回は、その質問にお答えします。
英語を聞くときには無意識レベル
先に答えをお伝えします。僕が英語を「聞く」ときには、文法は意識していません。
英語を英語の語順のまま理解しています。
リスニングに関しては、文法を意識したり、頭の中で和訳をしていては、間に合いません。
どんなに脳内処理速度が上がっても、英語を日本語に置き換えながら聞くスピードには限界があります。
僕が長年続けてきた「音読トレーニング」は、「英語を英語の語順のまま理解する」ためのトレーニング方法です。
「英文を声に出してしゃべる」
というシンプルなトレーニング方法ですが、音読トレーニングを上回る効果の出る英語学習法を僕は他に知りません。
「1ページにつき音読を最低30回以上繰り返す」
という、これまたシンプルなルールに従って、ひたすらCDのマネをしながら声に出し続けてきただけです。
それだけで、キレイな発音が身につき、英単語はどんどん増えていき、文法力がアップしていきました。
そして何よりも大きかったのは、
「英語を英語の語順のまま理解できるリスニング力」
が身についたことでした。
脳内はどうなっているのか?
僕が英語を聞いている時、脳内がどうなっているのか?
どうやって英語を処理しているのか?
をできるだけ文字で分かりやすくお伝えしますね。
まず、音読トレーニングを始める前の僕の脳内は、こんな感じでした。
① squid(聞く)
↓↓↓
② イカ(日本語訳)
↓↓↓
③ イカの映像(イメージ)
という3ステップです。
squidと言う英単語を聞いたときに、まず日本語訳が頭に浮かぶのです。
浮かばない時には、「え~と・・・何だったっけかなぁ~」と悩みます。
でも、音読トレーニングを続けるうちに、こんな感じになってきました。
① squid(聞く)
↓↓↓
② イカの映像(イメージ)
という2ステップです。
squidと言う英単語を聞いた瞬間に、イカの画像が頭の中に浮かぶようになったのです!
音読トレーニングで脳内に英語の音とイメージを刷り込んだことで、日本語を介さずに英語を理解できるようになりました。
文法は脳内でどう処理されている?
では、文法の方はどうでしょうか?
音読トレーニングをする前には、こんな感じでした。
① How did you like the show last night? (聞く)
↓↓↓
② 昨夜のショーはどうでしたか?(日本語訳)
↓↓↓
③ 昨夜のショーはどうだったか聞いているな。(理解)
という3ステップです。
でも、音読トレーニングを続けるうちに、こんな感じになってきました。
① How did you like the show last night? (聞く)
↓↓↓
② 昨夜のショーはどうだったか聞いているな。(理解)
という2ステップです。
日本語訳を介さずに英文全体を理解できるようになりました。
この脳内処理プロセスをさらに分解して見ていくと、こんな感じです。
直訳
How (どうだった?)did you like (君の好き具合は)the show (あのショーの)last night?(昨夜)
こんな風に、相手のセリフが英単語やブロック単位で英語の語順のまま理解しています。
このスタイルで意味を取る方法を、「直訳」と言います。
この直訳トレーニングを積んでいくと、そのうち日本語自体をまったく意識せずに英文を理解できるようになってきます。
そうなるためには、その英文を「正しい発音で自分がしゃべれるようになる」以外に方法はありません。
文法は意識なし
このように、リスニングに関しては、音読トレーニングを積むうちに文法はほとんど意識しなくても聞けるようになってきます。
特に、自分の得意分野に関しては、かなりの理解度で英語が聞けるようになります。
ただし、「しゃべる時」は別です。文法をまったく意識せずに英語を話すことはできません。
3:7の法則
これは、スピーキングとリスニングの負荷の違いから来るものです。
言語学習の世界には、「3:7の法則」と言われるものがあります。
「話せる力」と「聞く力」を比べると、だいたい3:7になる、という法則です。
「話せる力が3」だとしたら、「聞ける力は7」だということです。
この差を埋めるのが「瞬間英作文トレーニング」です。
でも、ただでさえ倍以上ある差を埋めるのは、それなりに時間がかかります。
それに、完全にこの2つの力がイコールになる日は来ないような気がしています。
それには理由があります。
次回は、その理由をお伝えします。
・・・つづく。
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