一緒にチームを組んでやってきた実力者のY君とHさんの2人が同時に卒業してしまうのは、僕にとって悲しいことでしたが、同時に誇らしいことでもありました。
Y君とHさんは、この頃から人と違う、大物になるような予感がしていました。
Y君は、東京のダンスの専門学校に行くことを決意しました。
それはつまり、他の選択肢をなくしてダンス1本に絞ることにもなります。
普通の大学に行っても、趣味でダンスは続けられるでしょう。
本気でやれば、今まで以上の練習時間は取れるかもしれません。
無難な道を選ぶなら、とりあえず大学に行っておいて、余暇の時間でダンスも練習して、プロダンサーになれそうならそっちの道を目指す、ダメなら普通に就職する・・・という流れが安全パイです。
でも、Y君は無難な道を選びませんでした。
Y君も、Hさんと同じように「自分の人生の時間をムダにしたくない」ということを言っていました。
確かに、学業の片手間にダンスの練習することはできるでしょう。
それでも、日中の脳が最も活動的になる時間は、座って授業を聞いていなければなりません。
最もパフォーマンスを発揮できる時間帯に練習ができないのは、ダンサーにとっては大きな損失になります。
周りの人達の影響
また、大学のダンスサークルや、大学付近にあるダンススクールに通っても、質の高い練習ができるとは限りません。
大学のサークルにいる人達は、おそらく熱量に差があるでしょう。
本気でダンスをやている人もいれば、とりあえず所属しているだけ、という人もいるはずです。
「本気度」に大きな差がある集団に属すると、自分に与える影響もゼロではない気がします。
モチベーションが低いメンバーと一緒に練習するのは、きっとY君にとって苦痛なはずです。
その点、ダンスの専門学校なら、プロダンサーを目指す人達だけが通ってくるので、大学のサークルとは本気度が違うはずです。
しかも、新入生であっても、ダンスの腕にそれなりの自信がある人だけが来ることでしょう。
実際、入学試験も短時間で振り付けを覚えなければならず、けっこう厳しかったようです。
授業でダンスをするとなると、先生もかなり厳しいでしょう。
Y君にとってはすごく良い環境で練習ができます。
ただでさえ、僕らのグループ内で飛び抜けた動きのキレを見せるY君が、ダンスのみに数年間コミットしたら・・・どうなるか想像するだけで、鳥肌が立ちます!
普通じゃない女子中学生
15才の女子中学生、Hさんもそうです。
日本の普通の女子中学生だったら、おそらくこの年代で興味があるのは、新型のケータイ電話とか、化粧やファッションとかだと思います。
そして中学を卒業したら、みんなと同じように進学して、高校でもクラスメイトたちと同じように行動しながら、3年間を過ごすことでしょう。
高校卒業後は大学に進学して、バイトしながらサークル活動をして、「人生で一番楽しい時期」と言われている、キャンパスライフを送ることになると思います。
そして大学生活が後半になって就活が始まったタイミングで、
「自分が本当にやりたいことは何か?」
を考え始める・・・というのがよくあるパターンだと思います。
でも、Hさんは、15才の時点で「自分が今、本当にやりたいことは何か?」という部分に向き合って、皆と違う方向に行くという、勇気ある決断をしたのです。
同調圧力から抜け出す
10代半ばになると、女性は脳から「周りと同調せよ!」という本能が発動するそうです。
これは、太古の時代から、女性が「コミュニティーの中で協力しながら生活してきた歴史」の中で、何万年もかけて発達した本能だそうです。
この本能の影響で、10代半ばの女性は、自分が周りと違うことを言ったり、周りと違う行動を取ることを極度に恐れるようになるようです。
特に日本は文化的に、外国に比べて同調圧力も強い傾向があります。
Hさんも日本の高校に進学したら、この圧力と戦い続けなければならなかったでしょう。
でも、Hさんは住む国をアメリカに変えることで、自分の個性を抑えなくて良い環境に身を置きました。
もちろん、アメリカの女子高生の間でも同調圧力の本能はあるでしょう。
でも、日本に比べると、西洋文化は「人と違うことが、ステータスになる」という価値感があります。
また、そもそもHさんはアメリカの普通の高校に進学するのではなく、ダンススクールに通うと言っていました。
おそらく、年代も性別もバラバラな人達に混じってやっていくことになるでしょう。
当然、同調圧力は感じづらいはずです。
Hさんにとっては、安心してダンスに打ち込める環境になりそうです。
僕はHさんとY君の決断を見て、自分の人生を振り返るきっかけになりました。
この数年後には僕自身も仕事をやめて、単身カナダにビジネス留学するという決断ができたのも、Y君とHさんの背中を見ていた影響が大きいです。
日本文化は年功序列式なので、
「先輩や上司からは人生訓を学び、年下の人達には自分が教えて導く」
という図式があるように思います。
でも僕の場合、多くの人生訓を学んだのは、10才以上年下の人たちからでした。
・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む)
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From 師範代Shinya(新村真也)
(やり直し英語達成道場 師範代)
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