【英語の書き取り練習は必要か?】

From  師範代Shinya(新村真也)
 
 
最近、僕の主催する「英語の達人養成ジム」の会員の方から、こんな質問をいただきました。
 
「紙に文章や単語を書いた方が覚えやすいですか?」
 
これは、僕が今まで8年間、大手の英会話スクールで英語を教えてきた中でも、何度か聞かれた質問です。
 
そして、僕自身、英語を始めたばかりの28歳の頃に、やってみたことがあります。
 
まず結論から言うと、「書くトレーニング」は、やってはいけないということはありませんが、あまりオススメしません。
 
理由は3つあります。
 
①けっこう時間がかかる。
 
②しゃべりにつながらない。
 
③あまり使う機会がない。
 
ひとつずつ見ていきましょう。
 
 
 

①けっこう時間がかかる

書くトレーニングは、しゃべるだけのトレーニングに比べると、時間が取られます。ノートに書き取った文字が増えていくのは気持ちがいいものです。時間もかかるし、ものすごく「やった感」があります。
 
たくさん書いたノートを見てモチベーションを保つのに使う分にはいいのですが、時間が取られてしまう分、肝心の声だしトレーニングの時間が少なくなってしまっては、本末転倒です。
 
僕の今までの経験上、「毎日2時間英語をやってるんですが、2年たってもぜんぜんしゃべれてる感がないんです・・・」という方のふだんのトレーニングメニューを聞いてみると、2時間のうち90%が「書取りだけのトレーニング」や「リスニングだけのトレーニング」だったりします。
 
書く方に時間とエネルギーを取られてしまい、声だしのトレーニングをちょっとしかしていないパターンが多いのです。
 
 
 

②しゃべりにつながらない

毎日「やっている感」があるのに、しゃべりの方がなかなか上達しないと、モチベーションの低下につながりやすくなります。
 
言語習得には、自然な順番があります。赤ちゃんが言葉を覚えるときの流れは、こんな感じです。
 
 
お母さんの言葉を聞く(リスニング)

マネして声を出してみる(音読)

絵本を読む(リーディング)

学校で文字を習う(書取り)
 
 
という順番です。つまり、書取り練習は最後に来ます。赤ちゃんに言葉を教えるのに、いきなり書くことから教える人はいませんよね。
 
自分のトレーニングをする場合も同じです。書取りは、十分に聞ける&しゃべれるようになった後の段階の、最後の仕上げ作業として効果を発揮します。
 
 
 

③あまり使う機会がない

今は、手書きよりもパソコンで文書のやりとりをする時代です。そして、パソコンの文書ソフトには「自動スペルミスチェック機能」がついているものが多いです。
 
なので、正確なスペルを書けるようになっても、それを日常で披露したり使う機会がとんどありません。
 
それがモチベーションの低下を招いてしまうこともあります。
 
 
以上3つの理由から、僕は初心者の段階で書き取りトレーニングをするのをオススメしていません。
 
これは、僕自身も英語を始めたばかりの頃の最初の1年間で経験したことです。
 
僕が通っていた英会話スクールのワークブックで書取りトレーニングがあったので、毎週やっていました。
 
でも、ほとんど上達実感がない悔しさを経験しました。これはけっこう挫折感がありました。
 
 
 

いざいという時に困らないの?

僕は音読メソッドに出会って以来、「英語を書く」練習を放棄しました。
 
 
書く時間とエネルギーがあったら、声だし練習をした方がいいと思ったからです。
 
メニューをできるだけシンプルに声だしトレーニング一本に絞って、そればっかりやっていました。
 
その後、特に困ったことはありませんでした。
 
TOEICテストを受けたときも問題ありませんでした。TOEICの解答用紙はマークシートの選択式なので、英単語のスペルを問われることはありません。
 
留学先のカナダでも、学校の課題の提出はパソコンを使って書くのがルールで、手書き禁止でした。
 
その後、現地のバンクーバーで働いた職場でも、仕事でのライティングはエクセルとEメールで、手書きをする機会はありませんでした。
 
それに、職場は学校と違って辞書禁止なんてルールはないので、電子辞書を使い放題です。
 
どうしてもスペルに自信がない英単語は電子辞書を使って調べていました。
 
結果、僕は24時間英語を使う環境に身を置いても、手書きをする機会はありませんでした。
 
 
 

僕が手書きが必要になったとき

そんな生活を続けてしばらくたった頃、英語を手書きする機会がやってきました。
 
それは、英検1級にトライしたときです。
 
 
英検1級には、最後の方に社会問題について自分の意見を英語で書いてエッセイを作る問題があります。そのパートは手書きです。
 
英検1級は、英語の理解度だけでなく、「自分の意見を英語で発信する力」を問われるので、ライティング問題が大きな得点源になります。
 
どんなに他のパートでがんばっても、ライティングがボロボロだったら合格できません。
 
文字数もけっこう長いです。A4の紙に片面一枚分くらいの文章を書かなければなりません。
 
文章構成に加えて、「スペルミス」も減点対象になることを知り、僕はピンチになりました。
 
それまで、まったく書く練習をしてこなかった自分が、果たして正しいスペルで書けるのだろうか?
 
そんな心配をしながら、おそるおそる過去問題集を使ったライティングの練習を開始しました。
 
 
 

不思議な体験

すると、とても不思議なことが起こりました。書けるのです!!僕は、内容をブツブツ言いながら書いていったのですが、全部書き終わって200文字以上ある単語のスペルをチェックすると、ミスは2つしかありませんでした。
 
偶然かな?そう思って、また別の問題にトライしました。今度はどうか?単語のスペルチェックをします。
 
今度はなんと、スペルミスはゼロです!そんなバカな!偶然だろう?
 
また別の問題にトライします。今度はスペルミス3つ。思ったよりずっと少ないです。
 
その後も、何回もトライしましたが、平均で2~3語のスペルミスにとどまりました。
 
なぜだ??
 
 
 

正しい発音ができれば、正しく書ける

その時気づいたこと。それは、正しい発音ができるようになっておけば、自然と正しく書けるようにもなるということでした。
 
たとえば、この英単語を見てください。
 
ライブラリー(図書館)
 
この発音を見ると、ラ行の発音が3つあります。英語のラ行は「R」と「L」のふたつがあります。
 
もし、カタカナ発音のみで覚えている場合、考えられる組み合わせは、
 
liblaly
ribrary
library
riblaly
liblary
ribraly



という感じで、何パターンにもなります。あなたはどれが正解か分かりますか?
 
もしあなたが、この「ライブラリー」という英単語を正しい発音で言えるようになっていれば・・・ちゃんと「R」と「L」を使い分けられるようになっていれば・・・スペルを間違えることはありません。
 
自分が発音するまま、そのまま書いていけば、かなりの確率で正しいスペルで書けます。
 
答えは、
 
library
 
が正解です。
 
僕が英検1級のライティング問題を練習する時に、初めてこのことに気づきました。
 
ずっと音読トレーニングをしていたら、勝手にスペルも正しく書けるようになっていたのです。
 
僕が大人の英語学習者に書取トレーニングを勧めていない理由は、そういう経験から来ています。
 
 
 

やっちゃいけないわけじゃない

とはいえ、もしあなたが書くトレーニングが好きで、それをやることでモチベーションが上がるなら、大いにやる価値アリです。
 
人には向き不向きがあります。僕は手書きが好きではありません。日本語でも苦手です。僕は左利きなので、文字が上手に書けません。特に英語の筆記体は右に倒すので、かなり書きづらいです。
 
でも、中には文字を書くのが上手で、筆記体をネイティブよりもキレイに書く人がいます。
 
そういう人は、ぜひその才能を伸ばしていただきたいと思います。
 
僕が今日伝えたかったことは、「英語は書いてはいけない」という意味ではなく、「英語は書いた方が覚えやすいですか?」という質問に対して答えただけです。
 
特に初心者のうちには、ライティングに時間を取られすぎるのは要注意です。
 
「英語をしゃべれる」ようになりたかったら、「英語をしゃべる」トレーニングをする。
 
そして、英語をしゃべるトレーニングで一番有効なのは、音読トレーニングです。フリートークではありません。
 
 
—————————————

※「たった2時間で英語耳になる!ライブ体験セミナー」はこちら

※「文法力アップ」7日間メールセミナーはこちら

※「英単語力アップ」7日間メールセミナーはこちら

※「英語でマジック」8日間メールセミナーはこちら

—————————————

From  師範代Shinya(新村真也)

英語の達人養成ジム 師範代)

※もくじは、こちら
 
自己紹介は、こちら

こちらですアップ

 

 

 

 

 

P.S.
※このブログに「読者登録」をしていただくと、最新記事をメールで受け取ることができるようになります。登録はこちらをクリック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください