From 師範代Shinya(新村真也)
(→前回のつづき)
最近、ネットで見つけた「家電レンタル」のサイトで、一眼カメラをレンタルしたストーリーの続きです。
せっかく月額レンタルで最新型の一眼カメラを借りたのに、自分の思い通りの動画が撮れなかった僕は、「他のもっと自分に合うかも知れない一眼カメラ」の情報を探して、徐々に「ノウハウコレクター化」してしまいました。
せっかく借りている一眼カメラは棚の上に放置され、パソコンやスマホで情報検索している時間の方が長くなっていました。
情報を探し始めて2週間ぐらいたってから、ストレスでヘロヘロになってきた時にふと気付きました。
「あ!これって、ノウハウコレクター現象じゃないか?もしそうだとしたら、次にまた別の一眼カメラを借りたところで、また気に入らない点が出てくるに違いない。
俺が探し求めている答えは、別のカメラの中にあるわけじゃない。
今の自分のまま次のカメラを手にしても、今と同じような動画しか撮れないはずだ。
ノウハウや道具だけを追い求めても、きっと同じことを繰り返すだけだ。
まずは、今目の前にあるこの道具を、とにかく使いまくることから始めよう!そこで見えてくることがあるはずだ。
その経験値なくして、自分にベストな新カメラを見つける選択眼が、自分のなかに備わるとは思えない」
そう気付きました。
英語テキストでも同じ
これは、僕が一時期英語の世界でノウハウコレクター化していた頃と同じ気分でした。
「今の自分を劇的に変えてくれる、究極の1冊のテキスト」
を追い求めて、ネットや本屋さんで色んな情報を探しまくりました。
でも、そこには答えはありませんでした。
どの広告も、どの本の表紙も、「このやり方が一番!」とうたっていて、そのどれもが違うやり方でした。
新しいテキストを買ってはちょっと手を出して、すぐに飽きて「これは違う!」と決めつけて、次のテキストを探す度に出ていました。
ノウハウコレクターからの脱出
ノウハウを探して迷っている期間が長くなると、だんだんモチベーションが奪われてきます。
僕の場合は、そのタイミングでTOEICにトライしてボロボロの結果が出たので、追い打ちをかけるようにモチベーションが落ちました。
そして、ほとんどあきらめかけたその時、ラーメン屋さんで森沢先生の名著「英語上達完全マップ」に出会いました。
僕は「英語上達完全マップ」を読んで初めて気付きました。
「自分が行きたいゴールまでの道のりがハッキリ見えるようになれば、どのテキストを使うか?はそれほど重要ではない」
と。
どんなテキストも、必ず長所と短所があります。万能の1冊というのは存在しません。
「英語上達完全マップ」の巻末にオススメされていたテキストのリストの中から、とりあえず1冊、適当にテキストを決めてから、それを徹底的に音読でやり込みました。
途中で投げ出すつもりで始めたテキストでしたが、結局おもしろくなってしまい、全ページ制覇しました。
その1冊を仕上げることで音読トレーニングの「経験値」が上がりました。
経験値が上がった結果、自分の中で「どんな英文が音読していて楽しく感じるか?」が少し見えるようになってきました。
その選択眼で、「英語上達完全マップ」の本の巻末にあるオススメ本の中から、次のテキストを選びました。
選んだ後は、わき目をふらずにとりあえずそのテキストを音読で仕上げることだけに専念しました。
すると、また経験値が上がりました。
そして、また次のテキストを選んで仕上げる・・・というサイクルに入っていきました。
経験値を積むことで養われる「選択眼」
最初の5冊までは、森沢先生が本の中でオススメしているテキストの中から選んでいました。
でも英語トレーニングの経験値が上がるにつれて、自分の中に「選択眼」が養われいていくのを感じました。
そしてついに、膨大な種類の市販教材の中から、今の自分にピッタリな1冊を選ぶことができるようになりました。
本屋さんに行って片っ端から英語テキストをめくっていくと、「ノウハウコレクター時代」とは違った景色が見えるようになっていました。
ノウハウコレクター時代には、本のタイトルや帯などのキャッチコピーを基準に選んでいました。
「○○週間でペラペラ!」みたいな甘い言葉に誘われることも多くありました。
でも今は、タイトルや帯ではなく、「中身」で選べるようになりました。
人気のある本かどうか?も、あまり自分の中では関係なくなりました。
最初は道具選びで間違っても問題ない
その3年後にTOEIC870点を超えた時に、森沢先生ご本人にお会いして、お礼とご報告をしました。
森沢先生はとても喜んでくれて、他の塾生の方々の前で僕のことを紹介してくれました。
その時に、僕がこれまで音読トレーニングで仕上げたテキストのタイトルを森沢先生に聞かれたので、答えました。
その時に初めて気付いたのですが、僕が最初に選んだテキストは「間違い」でした。
初心者が手を出すには、むずかし過ぎるテキストだったそうです。
本当は、もう少し基礎レベルの英文が載っているテキストから進めた方が良いと言われました。
たしかに、僕は巻末の森沢先生の解説を詳しく読むことなく、ただ「オススメ本のタイトル」だけをメモして本屋さんに直行しました。
その中から、自分が興味をひかれる内容の英文が入ったテキストを選びました。
そのテキストは、当時の僕の英語レベルでは「間違い」だったのです。
でも、結果的に僕はその時点でTOEIC870点を取っていたので、森沢先生も、「まあ、結果オーライですね。」と笑っていました。
僕の最初の1冊のテキスト選びは「ベストな1冊」ではありませんでした。
でも、とりあえず「見切り発車」で音読トレーニングを始めました。
その結果、自分でテキストを選ぶ目が養われて、「あ~!失敗した!こんな本買わなきゃ良かった!」と感じることがほとんどなくなりました。
そんな経験を思い出した僕は、
「今回のカメラ選びも同じではないか?」
と気付きました。
そこで、とりあえず新しい情報を探すことをやめて、目の前にある、この一眼カメラを使って動画をたくさん撮ってみることにしました。
その経験値がないと、次のカメラを選ぶ目も養われないと気付いたからです。
・・・つづく。
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