From 師範代Shinya(新村真也)
(※僕がカナダで一人旅していた頃の体験談です)
(→前回のつづき)
ジェフの実家で夕食をご馳走になった僕は、だんだんこの家の雰囲気に馴染んできました。
みんな、ふうつに「家族の夜」を過ごしています。
僕を特別扱いするわけでもなく、気を遣われている感覚もありません。
みんないつも通り自然にしているように見えます。
日本だと、お客さんを招いたら食後はお茶を出したり、お菓子を持ってきたり、できるだけ話しかけるようにしたり、「おもてなし」をすることが多いです。
でも、ここでは特にそういった扱いは受けません。
ジェフも、無理に僕を家族と交流させようとする気配はありません。
「自分の好きなようにしていいよ。」
という感じが伝わってきます。
英語のフレーズで、客人を家に招いた時に言うセリフがあります。
Make yourself at home.
(自分の家にいるようにくつろいでね)
という意味です。
相手にリラックスしてもらう。そのためには余計な気遣いはしない、というのが文化なのかもしれません。
間口の広さ
それにしても、欧米の人たちは知らない人に対しての警戒心というか、よそよそしさがあまりないような気がします。
僕が家にいることが普通であるかのように感じます。
まるで、僕が前からここにいたような・・・そんな感覚です。これはかなり居心地が良く感じます。
異国の夜
夕食後は、みんなリビングを離れて自由行動をしているようでした。
「さて、自分はどうしよう?」と思っていたら、ジェフが声をかけてくれました。
ジェフ:「良かったら、そこのソファーに座ってテレビ見てていいよ。」
広いリビングには、大きなソファーがありました。色は濃いブラウンで、触った感じは本革のようです。
そして、ソファーの前には暖炉があって、その暖炉の上に棚スペースがあり、その棚には巨大なテレビが置いてありました。
この光景は!!
僕は、ふとアメリカのコメディードラマ「フレンズ」を思い出しました。
フレンズの中では、よくリビングルームが出てきました。たしか、そこのリビングがこんな感じだったのです。
大きなソファーにメインキャラクターたちが座って、おもしろトークを繰り広げるシーンを思い出しました。
あの感じが、今自分の目の前に広がっています!
そして、ソファーに座ってジェフと話していると、まるで自分がアメリカのドラマの中に入り込んだような気分になりました。
それをジェフに伝えると、ジェフは嬉しそうに言いました。
ジェフ:「そうか!それは良かった!きっと、シンヤにとってはこのリビングも異国情緒あふれる光景なんだろうな。
たしかに、外国に行くと、そういう気分になるよね。何気ない光景が目新しいというか、非日常に見える。あぁ、俺もいつか日本に行ってみたいな。」
僕:「ぜひ、来てよ!その時には、俺が日本を案内するよ!」
ジェフ:「うん!楽しみにしているよ!」
その夜は、ソファーでジェフのお父さん&お母さんとも少し話して、とても楽しくて刺激的な時間を過ごしました。
充実感
ジェフのファミリーと話していて、気づいたことがあります。
それは、
「何気ない会話も、英語だと楽しい」
ということです。
会話のトピックに関わらず、充実感を感じるのです。
これは、あの頃には理由が分かりませんでしたが、今ならあの充実感の正体が分かります。
フロー体験
僕のように大人になってから英語を身につけた場合、英語で話している時には、日本語に比べてかなりの集中力が必要になります。
何気ない会話をするにも、全力投球です。
英語で話している時には、「今」に集中しています。自分の意識は常に、今ここにあります。
一方、日本語で話している時にはラクです。
日本語で話している時には脳に大きな負担がかからない分、他のことを考えながらとか、スマホをいじりながらでも会話を続けることができます。
片手間でもできてしまう分、「今」に全力集中することは少なくなります。
自分の身体はここにあっても、意識はここにはない・・・なんて状況になるのです。
そして人間の脳は、「今この瞬間」に集中しているときに、充実感や喜びを感じるようにできているようです。
「今この瞬間」に集中している状態を、心理学用語で「フロー体験」と呼びます。
英会話を勉強している人がネイティブと話している時には、脳が強制的にフル稼働するので、この「フロー体験」を感じやすいようです。
内容は関係ない
今やっていることの大小や損得などの内容に関係なく、
「今、この瞬間に集中できているか?」
が、快感や充実感につながるのです。
だとすると、英会話は初心者ほど「フロー体験」をしやすいのかもしれませんね!
・・・つづく。
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