【中南米のダンス・サルサの世界⑦:ダンス編142】

 
From  師範代Shinya(新村真也)
 
 
※僕が20代の頃、初めてサルサダンスを経験した時の体験談の続きです。ダンス編は毎週日曜日に更新中。

 

「私と踊ってくれますか?」

先生の右腕っぽいベテラン女性から声をかけられた僕は、断るわけにもいかず、ダンスフロアに出て行くことになりました。

急に緊張してドキドキしてきて、今流れている曲が終わるまでの時間が、とてもなく長く感じられます。

ついに今の曲が終わった時に、僕は回りの男性たちの動きを見ながら、おそるおそるマネして片手をベテラン女性の前に差し出しました。

すると、ベテラン女性は慣れた手つきで僕の手の上に自分の手を乗せて、ニコッと笑いました。

手をつないだままダンスフロアに行きました。

すでにかかっている音楽に合わせて、さっき習ったばかりのステップをやってみることにしました。

ところが、どんなに耳をすませて音楽を聞いても、リズムがまったく取れません・・・

ヒップホップ音楽では、一番最初にレッスンを受けた時から、どこにリズムがあるのか分かりやすかったのですが、サルサはまったくダメです。
マラカスのような音も、僕の耳には不規則に聞こえます。

それ以外の楽器も、一定のリズムを刻んでいるようなものは何も聞こえません。

(みんな、いったいどうやってリズムを取っているんだろう?)

僕は回りの人たちの動きを観察しました。

上級者は基本から離れている

でも、フロアに出ている人たちは慣れたベテランが多いようで、みんな僕が習った基本のステップを踏んでいません。

不規則で複雑に動いているように見えます。

これは、武道の世界にもあるのですが、習得には「守・破・離」という流れがあります。

①最初は基本の動きを「守る」ステージ。

②次は基本を「破って」自分なりのアレンジを加えるステージ。

③最後は完全に「離れて」、自分に合うやり方をゼロから構築するステージ。

この順番で上達していくと言われています。

僕は今、①の「守」のステージですが、周りのベテラン勢はおそらく②か③のステージです。

(こりゃダメだ・・・他の人を見ても参考にならない・・・)

僕はあきらめモードに入りました。

救世主の女神

すると、僕の目の前にいるベテラン女性が言いました。

「私が口でリズムを言うから、そこに合わせてさっき習ったステップを踏んでみてください。」

僕:「は、はい!お願いします!」

僕は、ベテラン女性の口から出るカウントに合わせてステップを踏み出しました。

だんだんさっきの感覚を取り戻してきました。

やはり、口でリズムを取ってもらうと、やりやすいです。

それにしても、今こうしてベテラン女性の口から出てくるリズムと同時に実際の音楽を聞いても、そこにリズムがあるのかどうかが、まったく分かりません・・・

僕に耳は、サルサ音楽のリズムは不規則で、全体が滑らかにつながっているように聞こえます。

一定のリズムがあるようには、どうしても感じられないのです。

(これは、慣れればだんだんリズムが聞こえるようになってくるんだろうか?)

そう思いながら、僕はベテラン女性の口から出るカウントにひたすら合わせてステップを踏みました。

周りの上級者たちのペアは、女性たちがクルッとターンしたり、くっついたり離れたりといった、ダイナミックな動きを繰り返しています。

おそらく、男性側が合図を送って、女性側がそれに合わせてターンしたりしていると思われます。

僕は、さっきの初心者向けレッスンの一番後半で、チョコッとだけターンの合図を出し方を習ったのですが、もう完全に忘れてしまいました。

たとえ思い出したとしても、「手を離さないようにしたまま女性にターンしてもらう」のがあまりに難しすぎて、練習の時点で手が離れてしまうことが何度もありました。

それを今、音楽に合わせてやることは、とてもじゃないけど、できません。

結局、地味な基本ステップを繰り返すことしかできませんでした。

同じ動きしかできないと、1曲がとてつもなく長く感じます。

自分1人だったら、別にそれでもいいのですが、目の前に女性がいて、見つめ合っている状態だと、プレッシャーがかかります。

僕はだんだん息苦しくなってきました。

すると、それを見越したように目の前のベテラン女性が言いました。

女性:「さっきレッスンでやった、一度離れてまたくっつく動きをやってみましょうか?覚えていますか?」

僕:「あ、あれですね。たぶん覚えています。こうでしたっけ?」

女性:「そうそう!」

そう言いながら、ベテラン女性は上手に僕から離れて、またグーンと近づいてきました。

女性:「これをたまに入れるだけでいいですよ。今日はそこまでの動きを練習するだけでOKです。」

僕:「分かりました!」

そう言ってもらえてホッとした僕は、言われたとおりに基本のステップで前後に動きつつ、たまに離れてくっついてを繰り返してみました。

すると、それだけでも楽しく感じられるようになってきました。

サルサダンスの世界に引き込まれる

だんだん周りの人たちが目に入らなくなってきました。

(おぉっ!なんか、さっきまでと感覚が違うぞ!なんか今、2人の世界に入ってきた感がある!)

だんだん集中力が増していく感じがしました。

と同時に、脳内に快感物質が出ているのを感じました。

アドレナリンなのか何か分かりませんが、とにかくテンションが上がって、気持ち良くなってきたのです。

非日常的な音楽に包まれながら、目の前にいる初対面の女性(しかも美人)と手をつないで踊るという状況を味わえただけでも、勇気を出してダンスフロアに出てきた甲斐がありました。

おそらく、この状況を初心者の僕が楽しく感じられるのは、ペアを組んでいるベテラン女性の手腕だと思います。

初心者の男性が感じる心理プレッシャーを取り除く言葉をかけて、「ちゃんと踊れている感」を与えるスキルがあるからです。

本来サルサは、男性が女性をリードするスタイルのダンスだと聞きましたが、今回は、僕は完全にベテラン女性にリードされながら、ペアダンスの楽しさを味わわせてもらいました。

曲が終わった時には、僕はすっかりテンションが上がってしまい、

「いや~、サルサ楽しいですね!」

というセリフが口から漏れてしまいました。

 

・・・つづく。(→この記事のシリーズを1話目から読む

 

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