仲の良いダンス仲間が卒業してしまったことで、僕は新たな刺激を求めて、英会話スクールに通い始めました。
それが、28才の時でした。
この時期はまだ、本格的に英語学習に力を入れる前でした。
音読トレーニングのやり方も知らず、イメージ英文法も知りませんでした。
ただ、英会話スクールに通ってレッスンを受けていただけです。
大人数にグループレッスンで、生徒は旅行英会話のフレーズなどを丸暗記して、ロールプレイ練習をする方式でした。
これは、初心者にはとても有効なレッスン方式です。
文法や英単語の意味をあまり深く考えなくても、「英語を話せた感」が味わえます。
また、たとえ付け焼き刃でも「現場で通じる英語フレーズ」が身に付きます。
「とりあえず、来月の海外旅行があるから、レストランやホテルでのやりとりなど、必要最低限の場面を英語で切り抜けたい」
という場合には、フレーズ丸暗記が有効です。
僕は当時、海外旅行の経験は1度もありませんでしたが、レッスンを楽しく受けていました。
すべてが新鮮で、ウキウキしていました。
ダンスのレッスンはマンネリ化
一方で、ストリートダンスのレッスン方は、少しマンネリ化を感じていました。
何年も続けてくる中で、「自分が知らないダンスの種類」や、「まったく見たこともない動き」が無くなってきたからです。
ストリートダンスを始めたばかりの頃は、すべてが新鮮に映っていました。
「うわ~あの動きスゲー!!いったいどんなダンスのなんてステップなんだろう?カッコいいーーーー!!」
と興奮していました。
でも、今はテレビでダンス大会などの映像を見ても、「あ、あのステップか。」と、冷静に分析する自分になってしまいました。
もちろん、知っているからといって、自分ができるわけではありません。
自分が練習して、あまり思ったようにモノにならずにあきらめたステップや動きも数多くありました。
また、毎年楽しみにしていたスクールのダンス発表会のステージも、場数を重ねるごとにだんだん新鮮味が薄れてきました。
そういうのが蓄積して、マンネリ化してきたのです。
ダンス発表会での出来事
ところが、あるきっかけがあって、僕はダンスと英会話を融合した、新しい楽しみ方を見付けました。
そのきっかけは、ダンス発表会でした。
発表会では、市民ホールのステージを午前中から夕方まで借り切って行うのですが、その時に「MC」の方が次のチーム紹介をしていました。
ただ、MCと言っても、プロではありませんでした。
地方の個人経営のダンススクールなので、ふだん経理を担当している50代の女性が、MCをやっていました。
その女性は、ステージ上に出てくるわけではなく、舞台の袖でマイクを使ってアナウンスしていました。
声がハキハキしていて僕はMC向きだと思いましたが、スクールのメイン生徒の中高生たちからは不評でした。
その理由は、「英語」でした。
英語でリズムと勢いが出る
ダンスのMCを完全に日本語だけでやると、堅苦しさが出てしまいます。
ピアノや日本舞踊の発表会のような雰囲気になってしまうのです。
そこで、ダンスの発表会のMCでは、日本語の中に英語のフレーズを入れ込む文化がありました。
テレビのダンス番組のMCや、クラブのダンスイベントのMCの人達も、日本語の中に英語を混ぜ込んで話すのが普通です。
「さあ、みんな!用意はいいかい?Are you ready?」
「では、次のチームに行きましょう!Here we go!」
みたいに、最後のセリフを英語にすることで、リズムと勢いが出ます。
それに、そもそもチーム名や曲名が英語になっていることがほとんどです。
ダンスイベントのMCにとっては、英語のセリフを混ぜ込むことは必須なのです。
この「英語」が、経理担当の女性にとっては苦手なようでした。
カタカナ発音ぽくなっているのはもちろん、セリフ自体も文法的に間違っていて、
「Let’s dancing!」
というフレーズを多用していました。
僕は当時、英文法をまったく勉強していなかったので、このフレーズの文法ミスにまったく気付きませんでした。
でも、中高生たちはみんな現在進行中で英語を勉強しています。
だから、ミスに気付いてしまい、それが気になるようでした。
本番のステージでも、自分たちの紹介をされた後に、
「Let’s の後は動詞の原型だから!文法違ってるじゃん!」
などと小声で突っ込んでいました。
そして、「文法ミスが気になってダンスに集中できない」と不満を漏らしていました。
僕は隣でそれを聞いて、(そうか、Let’s の後は動詞の原形なのか。なるほど!良いことを聞いた!)と、1人で学びを得ていました。
そして、心の中で思いました。
(そりゃ、経理担当の50代女性に、プロMCみたいな仕事を期待するのはムリがあるよ。やっぱり雰囲気出すなら、プロを呼ばないと)
と。
そして同時に、思いました。
(でも、きっとそこまでかける予算はないんだろうな。それに、そもそもどこにプロのMCがいるのかも分からないし。
ん?待てよ?もし自分だったら、少なくとも今よりは雰囲気を出せるかも知れない。英語フレーズの文法ミスも、ネイティブの先生にチェックしてもらえば、中高生に突っ込まれないだろうし・・・ちょっとやってみたいかも?!)
と。
僕は、英会話とダンスを融合させて、「自分が発表会のMCをやることで、新しいやりがいを見付けられるかも?!」と思い始めました。
・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む)
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From 師範代Shinya(新村真也)
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