From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
前回の記事では、日本の「いいとこ取り」文化が、アメリカの大学で教えられている、という話をお伝えしました。
僕の友人のアメリカ人のトニーが、実際にアメリカの大学で受けた講義の内容を僕に報告してくれました。
その詳細を今日、お伝えします。
海外の例
まず、海外の例をお伝えしておきます。少なくともアメリカ文化では、日本と同じように他国の文化を取り入れています。
チャイナタウンがあったり、日本人街があったり、南米やヨーロッパ系の文化を感じられる場所もあります。
でも、トニーの言うには、そういう場所は、
「他国の文化をそのまま持ってきている」
そうです。
つまり、チャイナタウンだったら、中国人が自分たちの文化を持ってきて、アメリカの一部のエリアでそれを再現している感じです。
つまり、その国が小さくなったような状態で、アメリカの中に入っている感じなのです。
インド料理屋さんも同じです。
インド人のシェフが、インドで買い付けた食材を使って、インドの料理をそのまま出す。
それを、アメリカ人やインド人のお客さんが一緒に楽しむ。
そんな感じだそうです。
つまり、それぞれの国の文化が「そのまま入ってきて、共存している」のがアメリカ文化です。
日本の例
一方で、日本では、他国の文化を取り入れた時、必ずと言って良いほど、「日本人向けにアレンジ」します。
たとえば、本来なら中華料理だったラーメンも、豚骨スープや醤油、塩など、どんどん進化していき、今では日本食と言っていいくらい色んなバリエーションが生まれています。
また、クリスマスもそうです。クリスマス時期になると、おもちゃ屋さんやケーキ屋さんはもちろん、まったく関係ないような業種の店まで、クリスマスギフトアイテムを売ったりしています。
クリスマスカードのバリエーションもどんどん進化して、日本でしか見られないようなデザインや精巧な作りのものが生まれています。
つまり、日本では海外文化を取り入れる時に、決して「そのまま丸ごと持ってくる」ということはしません。
必ず一手間加えて、自分たちの文化に合ったテイストに変化させてから取り入れるのです。
海外の人たちから見ると実はスゴい!
この習性は、どうやら日本人独自のものらしいです。
ほとんどの国では、海外文化をそのまま取り入れることはあっても、自国文化に合うように変化させたりすることはあまりないようです。
そもそも、どうやって変化させるのか?という発想自体がない。
だから、日本人がうまく海外文化を変化させて自分たちの文化に取り入れているのを見ると、ビックリするそうなのです。
「いいとこ取り」のパワー
さらにアメリカ人を驚かせているのが、日本の「いいとこ取り」の精神です。
いくつかの海外文化の中の、「おいしいところ」だけを持ってきて、日本文化とミックスさせてひとつのものにしてしまう。
たとえば、結婚式はその良い例だと思います。
どの国も、結婚式は自分たちの宗教に従ったスタイルで行うのが普通です。
でも、日本人の結婚式には、いろんな国の文化がミックスされています。
神社で着物を着て結婚式をした直後に、ヨーロッパ風のクルマに乗って移動し、ホテルに着いたらウェディングドレスを着て披露宴をします。
式場ではフランス料理がふるまわれます。
みんなでウェディングケーキを食べて、帰りにお菓子のマカロンを渡したりします。
ウェディングは、日本と色んな国の文化の「いいとこ取り」の良い例です。
トニーの言葉
トニーは、こういった日本文化の「いいとこ取り」の精神をアメリカの大学の講義で学んだそうです。
そして、そんな日本人の文化に猛烈に憧れたそうなのです!
そして、その「いいとこ取り文化」を実際に体感してみたくて、日本に来たと言っていました。
「いいとこ取り」は世界基準では当たり前ではなかったのです!!
そういえば、日本の寿司をアメリカ流にアレンジした「カリフォルニアロール」も、アメリカ人が「いいとこ取り」してアレンジものではなく、アメリカに移住した日本人が最初に考えて作ったと聞きました。
リスペクト
僕は最初、英語を学び始めた頃、こんな日本文化を嫌いでした。
「何も分からずに適当に海外文化の表面だけマネしているだけだ。あー、恥ずかしい!」
と思っていました。
でも、実際にマネされている側の海外の人たちからは、「尊敬のまなざし」で見られていることが分かりました。
そして、異国の文化を取り入れながら独自の文化にまで昇華させてしまう日本人の柔軟性を、誇りに思うようになりました。
よく、「日本人は頭が固い」とか言われることがありますが、日本にあふれる海外発祥のアイテムやイベント、食べ物を見る限り、そんなことはなさそうです。
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