
from 師範代Shinya
アメリカの心理学者ジョン・ゴットマン博士と、ジュリー・ゴットマン博士の本です。
ゴットマン博士といえば、夫婦関係やカップルの研究で有名な方です。
この本では、ケンカをしない夫婦を目指すのではなく、ケンカをどう扱うか、対立をどうつながりに変えるか、という視点が紹介されています。
僕も妻のサヤと一緒に夫婦カウンセリングをしているので、このテーマはかなり興味深く読みました。(YouTubeでも発信しているので、ブログの一番下に載せておきますね)
夫婦関係というと、つい「ケンカしないことが良いこと」と思いがちです。
でも、現実にはまったくケンカしない夫婦ばかりではありません。
大事なのは、ケンカそのものをゼロにすることではなく、ケンカの中で相手を傷つけすぎないこと。
そして、ぶつかったあとに修復できること。
この視点は、夫婦関係だけでなく、英語学習にもかなり通じると思いました。
感情の洪水に飲まれると、知識もテクニックも飛ぶ
この本の中で印象に残った言葉の1つが、「感情の洪水」です。
これは、感情が一気に高ぶりすぎて、理性的に考えたり、相手の言葉を受け取ったり、学んだスキルを使ったりすることが難しくなる状態です。
僕も、これはかなり身に覚えがあります。
妻とケンカになった時に、頭では分かっているんです。
ここで反論しすぎない方がいい。
まずは相手の気持ちを受け止めた方がいい。
自分の正しさを証明するより、今は安心感を作った方がいい。
そういう知識はあります。
夫婦カウンセリングの仕事もしているので、理屈としては分かっているつもりです。
でも、いざ自分が感情の洪水に飲まれると、そういう知識やテクニックが一気にぶっ飛びます。
「責められている」
「分かってもらえていない」
「自分を守らなきゃ」
そんな感覚が先に立ってしまい、冷静に対応することが難しくなります。
これは、知識がないからではありません。
その瞬間に、知識へアクセスできなくなっているのです。
英会話でも同じことが起きている
これを読んだ時に、僕は英会話とまったく同じだと思いました。
英語の文法を勉強している。
英単語も覚えている。
例文も何度も音読している。
それなのに、いざ外国人を目の前にすると、頭が真っ白になる。
「何て言えばいいんだっけ?」
「この文法で合っているかな?」
「変な英語だと思われたらどうしよう」
「早く返さなきゃ」
そう思った瞬間に、知っているはずの文法や英単語が、頭の中から消えたように感じることがあります。
これも、英語力がゼロになったわけではありません。
感情の洪水によって、一時的に取り出せなくなっているだけです。
僕自身、やり直し英語を始めた頃は、まさにこれを何度も経験しました。
テキストを読めば分かる。
単語も見れば分かる。
でも、会話になると出てこない。
外国人バーに行って話しかけようとしても、相手を前にした瞬間に緊張して、文法も単語も飛ぶ。
「あれだけ勉強したのに、なんで出てこないんだ」
と落ち込んだこともあります。
でも今振り返ると、あれは才能の問題ではありませんでした。
本番の負荷が高すぎたのです。
英会話中の洪水から抜け出す第一歩
では、英会話中に感情の洪水に飲まれたら、どうすればいいのでしょうか。
一番大事なのは、英語力でねじ伏せようとしないことです。
焦っている時に、さらに完璧な英文を作ろうとすると、余計に苦しくなります。
まずは、体の緊張を下げること。
そのために、会話を少し止める英語を先に用意しておくといいです。
たとえば、
Sorry, I’m a little nervous.
(すみません、少し緊張しています)
Let me think for a second.
(少し考えさせてください)
Could you say that again slowly?
(もう一度ゆっくり言ってもらえますか?)
I know the word, but it’s not coming out right now.
(その単語は知っているのですが、今すぐ出てきません)
I’m still learning, so I need a moment.
(まだ勉強中なので、少し時間が必要です)
こういう一言です。
これは、立派な英語を話すためのフレーズではありません。
自分の脳に少し余白を作るためのフレーズです。
英会話で焦る人ほど、沈黙を怖がります。
でも、ほんの数秒考える時間をもらうだけで、言葉が戻ってくることがあります。
短い英語に逃げていい
感情の洪水が起きている時に、長い英文を作る必要はありません。
むしろ、短い英語に逃げていいです。
I see.
(なるほど)
That’s interesting.
(それは面白いですね)
I’m not sure.
(よく分かりません/ちょっと分かりません)
Maybe.
(たぶん/そうかもしれません)
I think so.
(そう思います)
Not really.
(そうでもないです/あまりそうではないです)
これで十分な場面はたくさんあります。
英会話というと、どうしても長い文章でしっかり話さなければいけないと思いがちです。
でも、会話はスピーチではありません。
短く反応する。
聞き返す。
少し考える。
この組み合わせでも、会話は続きます。
特に緊張している時は、まず会話の糸を切らないことが大事です。
完璧な英語より、戻ってこられる英語。
これを持っておくと、英会話の安心感がかなり変わります。
会話後に「反省」ではなく「回収」する
英会話で頭が真っ白になると、多くの人は反省します。
「また話せなかった」
「全然ダメだった」
「やっぱり自分には英会話は無理かもしれない」
でも、そこで終わるともったいないです。
大事なのは、反省ではなく回収です。
会話中に言えなかったことを1つだけ書き出す。
それを英語にする。
次に同じ場面が来たら言えるように、声に出して練習する。
これだけでいいです。
たとえば、「最近仕事が忙しくて疲れています」と言えなかったなら、
I’ve been busy with work lately, so I’m a little tired.
という形でストックしておく。
次に同じ話題になった時には、少し出やすくなります。
英会話は、失敗した場面を材料にできる人が伸びます。
頭が真っ白になった経験も、ちゃんと回収すれば、次の一歩になります。
英会話で真っ白になるのは、あなたが弱いからではない
夫婦ゲンカでも、英会話でも、人は強い緊張や不安に飲まれると、知っていることが使えなくなります。
だから、英会話で頭が真っ白になるのは、あなたが弱いからではありません。
意志が足りないからでもありません。
ただ、その場の負荷が高くなりすぎているだけです。
だからこそ、必要なのは根性ではなく設計です。
最初から完璧に話そうとしない。
止める一言を用意する。
短い英語で返す。
言えなかったことを回収する。
少しずつ負荷を上げていく。
これで大丈夫です。
英語学習は、知識を増やすだけではなく、緊張しても戻れる回路を作ることが大事です。
そしてその回路は、練習で少しずつ育てることができます。
P.S.
英会話で頭が真っ白になる原因は、単語不足だけではありません。
文法の理解、音読によるスキル化、瞬間英作文による反応速度、そして実践前の準備がつながって、少しずつ「焦っても戻れる英語」が育っていきます。
僕の英語セミナーでは、目的別に学べる動画セミナーをまとめています。
文法から整えたい方、音読を始めたい方、瞬間英作文を練習したい方、英単語を強化したい方は、こちらからご覧ください。
英語は、いきなり本番で強くなる必要はありません。
本番で洪水に飲まれにくくなるように、ふだんの練習を設計していきましょう。
p.p.s.男女のパートナーシップについて発信しているYouTubeチャンネルはこちらをクリック
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