From 師範代Shinya(新村真也)
(※僕がカナダにビジネス留学していた頃の体験談です)
(→前回のつづき)
トロントの空港から乗ったタクシーが、住宅街の前で止まりました。その後、ゆっくりとしたスピードで道を進み始めました。
どうやら、ジェフの家のそばに来たようです。
運転手さんは、僕の手渡したメモ帳を見ながら、ゆっくりと進んでいきます。
そして、大きな白い家の前で止まりました。
運転手さんは、僕の方を振り向きながら言いました。
「たぶん、ここだと思うよ。」
(おぉ!無口な運転手さんが初めて口を開いた!)
実は、僕はこの運転手さんを恐れていました。なぜなら、まず見た目が怖いのです。
大きな身体に、ヒゲモジャの顔。鋭い目つきの外見です。年齢は30代後半~40代くらいでしょうか。
そして、僕がタクシーに乗り込んだときに行き先を言っても返事がなく、ここまで一言もしゃべらなかった上に、出発する時に大きなため息をついていたからです。
僕は後部座席に乗りながら、こんなことを思っていました。
「もし、この運転手さんがボッタクリタクシーだったら、抵抗せずに素直にお金を払って逃げよう。戦って勝てる相手ではない。」
でも、ボッタクリではありませんでした。ジェフが言っていた通り、ちゃんと空港から30分後に着きました。
ジェフの家
僕は家の玄関のドアに注目しました。
たしかジェフは、電話でこんなことを言ってました。
「玄関のドアに風船をくっつけておくよ。そうすれば、他の家と間違えることないだろ?」
と。
でも、玄関のドアに風船は見あたりません。
僕「あ、ありがとうございます。実は、ここは友人の家なんですが、今は誰もいないんです。
僕もここに来るのは初めてなんで、友人が目印に玄関のドアに風船をくっつけてくれる約束なんですが・・・見あたりませんよね?」
運転手さん:「う~ん、風船はないねぇ。」
僕:「玄関のドアを開ける暗証番号を教えてもらって、入っててくれって言われたんですが・・・もし違ったらどうしよう・・・友人は明日の朝まで帰ってこないそうなんですよね。」
運転手さん:「OK!じゃあ、ここで待っててあげるよ。もし、玄関のドアの鍵が開いたら、合図を送ってくれ。」
僕:「ありがとうございます!」
僕はここまでの運賃の支払いを済ませると、その家のドアに向かって進みました。
目印
庭が広いので、タクシーの止まっている道路と家まではだいぶ距離があります。
ふと右隣の家を見ると、庭にヒモがたくさん張ってあって、そこにペットボトルがたくさんぶら下がっていました。
何だろう?装飾だろうか?でも、あまりキレイじゃないな・・・
正直、見た目はゴミ屋敷みたいです。
そういえばジェフが電話で、
「隣の家はちょっと変人が住んでて、変わった外観だから、それも目印になるよ。」
と言っていたのを思い出しました。
たぶん、ここがジェフの家で間違いなさそうです。
万が一、警察が来ても、タクシーの運転手さんが道路で待ってくれています。
きっと状況を説明してくれるでしょう。なんだか心強い気分です。
ドアの暗証番号
玄関のドアの前に着きました。一度、後ろを振り返ると、まだタクシーが待ってくれています。
ドアのノブのすぐ上に、10個の番号が並んだキーがありました。
僕は、おそるおそる暗証番号を打ち込みました。
番号ボタンは毎日押しているせいか、ペコペコしていて、あまり押している感触がありません。
よく、こういうボタンを押した時に鳴るピッ!みたいな確認音もありません。完全に「無音」です。
「こんなんで大丈夫なのか?」
と疑問に思いながら、暗証番号を打ち込んでいきました。
最後の数字を打つと、「ピッ!」と音が鳴りました。
おっ!
そして、小さな音が「カチャ!」と鳴りました。
おそるおそるドアを引くと・・・開きました!!
やったーーー!!
大きな達成感
なんだか、ものすごい達成感がこみ上げてきました!!
ドアが開いただけなのに、ものすごい達成感です!!
むずかしいミッションを完遂したような気分になりました。
きっと、ここに至るまでの「不確定要素」が多かったからこそ、こんな気分になったと思われます。
僕は、急いでタクシー運転手さんのそばに走って行きました。
優しい兄貴
運転手さんは、まるで弟分を見守る兄貴分のような優しい笑顔をしていました。
親指を上に向けて「Good」のサインを僕に送ってきました。
僕も同じサインで返しました。
それを見た運転手さんは、満足げに大きくうなずくと、静かにゆっくりとクルマを発進させて去っていきました。
あぁ、なんか、いい人そうだったな。無口だから怖い人だと思いこんでいたけど、車内でもっと話しておけば良かった・・・
ジェフの家へいざ突入!
ジェフの家の中に入ると、ビックリしました!
玄関のところに、大きな紙があって、そこに太い字で、
Welcome! Shinya!!
と大きく書いてあります。そのメッセージの周りを、カラフルなペンで、色づけしてあります。
ものすごい「歓迎されている感」が伝わってきて、嬉しくなりました。
そして、そのメッセージ紙の下に、小さな紙がセロテープでくっつけてあるのに気づきました。
・・・つづく。
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From 師範代Shinya(新村真也)
(英語の達人養成ジム 師範代)
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